表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツAI『マンジュウ』と遊ぶVRMMORPG  作者: マッチョ増田
第0章 デスゲームに巻き込まれ……なかった

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/50

33




 ギルドのカウンター前に戻り、冒険者登録とクエストの受注を実践を交えて教えてもらう。掲示板に貼ってある依頼の他にも、カウンターでしか受けられない依頼があることや、指名の依頼がたまに入ること、受注した依頼はサブクエストとしてメニュー画面で確認できることなどを教えてもらい、イベントクエストが選択できたので、それを受注した。



「教会で行われる儀式に必要なもんなんだが、数が全然足りねぇんだ。お前さんがイッカクウサギの毛皮を十枚納品してくれりゃ、こっちも助かるんだがな」


「そうなんや。依頼はこれだけ?」


「駆け出しのお前さんに依頼できるのはこれくらいだな」



 きっとベテランプレイヤーにはもっと難易度の高い依頼が用意されているのだろう。栗栖は少し安心した。栗栖自身が毎日難しいクエストを受ける必要はなさそうだからだ。

 チロルに貰った大量のイッカクウサギの毛皮のなかから、その場で10枚納品し、報酬の1万トルを受け取ることでイベントクエストは完了、という表示が出た。



「明日も依頼は出るだろうからよろしく頼むぜ」


「はいはい、来れたら来るわ」



 もちろん栗栖には来るつもりはない。明日は明日で観る映画やドラマがあるからだ。

 すぐにチュートリアル完了の表示がでて、瞬きのような暗転で周囲に人が戻って来た。これで栗栖は晴れてブロンズ冒険者になった。



「おかえりなさい、クリスさん」


「ただいま~けっこう時間かかったかな」


「そんなことありませんよ。あ、登録は無事に済みましたか?」


「済んだ済んだ……って、無事に済まへんことあるん?」


「時々、VRアクションの最低基準を超えられなくて登録できない方はいます」



 戻ってきた栗栖を待っていたディナンに話し掛けられ、栗栖はブロンズ製のドッグタグを取り出して見せた。ディナンの話では、最初期のVRヘッドギアの中でも輸入品になると、スムーズなVRアクションができないことがあるらしい。製品に問題があるが、自主回収するべき海外企業はもう倒産してしまっているのだとか。



「そうそう、イベントクエストは無事に受けられましたよ」


「おー、僕もできたで。もう納品もして今日の分は終いや」



 栗栖も先ほどのスキンヘッドおじさんに聞いて、イベントクエストを終わらせてきた。栗栖のレベルではイッカクウサギの毛皮の納品だけだったので、チロルに貰った素材でなんとかなった。



「……アンタ、本当に初心者なの?」


「そうやけど?」



 栗栖とディナンの会話をじっと聞いていたチロルが、栗栖に向かってそう言う。それに首を傾げながら、栗栖は返事をした。

 栗栖は初心者だ。気付いたらこのゲームを始めていて、気付いたらデスゲームになっていたピチピチの初心者だ。特に何か事前予習をしたわけでもなく、チートなスキルや技能を持っているわけでもない。得意なことといえば、何時間でも映画を見続けられることくらいだ。



「まあいいわ。私もクエストを受けられたから、これ」


「え?」



 栗栖の前にトレード画面が現れ、また大量のものが贈られてくる。今度は食材や道具系、謎の武器っぽいものも入っているようだ。



「あと……あのさ、ついでに、私のフレンドのヒーラーにも杖のキーワード教えてもいい? 回復職でも使える杖っぽいの」


「別にええけど? ていうか誰に教えてもええで?」


「じゃあ、これとこれもあげるわね」



 さらに大量のものが贈られてきた。栗栖は混乱したが、ディナンが何も言わないのでとりあえず受け取った。きっとベテランプレイヤーには必要のないものなのだろう。



「いらないものは売れば多少のお金にはなるだろうけど、奇術師をやるならほとんど使えると思うから」


「えーと……ありがとう?」


「じゃ、私はクエスト消化してくるから」



 チロルはそう言って去っていった。



「……なんやえらい癖強い人やなぁ……」


「まぁ……なんというか、琴線に触れなければ普通の人、ということで……」


「琴線というかフラグというか地雷というか」


「大丈夫です。たいていの人類プレイヤーは対象外みたいですから」


「人類て」



 栗栖はこのゲームのプレイヤーに、人類以外がいることを少しだけ考えたが、そんな馬鹿な、と頭を振って否定した。否定したが、そういえばそこまで知っているプレイヤーも居ないので、もしかしたらどこかに人類以外のプレイヤーがいるのかもしれない、と思い直した。それはそれで、映画やアニメのようで夢があると思った。



「クリスさんはこの後どうしますか? 私もクエストを受けられたので、消化しようと思っていますが」


「んー僕は駆け込み寺に戻ろかな。日付が変わらな明日のクエストは受けられへんみたいやし」



 それに、栗栖は正直そろそろ外出に飽きてきた。クリスチャンの駆け込み寺へ戻り、映画の続きを観れば、ちょうど寝る時間になるというのもある。

 戻ることを告げると、ディナンはわざわざクリスチャンの駆け込み寺まで送ってくれた。なんでもこのイベントサーバーでは、深夜帯に変なテクスチャの、攻撃もできない敵性体があらわれて、ときどき呪いを振り撒いていくのだとか。教会に行けば治してもらえるので、聖タンクローゼスの情報が手に入る導線なのではないか、と予想されている。



「ではクリスさん、また何かあれば呼んで下さい」


「はい、送ってくれてありがと」



 歓楽街の人混みへ消えていくディナンを見送り、栗栖は室内へと移動した。もちろん階段を登り、まっすぐ寝室へと向かう。空腹値のアラームが鳴ったことで中断していた映画の続きを観るためだ。



「明日はちょっと、映画の合間にでも何かしてみよかな」



 そんなことを考え、ベッドへと横になり、ネットプリクスを起動した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>人類以外がいることを少しだけ考えたが そこにピンクのヒョウがいますよね・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ