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「お! やっとモモ肉出た! よし、これで十個や!」
モモ肉の最後の一個がなかなかドロップせず、毛皮は十八枚集まっていた。
「アイテム集めが終わったなら、街へ戻りますか?」
「えーっと、ちょっと待ってくださいね。……マンジュウ! マンジュウー! 毛皮と肉集めたで!」
『はい。では続きの案内を再開します。次は、南門から南下し、小川の周辺へ向かって下さい』
「街には戻らず、小川ね。 ……えっと、ディナンさん、小川へ行くようです』
「……」
ディナンは栗栖の奇行に寛容だった。だが気配を消し、半歩後ろに下がった。
栗栖はそんなディナンの様子には気付かず、草原から街道へと出て小川へ向かう。小川へはすぐに到着した。人の手で作ったであろう土手があり、その下の川べりは小石が多い。
「マンジュウ、着いたで」
『では、小川の小石を拾って下さい』
「はいはい、小石を拾うね」
『次にその小石を投げ、アカコマドリの尾羽根を二枚入手してください』
「……? どういうこと??」
栗栖はマンジュウのいうとおり、土手を降りて小石を拾ったが、その先の言葉の意味が分からなかった。
『小石を投げ、アカコマドリからアカコマドリの尾羽根を二枚入手してください』
「……??」
再度質問しても、マンジュウの言っている意味は分からなかった。なので、栗栖はディナンに聞いてみることにした。ディナンなら、なにかゲーム的な知識で回答を導き出せるのではないかと思ったからだ。そしてその通りだった。
「えっと、ディナンさん。小石を投げてアカコマドリの尾羽根を二枚入手するって、分かります?」
栗栖の質問に、ディナンは苦笑しながら頷いた。
「意味は分かりますが、それは……難しいと思います」
ディナンの説明によると、上空には飛行系のエネミーが時々飛んでいることがあり、攻撃の射程が届けば撃破することが可能なのだという。ただし、王都の周辺ではほとんど射程圏内の低空にはエネミーが現れない。飛行系エネミーは中級エリア以降での戦闘や狩猟が推奨されているのだ。
「例外的に、この小川の上空にだけ、アカコマドリが射程圏内の低空飛行をすることがありますが、小石を投げて飛んでいる鳥に当てるのは難しいと思います」
ゲームの仕様上は不可能ではないかもしれないが、非常に難しい、とディナンは言う。栗栖は「マンジュウお前……仕様上可能ならなんでもできると思うなよ……」と心の中で呟いた。
「もし、クリスさんが弓のリアルスキルに自信があるのなら、初心者用の弓をお貸しできますよ」
弓には照準や自動追尾などの、的に当てるサポートスキルがあるようだが、それがなくても現実で弓に慣れ親しんだ人ならば当てることもできるようにはなっているそうだ。だが栗栖は特に弓道やアーチェリーに触れたこともない一般男性なので、首を横に振るしかできなかった。
「……私が代わりにアイテムを入手して、トレードでお渡しするのはマズいんでしょうか?」
「ちょっと聞いてみますわ」
ディナンはもはや何に聞くのかを質問しなかった。栗栖のことを、「なんかそういう人」だと思うことにしたのだ。
「マンジュウー? アカコマドリの尾羽根は、トレードで入手してもええの?」
『はい。……検索した結果、トレードで入手したもので目的の達成ができるかは不明です』
「……わからんそうです」
「うーん、そうですか……」
ディナンはしばらく考えたが、色々な選択肢を模索した結果、パーティを組まないかと提案される。これにはマンジュウも問題ないと答えた。
パーティを組み、ディナンが攻撃力を最低値にする薬を飲んだうえで、弓を使ってアカコマドリを撃ち落とす。最低値の攻撃力では一撃で倒れないはずなので、地上に落ちてきたアカコマドリを栗栖が酔拳で倒す、という方法だ。
この方法はうまくいった。ディナンの弓は百発百中で上空を飛んでいるアカコマドリを撃ち抜いたし、落ちてきたアカコマドリに走り寄って栗栖が酔拳で攻撃すると、一撃で倒しきれた。
栗栖がディナンの弓の腕を褒めると、「そういうスキルを使っているからですよ」と穏やかに笑った。栗栖は「余裕のあるイケメンだな……」と思うなどした。
だが大変なこともあった。まず、アカコマドリが小川の上空をあまり飛ばない。小川の本当にすぐ側以外だと、かなり高いところを飛行しているせいで弓が届かなかった。尾羽根のドロップ率も低かった。尾羽根をふたつドロップするまでに、くちばしが12個、爪が14個もドロップした。そしてなぜか赤や青や黄色など、色とりどりの靴下が22個もドロップした。毛糸編みで、大人でも大きいようなサイズのものだ。




