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探偵は喋らない  作者: 犬犬太


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話しを聞いていて新たに分かった事は、四人の関係。四人は学年や年齢は違うが、度々こういう風に食事しては演劇について語り合ったり、どうでもいい事を話したりしているという事。ついでに柘植さんは桔梗さんが好きだ。そして、ここへの移動前にお互い自己紹介をした"仁柳"さんは部長の材木谷さんが好きだということ。さらについでに言うと部長さんは別れた桔梗さんがまだ好きで、桔梗さんはそれに気付いているし、仁柳さんの気持ちも知っている様だ。

こんなぐちゃぐちゃな関係でよくもまあ仲良しぶって食事の席を何度も一緒にしたり出来るもんだな。

その後しばらく話しは弾み、いい加減帰りたくなった俺はさり気なく中座し、手洗いへ立った。男子トイレと女子トイレで迷ったが、男子トイレから出て来る所を万が一あの四人の誰かに見られるのは面倒なので、そっと女子トイレに入る。辛うじて中は無人で不幸中の幸いだ。何とか誰にも合わずにトイレを出入りすると、自分たちの席の方を伺うも、磨りガラスの付いた壁にちょうど遮られ良く分からない。そうであるならば、ずっとトイレの前にいる必要も無いし早々に戻る事にしよう。

席に戻ると、俺の目論見通りそろそろ帰ろうか、という流れになっていた。もちろんその流れに俺が文句のあるはずも無く、素直に荷物を肩に背負う。会計は学生らしく割り勘で済まされ、五人で店の外へと出る。

「結愛、送って行こうか」

外へ出ると、当然だと言わんばかりに材木谷さんが桔梗さんの傍へと歩み寄る。すると、それに対抗するかのように柘植さんも桔梗さんの傍へ。

「材木谷は方向が反対だし、俺が送っていくよ」

ね、と桔梗さんに微笑み掛け歩みを促そうとする。それに対して、部長さんはいや、とか何とか言いながら、柘植さんが桔梗さんを連れて行こうとするのを引き止める。その様子に、仁柳さんが悲しそうな、それでいて悔しそうでもあるような表情で俯いてしまう。その一方で桔梗さんは悦に入った様な笑顔で三人を見て、俺がそれを見ていたことに気が付いたのか、微笑みをさらに深くし俺を見た。俺は四人の関係をまざまざと見せつけられ、うんざりする。正直早く帰りたくなってきた。俺は左手にポケットの中のうさぎを嵌めて二人の前に突き出した。

「結愛はオレが送って行く」

どちらにしろ、明日の打ち合わせや戸締りの確認、車の回収をしなければならないのだ。行く方向どころか目的地が一番近いのは俺だ。しかしながら、この二人はそう簡単に帰してはくれないようで。

「女の子だけじゃ危ないでしょ」

柘植の言葉に材木谷も頷き言葉を続ける。

「それなら俺が二人を送って行く」

そして、話しは振り出しに戻った。変わった事と言えば、桔梗さんに加え、俺も送られる対象に入ったという事くらい。俺は一つ溜息を吐き、部長さんと柘植さんに向き直る。

「仁柳さんは送らなくても良いんですか。女の子一人じゃ、私と桔梗さん二人よりも危ないですが」

俺に急に名前を呼ばれた仁柳さんは驚いた様にぱっと顔を上げ、部長さんと柘植さんはそれまでの饒舌な言い合いが嘘かのように、うっと、言葉を詰まらせる。とりあえず、先程からの二人の言い合いから、部長さんと仁柳さんが、そして、柘植さんと桔梗さんが帰る方向が同じだろうと予想はついた。

「とりあえず、部長さんは仁柳さんを、柘植さんは私と桔梗さんを途中まで送って行ったら良いんじゃないですか」

面倒くさくなっている俺は、少々きつめな言い方で話にケリを付けに行く。そして、材木谷さんも柘植さんも俺の雰囲気に押されたのか、俺の案にあっさりと納得してようやく帰り道に着くことになった。


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