↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵は喋らない  作者: 犬犬太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/36

25

三人目の容疑者、仁柳 和泉。

「仁柳 和泉さん、事件当時の行動についてお教えいただけますか?」

またまたお決まりの台詞で猪又が仁柳に問い掛ける。とりあえず最初はこの台詞と決めているのだろうか。

仁柳は赤くなった目に涙を浮かべ、手にはハンカチを握っている。

「事件があった頃は自分の家にいました…」

小さくなる語尾に、猪又の質問が続く。

「桔梗 結愛さんへの盗撮等のストーカー行為についてお聞きします」

ハンカチを握った手にぎゅっと力が入るのが分かった。

「結愛は、私が材木谷先輩の事をどう思ってるか知っていて、それなのに元カノだからってわざわざ私の前で彼にわざと甘えたり…先輩がまだ結愛の事を好きな事も、結愛は知っていてわざと…」

確かに、結愛は仁柳にわざとマウントをとって悦に入っている様子もあった。

「だから、少し怖がらせてやろうと思って…」

力無い仁柳の涙声が取調室に響く。

「では、朴木さんと桔梗さんがお付き合いしていた事についてはご存知でしたか?」

取り調べの相手が女だからか、幾分猪又の態度が柔らかい気がする。仁柳はふるふると首を横に振り、否定の言葉を口にする。

「知りませんでした。優愛からそんな話も聞かされてなかったですし、そんな素振りも無かったので。それに、知ってたら…あんなこと…」

それはそうだ、優愛が朴木と恋人同士だと分かっていれば、材木谷には気が無い事になる。万一気が有ったとしても、二股なんてしたら材木谷が気付くだろうな。盗聴も出来ただろうし。修羅場に突入だろう。まあ、優愛はそんな状況も楽しみそうだけど。でもそんな事をしたら嫌われて周りから男の影が無くなる事もあり得る。そんな事は優愛としては避けるだろうな。常にちやほやされたい性格だったからな。

「結愛にとって私は、所詮マウントをとるためだけの道具だったって事なんですかね…」

ぽつりと呟くと、彼女の瞳から再び涙が溢れ始めた。結愛はどうだったか知らないが、彼女にとって結愛は多少なりとも友人として大切に思っていたってことなのだろう。

ま、女の涙には要注意っと。

こほん、と猪又はわざとらしく咳をすると、話題の転換をする。猪又は女の涙に弱いらしい。

「あなたが桔梗さんと二人きりで部屋で過ごすことはありましたか?」

仁柳の肩がびくりとした。

「あります…。でも、結愛だって私の部屋に来てたし…。普通じゃないですか!」

そうですね、と猪又は仁柳の言葉に同意を示しつつ、最後に質問をする。

「あなたにとって、桔梗さんはどういった人でしたか?」

その質問で、仁柳の瞳に涙が再び溢れてくる。

「結愛が例え、私をマウントの道具としか見てくれていなかったとしても、私は…私にとって一番大切な…」

そこまで言うと、言葉が出なくなってしまったのか、あとの言葉を聞くことはできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。