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探偵は喋らない  作者: 犬犬太


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8

帰り道は俺がいるお陰か、柘植さんはあまり無駄口を叩くこともなく、三人で静かに帰った。そうして、柘植さんとの分かれ道に到着する。

「本当に二人で大丈夫か」

俺が家まで桔梗さんを送り届けることを知らない柘植さんは、ここまで来ても桔梗さんにしつこく言い募る。それに対して、大丈夫ですよ、と桔梗さんはにこりと微笑み、そのままの笑顔を俺に向ける。そうでしょう、と確認されている気分だ。俺は静かに頷き、静かに大丈夫ですとだけ告げる。

「今日はありがとうございました。それでは」

失礼しますと、俺は礼をすると桔梗さんを連れて強制的にその場を後にした。

桔梗さんと話す振りをしながら柘植さんの様子を伺うと、しばらくこちらを眺めた後、俺達とは別の方向の道へと歩いていく姿が見えた。



ああ、私は間違っていたのだろうか。床に寝転がる彼女の遺体を眺めながら胸の奥がちりちりと後悔の炎で焼けるような気がした。それでも、己のした事に対し、意外にも私の頭は冷静で、どうやって彼女の遺体と私の関係を消し去ろうかと考えていた。

全てを仕掛け終わった時、本当はよほど緊張していたのだろう、喉の異常な渇きを覚え、彼女に出して貰ったペットボトルのお茶の残りを全て飲み干し、ペットボトルがまとめて捨てられているゴミ箱へと投げ入れた。

後は、誰かが気がつくまで放っておけばいいのだ。

私が直接やることはもう無いのだ。



護衛を初めた日から三日程経った。結局翔は毎日結愛を付け回している。正直、ストーカーも引くレベルの付け回しっぷりだ。そして、さらには、大教室での講議や昼食、サークルとどうしてか結愛と一緒に過ごす事になり、周りの奴らもなぜかそれを受け入れ、挙句の果てには"美人コンビ"として周知されていた。ちなみに、美人なんたらの事に関しては翔は一切気が付いていない。だとしても結愛を守りやすくなったのは確かの様だし、実際に翔が警護し始めてからストーカー被害は起きてはいない。まあ逆に言えば、ストーカーを探せないって事なんだけどな。でも、翔は結愛の周りの人間関係も整理出来た様だ。

会話を交わすのはほぼ演劇サークルの人間で、特に仲が良いのは部長の材木谷、柘植、仁柳の三人。それと、顧問の朴木ともゼミや講議の関係もあって頻繁に顔を合わすようだ。

後は結愛のファンか、部長と気障野郎目当ての色んな女が、二人が一緒にいる時に結愛にも話し掛けている。他にも最近は翔目当ての男どもが話し掛けて来たりもしている、ようだ。

そう言えば、翔は姉ちゃんと別行動をしている間に、送られて来た隠し撮り写真の分析をしているようだ。というのも、写真には家の近くの物の他に大学構内での写真が多く写されていたからだ。翔は結愛の講義のスケジュールから教室内にいる結愛を写せる場所と時間を順番に割り出していく。何枚か校内での写真を広げながら、翔はまた小さく呟いた。

「・・・やっぱり辛いな」

と。

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