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ポンコツAI『マンジュウ』と遊ぶVRMMORPG  作者: マッチョ増田
第0章 デスゲームに巻き込まれ……なかった

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「まさかゲランシャトーが大使館? 一体何大使なんや……」


「そんなわけないじゃろ。工房はこっちじゃ」



 フゲン老人が指さしたのは、ゲランシャトー(仮名)の隣りにある……小さな小さな古い建物だった。ゲランシャトーと比べたら、本当に小ぢんまりしていて、そして古い。木骨石造の二階建てに、小さなドアと小さな窓がひとつ。

 栗栖の興奮は落ち着いた。この小屋のような建物がフゲン老人の大使館なら、それはそれで何大使なのかと思ったが、どちらにしろ、快適にネットプリックスが観れる環境なら外観や広さなどにこだわりはなかった。ゲランシャトー(仮名)がもしそうだったら、騒がしくて映画に集中できないのかもしれない、と考えたくらいだ。



「まあ工房はあとで見せる。ひとまず試験はこっちじゃよ」



 そういって総合娯楽施設ゲランシャトー(仮名)に入っていくフゲン老人。その後を付いていく栗栖とディナン。



「フゲン殿、ようこそ。本日はどちらのお部屋をご案内いたしましょうか?」


「久しぶりじゃのう。今日は色々見て回ろうと思っておる。後ろの二人との」


「かしこまりました。案内はお付けいたしましょうか?」


「いいや、大丈夫じゃよ」



 玄関ホールのようなところでベストとスラックスに身を包んだ男性とフゲン老人が話し、男性が離れていく。そしてまたフゲン老人の後ろを付いて廊下や階段を進みながら、栗栖はこっそりディナンに話し掛けた。



「じいちゃん、常連なんやな」


「意外とアウトローな方なのかもしれません」


「それか、エロジジイやな」


「誰がエロジジイじゃ」



 フゲン老人の呆れた声に、栗栖とディナンは背筋を伸ばして黙った。



「今日はおなごのいる部屋には行かんよ」


「今日は」


「今日は」


「まだ昼間じゃしの」



 栗栖とディナンは、フゲン老人がエロジジイだということを確信した。



「よし、まずはここじゃな」



 二人が連れられて入った場所は、大広間だった。昼間なのに窓のカーテンが閉められ、天井にある大きなシャンデリアと壁掛けのランプが明々と灯されており、そして人の出入りが多い。住人NPCや店のスタッフのようだが、見たところいくつかのゲームテーブルがあり、そこでゲームに興じているらしい。



「カジノやな」


「ここはミニゲームエリアですね」



 どうやらディナンはこのフロアを知っているようだった。なんでもプレイヤーが出入りできるエリアで、トランプゲームから麻雀まで、いくつかのミニゲームができるらしい。ゲーム内通貨をコインに交換し、そのコインの分だけ遊べるとか。



「そのコイン、換金は……」


「できます」


「違法賭博やん?」


「一応、ネリス王国法では合法ですね」


「合法賭博なんか……」



 そしてフゲン老人の試験内容は、このフロアで、どんな方法でもいいので百万コイン稼ぐ、というものだ。一体何を試す試験なのかと思ったが、それよりも大きな問題が栗栖にはあった。



「そもそも無一文やねんけど……」


「初回来店で5000コインがサービスで貰えますよ」


「そうなん?」


「はい。一コインで一トルなので、五千トル分ですね。換金レートも等価です」


「じゃあ百万トル分勝たなあかんのか。 ……無理やない?」


「時間を掛ければできることはできますが……」



 だが、フゲン老人の試験は、日没までで条件が付けられた。



「儂はそこで待っとるからの。まあがんばるんじゃの」



 そう言ってフゲン老人はフロアの隅にある、ソファが並んだ休憩エリアのようなところへ歩いて行った。

 ゲームエリアに残された栗栖は、とりあえずディナンの勧めで5000コインを店員から受け取った。



「このフロアは、たしかカード系のゲームが一番良かったような……」



 ディナンの説明によると、スロットマシン系は完全にダメだそうだ。それには栗栖も深く頷いた。一度くらいは遊んでみたい気もしたが、それは今ではない。

 その他に、ウズラのような鳥を走らせて速さを競わせる、競馬ゲームのようなもの、トランプではブラックジャック、ポーカーや神経衰弱、他に株札を使ったおいちょかぶ、花札を使ったこいこい、麻雀まであるらしい。



「時間があるんやったら、麻雀が俺には合ってそうやけど」



 栗栖は学生の頃、よく友人と麻雀で遊んでいた。もちろん三人打ち麻雀である、サンマだ。だがこのゲームでの麻雀は四人打ちだし、それに魔法牌というものも混ざり、ルールが少し違っているようだ。



「麻雀が得意なんですか?」


「全国サンマ漁業協会から、鳳凰の領域に入ることくらいは許されてるな」



 ディナンは栗栖の言っている意味が全く分からなかったので、聞き流すことにした。



「ですが、麻雀はあまりおすすめしませんね。勝った時に貰えるコインは多いですが、時間が掛かります。どちらかというと短時間で終わるもので、かつ勝った時にコインを多く貰えるもの……」



 栗栖とディナンは、ゲームのテーブルを色々見て周りながら考えた。考えたけれど、これといって良い案は出なかった。ディナンは少し遊んだことならあるが、そこまでミニゲーム自体に詳しくなかったし、栗栖はそもそも初めて触れるゲームだ。




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