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ポンコツAI『マンジュウ』と遊ぶVRMMORPG  作者: マッチョ増田
第0章 デスゲームに巻き込まれ……なかった

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「クリスさんはこのあとはどうされるんですか?」


「とりあえず、マンジュウが商業ギルドに行けて言うてるから、商業ギルドに行くかな」


「よければこの後もご一緒して良いですか? 拠点の取得がどうなるのか、ちょっと気になるので……」



 ディナンが言うには、もともとこのディシディア・ネリス・オンラインでは、ゲーム内で渡り鳥と呼ばれるプレイヤーが入手できる、プレイヤー専用の居住区画があるそうだ。だが、それは王都周辺の初心者エリアではなく、中級者以降が行くようなエリアだとか。例外的に、特殊なクエストをクリアすることで王都にも拠点を得ることができるようになる。だがジョブによって方法が違い、かつ、レベルが高ければ高いほど難易度が跳ね上がっていくようなクエストで、実質は不可能なクエストとなっている。

 ディナンはそんなクエストをAIに案内されているクリスがどうなるのか、気になるようだ。



「それはええけど、皆にログアウトのこと教えんでええの?」


「ああ、フレンドにレターを送っておきます。同じサーバー内にいるフレンドにはレターが送れることは確認できていますので」



 レターというのは、ゲーム内でフレンドになったプレイヤー同士で送れるメールのようなものらしい。ちょっとしたアイテムやお金も同封できて便利なのだとか。

 他に通話ができる機能もフレンド同士では使えることや、パーティを組むとフレンド同士以外であっても、パーティ内で通話ができる機能が使えることなどを話しているうちに、商業ギルドへと到着した。



「マンジュウ~、商業ギルドに着いたで」


『はい、では受付で買い取りを伝え、イッカクウサギの毛皮を十枚売却してください』



 受付には、先ほど来たときも座っていた兎耳妹のミナという女性がいた。ミナは警戒したような顔をしてカウンターで対面したので、栗栖は少しだけ申し訳なく思った。



「どうされましたか?」


「えっと、イッカクウサギの毛皮の買い取り? をしてほしいんやけど」



 栗栖がそう言うと、ミナはほっとしたような顔で返事をした。



「はい、イッカクウサギの毛皮の買い取りですね。今はちょうどイッカクウサギの毛皮が不足していますので、買い取り価格はひとつ500トルになります」


「じゃあ、十枚売ります」



 売却取引はスムーズに終わった。テーブルの上にアイテムボックスにある毛皮を出せば、自動的に毛皮が消えて所持金が増えた。



「ありがとうございました」


「はい、こちらこそありがとうね」



 にこやかな顔でミクに見送られながら商業ギルドをあとにする。栗栖はまたマンジュウに無理を言わされるのではないかとヒヤヒヤしていたので、ホッと胸を撫で下ろした。



「マンジュウ、次は~?」


『はい、次はネリスティア王都教会へ向かって下さい』


「ネリスティア王都教会、ね」



 道順はディナンが知っていたので、案内してもらった。



「教会なんてあるんやな~」


「はい。一次ジョブが治癒師や修道士の場合は、教会でチュートリアルを受けたり、ジョブクエストを受けたりします」


「ほうほう、ジョブによって場所が違うってことやね。ちなみに道士はどこ?」


「道士は確か、碁会所だったと思います」


「碁会所……」



 ファンタジーゲームの世界に囲碁や碁会所があるのか、と栗栖はなんだか少し面白かった。そしてもうひとつのジョブである、奇術師は、アミューズメントエリアがあって、そこのマジックショーをしている人からチュートリアルやクエストを受けられるらしい。



「こんにちは、渡り鳥さん」


「こんにちは」


「こんにちは、ディナンさん」


「はい、こんにちは」



 教会らしき建物の門前では、神官服を来た若い男のNPCが挨拶をしてくれた。灰色のレンガでできた重厚な門と、その奥に彫刻の施された大きな扉があり、その扉は開け放たれている。住人NPCの出入りも多く、子供連れの姿もあった。



「マンジュウさん、教会に到着しましたよ」


『はい。本日はどうされましたか?』


「…………。ネリスティア王都教会に到着しました。続きの案内をお願いシマス」



 栗栖が丁寧にマンジュウに聞いたところ、祈りの間で司教に話し掛け、イッカクウサギのモモ肉を十個寄付するように言われた。それをディナンに伝えると、祈りの間へと案内してくれる。



「司教と会えるかどうかは完全なランダムのはずですが……ああ、よかったですね。いるみたいですよ」


「おお、ラッキー?」


「ラッキーです。会える確率はだいたい四回に一回らしいで……す……」


「え……」



 ディナンに案内された、祈りの間と呼ばれる場所には、白い服に身を包んだ老人が立っていた。ヒゲも眉毛も白く、そして、頭には真っ赤な布製のナイトキャップを被っている。そう、白い毛皮で縁取られた、栗栖が良く知る、いわゆるサンタ帽だった。



「……期間限定イベントの、でしょうね……」


「あ~……クリスマスの……」



 期間限定イベントのための、いわゆる装飾的なものだろうと栗栖は理解した。ゲームならば、街を飾り付けるように聖職者を飾り付けていてもおかしくはないだろう。





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