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探偵は喋らない  作者: 犬犬太


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翔の決心を無駄にしてしまう事件が数日も経たずに起こってしまった。


決心から三日後の朝、日課になりつつある結愛からの朝のメールが、前日に約束した時間を過ぎても一向に届かないのである。

いくら何でも、予定から一時間近く過ぎた。ただの寝坊だろうとは俺も翔もこの時は思っていた。いい加減、学校の授業も遅刻してしまう時間だ。モーニングコールに桔梗の携帯電話へ発信をする。しかし、耳に聞こえてくるのは二十回近いコールの後に発せられる機械的な女性の繋げないと言う案内音声だけ。もしかすると、ただシャワーやマナーモードなどで携帯電話のコール音が聞こえず気が付かないだけかもしれない。

けれども、姉ちゃんは今、ストーカーに狙われている状態だ。警戒するに越したことは無い。

翔は心持ち急ぎながらも辺りを警戒しながら歩いて行く。結愛の部屋に近付くにつれて、嫌な予感が翔の頭の中にじわじわと広がっていく。

一応、オートロックのマンションの扉で結愛の部屋の番号を押す。何度が繰り返しチャイムを鳴らすも一切の反応がない。万が一のために借りておいたスペアキーでマンションの入口を翔は足早に通り過ぎた。なんとなく遅く感じるエレベーターに乗り込み、そわそわと、癖では無いはずの貧乏揺すりが自然と出てしまっている。相当焦っているようだ。

目的の階へ到着し、結愛の部屋の前へと向かい、一応の声掛けをする。

「桔梗さん、大丈夫ですか?何かありましたか?」

翔は扉を叩きながら結愛にひたすら呼びかける。それでも返事がないのを確認すると、合い鍵を取り出し一人言のように呟いた。

「桔梗さん、返事がないので開けますよ?」


そろりと忍び込むように細く開かれた扉、いくら返事かないからといきなり部屋を覗くような事が出来ない翔は、視線をなるべく下にしたまま部屋をそっと覗く。部屋の明かりが全て消され、自然光の明るさだけの部屋は薄暗い。それから少し扉を開けると、顔だけで覗き込むように扉の隙間から頭を差し入れる。視線を下から、蛇行するようにそろそろと上へと動かして行った。

視線の端に倒れた椅子、散らばった本、そして、天井から伸ばされた電灯のコードで首を吊った結愛の姿だった。翔は咄嗟に結愛の名前を何度も呼びながら、結愛の体を持ち上げ生死の確認をする。しかし、翔が判った事は、結愛の健康的に伸びた肢体がもう決して動かない事、そして、魅力的だったあの笑顔が見られなくなった事だった。

「・・・っ、守れなかった」

翔の右の拳が床に振り下ろされる。こんな姿の翔を俺はかつて見たことがなかった。

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