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四人目の容疑者、朴木 駿介。
「刑事さん、早く彼女を殺害した犯人を捕まえてください!」
猪又のお決まりの台詞が発声されるよりも早く、朴木の悔しそうな、それでいて悲しそうな、叫びにも似た声が聞こえる。
「朴木 駿介さん、事件当時の行動についてお教えいただけますか?」
猪又はそんなものには一切動じる事無くいつもの台詞を言ってのける。こいつ以外の警察関係者は、恋人を亡くした朴木に少々同情的な様子を見せているのだが、こいつには関係ない様だ。まあ、翔も同情的な様子を見せることは一切無い。むしろ恋人として結愛を守ろうとしなかった事に対して怒りすら感じている様である。
「事件のあった頃は自宅にいました。一人で仕事をしていたんです」
朴木の返答に、証人の有無を尋ねるも、独り暮らしで、自宅で仕事をしていたのであれば証人なんているはずもないだろう。
「では、あなたと桔梗さんのご関係をお聞かせください」
猪又から今までの取り調べでは聞かれなかった質問がされる。もちろん、事件のあった日に確認をしているので知ってはいるのだろうが、改めて調書に残すためもあるのだろう。
「付き合っていました」
朴木が弱々しく答える。
「付き合っていたとは、男女の関係、もちろん、肉体関係を含めて、あったと捉えてよろしいですか?」
猪又は感情の読めない声で、生々しい事を言う。
「…ありました」
「二人きりで桔梗さんの部屋で過ごすことはありましたか」
「ええ、ありました。もちろん、私の部屋で過ごすこともありました…」
まあ、付き合っていたと言うならそうなのだろう。お互い一人暮らしな訳だし当然といえば当然か。
ただ、結愛は大学の二回生だった。年齢的には犯罪にはならないとはいえ、学生、しかも教え子に手を出していた状況が気まずいのか朴木の言葉が詰まる。
「ストーカーの相談はされていなかったのですか?」
事件の後にも聞いたことだ。あの時は俯いて答えなかったが今度はそうはいかないだろう。
「たまに変な人影を見る、と、その程度の相談は受けていました。家と学校の送迎の提案もしましたが、周りには私たちの関係を知られたくないからと断られました」
静かな声が窓越しに聞こえた。
だが、翔は気付いている。わざわざ授業中なんかに手紙らしき物を交わしていたことを。
「関係が知られたくない割には手紙のやり取りを授業中にしたりしていたが…」
ぶつぶつと翔が呟くと、一緒にいた刑事の一人が取調室の方へ走っていった。
「…匂わせ、」
何かを思い付いたのか、翔がスマートフォンを取り出し検索エンジンを使い、何かを調べ始めた。




