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探偵は喋らない  作者: 犬犬太


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「まずは、材木谷 康さん。被害者の桔梗 結愛さんとはどういった関係だったかお聞かせ下さい」

翔は周囲の探索をぼんやりと続けながら、猪又達の声に耳を傾けている。

「結愛と俺は以前付き合っていました」

材木谷の一言に猪又達刑事は一様に反応する。何か思うところがあるらしい。

「現在はどういった関係でしたか」

「友人です」

猪又の声に部長の声が続く。すると、そこに別の声が割り込んで来た。

「何言ってるんだ、友人じゃないだろ。復縁を迫って、付きまとってたじゃないか」

気障野郎の声だ。まあ、復縁を迫ってたのは何となくでもわかってはいた。

「付きまとってなんか、」

かっ、とした様に部長が声を荒らげた。そして、気障野郎の胸ぐらに掴み掛かった。

「俺は知ってるんだぞ、お前が桔梗ちゃんの荷物に盗聴器を定期的に仕掛けてたのを」

胸ぐらを掴まれたまま、どうだと言わんばかりに気障野郎は部長を挑発する。挑発に乗ってしまったのか、部長が拳を振り上げようとした瞬間、刑事の一人が止めに入る。

「材木谷さん、盗聴器の話、詳しく教えていただけますか」

猪又が貫禄十分に、部長に詳しく話すように迫った。

猪又のプレッシャーに負けたのか、渋々といった様子で部長が話し始めた。部長が言うには、盗聴器を仕掛けていたのは本当の事らしく、結愛の荷物に時々、小型の盗聴器を仕掛けていたらしい。

盗聴器の話しを聞いた翔は思い出した様にオレを喋らせる。

「この部屋に、盗聴器を仕掛けたのはお前か」

オレは真っ直ぐに部長を見つめた。翔はちらりと視線だけをほんの一瞬だけ部長に向けた。

オレの言葉に部長は下を向き黙り込んでしまうが、何かを隠していることは一目で分かる。

「この部屋に仕掛けてあったという盗聴器でしたら、今、鑑識で指紋採取しています」

刑事が告げると部長の緊張感が更に強くなった様な気がした。素手で触った覚えでもあるのだろうか。

「これで材木谷がストーカー決定だな」

気障野郎が鬼の首を取った様に鼻で笑う。

「そんなことを言うなら柘植、お前は結愛の事を付回したりしてたじゃないか」

知っているんだぞ、と部長が気障野郎に凄んでみせる。

「付回しなんてそんな事・・・」

焦ったように否定する気障野郎に翔がさらに追い込みをかける様にオレを喋らせる。

「ゴミを漁っていたのもお前だったのか」

オレの言葉に周囲がざわつき始める。

「そんな事してたんですか」

地味な姉ちゃんが柘植から恐ろしいものでも見た様に後ずさりながら呟いた。

「それじゃあ、隠し撮りも柘植くん、君がやった事だったのか」

顧問が、きっ、と睨み付けると、気障野郎が慌てて否定をする。

「付回したり、ゴミを漁ったのは認めるけど、隠し撮りなんかしてない」

無実の罪の上塗りは嫌だった様で、気障野郎は素直に自分の罪を認めた。

それでは、隠し撮りはいったい誰だと周りがざわつく中、一人、顔を俯け黙り込んだ人物。

「隠し撮りはあんただろ」

オレは地味な姉ちゃんに向かって言い放つ。翔もちらりと覗き込むような視線を向けた。

周囲の人間の目が一斉に地味な姉ちゃんに向けられた。まさかといった視線から逃げるように地味な姉ちゃんは顔を俯かせ体を捩った。

「隠し撮りに関しては、結愛が亡くなる前から気が付いていた」

オレは地味な姉ちゃんが隠し撮りの犯人であるとする根拠を、隠し撮り写真を見せながら説明させられる。

一つ目に、大学構内の写真が多いにも関わらず、家の近辺の写真はほとんどと言っていいほど無い。二つ目が、結愛と地味な姉ちゃんが同じ講議の時の写真が無い。そして三つ目があれだけ休み時間放課後と共に過ごす時間の長い二人のはずが、一緒に映る写真が無いこと。これら三つの点を警察に伝えると、警察も写真を確認し、オレ達の話を信じたのか、地味な姉ちゃんに事情を聞き始めた。

地味な姉ちゃんが言うところには、自分がマウンティングの道具にされているのが許せなかった、という事らしい。まあたしかに、数日の間、一緒に過ごしただけでもその様に取れるやり取りや何かが何度かあった。自分をよく見せるために友達を利用する、女って怖いね。

で、だ。結愛の周りで起きていたストーキング犯は分かった。あとは、顧問の朴木に付いてだな。

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