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ポンコツAI『マンジュウ』と遊ぶVRMMORPG  作者: マッチョ増田
第0章 デスゲームに巻き込まれ……なかった

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「これで戦闘職のイベントはなんとかなりそうですね。ただ、問題は生産職ですが……」


「生産職っていうと、サブジョブっていうやつ?」


「そうです。メインジョブが戦闘職でサブジョブが生産、もしくは採集などの非戦闘職なんです。プレイヤーのなかにはサブジョブを重点的に遊んでいる層もいて、こういう季節イベントでは、戦闘ジョブと生産ジョブ、両方のクエストを用意しているものなんですが……クエストが出ないようなんです」



 どうやらヒントはあるようで、グラフィックが用意されてない、のっぺらぼうのポリゴンが街を歩いていて、話しかけると機械音で何かを言うのだが、ほとんど聞き取れないそうだ。



「ポリゴンNPCは各サブジョブのチュートリアルを受ける、王都の設備レンタル場の前によくいるので、生産系クエストはそこで受けるはずなんですが……」


「バグってるっちゅうことか……」


「ほとんどの既存プレイヤーは、期間限定クエストを受けなければ設備のレンタルができません」


「え、そうなん?」



 ディナンによると、サブジョブの製作アクションには設備が必要であり、持ち歩きができる簡易設備で製作できるものはそう多くないし、品質も劣化する。大きな街には設備の貸出施設があるものの、一定のレベル帯を超えると使用できなくなる。王都ネリスティアの設備は初心者の設備使用を想定しているので、生産系プレイヤーは今、簡易製作しかできないのだとか。



「そういえば、クリスさんのサブジョブはなんですか?」


「僕? 奇術師。胡散臭いやろ」


「……似合ってます」


「へへ、ありがと。っちゅうても、奇術師が何作るジョブか知らんけどね」



 ディナンに無理して言わせた言葉に、栗栖は軽く礼を言っておいた。胡散臭いことは事実なので特に気にしてはいなかったし、ネタになるならそれはそれでいいかと思うタイプだった。



「奇術師はけっこうマイナーなサブジョブですね。奇術、つまり手品のための道具などが作れるジョブですが、上位ジョブである罠師を取得するために必要で、弓系上位職の狩人などがよく通過ジョブとして取得しています」


「へ~、手品の道具って、トランプとかそういう?」


「まあ、そうですかね? 私も詳しくはありませんので、もし必要ならフジマルテクニカ製の、例のAIに聞いてみるといいかもしれません」


「たしかに」



 ここ三日、マンジュウともめっきり話していない。現実時間で72時間後に自動でオフされるといっていたが、まだ現実時間では数時間程度しか経過していないはずなので、呼びかければ応えてくれるはずだ。あとで聞いてみよう、と栗栖は思った。

 ディナンは生産系職業はほとんど手を付けていないらしい。戦闘職に必要な通過ジョブをすこしやった程度なのだとか。



「ひとまず生産職のクエストは置いておいて、良ければ今から戦闘職のクエストを受けに行きませんか?」


「ええの? 初心者やけど」



 栗栖がそう言えば、期間限定イベントには初心者向けの納品クエストや戦闘クエストもあるということで、せっかくなのでディナンに連れて行ってもらうことにした。ディナンの予想では、このキャンディ武器を装備していれば、イベントクエストは受注できるはずだとのこと。

 二人で連れ立ってクリスチャンの駆け込み寺を出て、歓楽街を抜け街の中心地へと向かう。あたりはもう暗くなっていて、街頭の明かりのなか、人通りがまばらになっている。クリスが拠点を手に入れた歓楽街の通りは昼間でも人は多いが、夜になると特に住人NPCが増えるので、夜の静かな街は新鮮だった。



「そういえば僕、冒険者登録してないねんけど、クエストって受けられるん?」


「ああ、冒険者登録はすぐできるので、登録してから受ければいいですよ」



 どうやら商業ギルドと同じで、チュートリアルはあとで受けることもでき、登録はすぐに済むらしい。栗栖としては、あまり難しかったり、拘束時間の多いクエストも避けたいと思っていたが、ディナンが言うには、ひとつのクエスト自体はそう時間が掛からないことが多いらしい。各プレイヤーのペースで遊べるように、期間限定イベントはそうなっていることが多いのだとか。ささっとクエストを済ませてネットプリックスの視聴を再開したい栗栖としては、それも有り難かった。



「冒険者ギルドは、商業ギルドのひとつ隣の大通りなんです」


「ほお~……なんか酒飲みのオッサンめっちゃおる通りやな。あそこ?」


「そうです。冒険者ギルドの中には軽食屋しかありませんが、周囲にはお酒を出す店が多いんです」



 やってきた冒険者ギルドがある大通りは、商業ギルドがある通りと違って、飲み屋が多かった。だが他にも雑貨屋や小道具屋、それに薬屋などもあり、冒険者が必要なものが買える店は一通り揃っていた。

 冒険者ギルドの大通りは他の通りに比べて、夜でも人が歩いている。ほとんどが冒険者なのか、派手な革鎧やマント、ローブ姿だ。とはいえ栗栖の拠点であるクリスチャンの駆け込み寺がある歓楽街ほど多くはない。




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