第11話 未知との遭遇
今、俺は未知との遭遇の真っ最中だ。
そいつは、木の影から現れつぶらな瞳で俺を見ていた。
俺はあいつの声を聞くまであいつの存在に気づかなかった。
気配感知さん仕事してくださいよ。
推測だが、今の気配感知の熟練度だとあいつのいるところまで感知し切れないんだろう。
そこまで離れていないように思えるが、虫を探す分には苦労していなかったが、随分と狭い範囲を感知していたらしい。
くそ。
もっとスキルの熟練度上げをやっておけば良かった。
そう考えてる間にも、角の生えたうさぎはじりじり近付いてくる。
頼むからどっか行ってくれよー。
さっきから冷や汗ドバドバなんだよ!
うさぎってかえる食べたりしないよな。うさぎといえば、たんぽぽ食べたりにんじん食べたりするような生き物だよな?
間違っても、かえるなんかを食べたりしないよな?
MPがまだ回復しきってないせいで体が上手く動かないっていうのに。
この状況どうしたらいいんだよ。
いや、動けないからどうしようもないんだけどな。
今の俺には、あいつの目的が俺じゃないことを祈ることだけだ。
頼むからたまたま通りかかっただけであってくれ。
まあ、通りがかりついでに食べられでもしたら、目も当てられないんだがな。
いや、明らかに俺に向かってきてるな。
角生えたうさぎ、角うさぎは、獲物
体は、まだ動かない。
うさぎが来るまでに動けるようにはならないか?
くそ、まだ視線をあいつに向けるので精一杯だ。
気付くと、すでに角うさぎは俺の目の前まできていた。
え、せっかく異世界に転生したのにもう死ぬのか?
嫌だ。死にたくない。
また俺は、何も出来ずに死ぬのか。
ただ自分の死を待つことしかできないのか?
何か方法はないのか。何かこの状況を打開できるような何かは。
冴えない男子高校生の脳みそには、冴えた案など浮かんでは来なかった。
角の生えたうさぎは、大きく口を開けた。
そこには、うさぎの口には似合わない鋭利な牙が生え揃っていた。
やっぱりこいつ、肉食だわ。
生き物は、生き残るために環境に合わせて進化していくという。
こいつに生えた角は、明らかに相手を傷つけるためのものだ。
そして、この肉を噛みちぎる牙。
明らかにこいつは肉食だ。
俺を食べるつもりなのは、ほぼほぼ確定だな。
草食であってほしいという、僅かな希望は完全に崩れ去った。
まあ、この状況でこいつが草食なわけないか。
さっきまで俺が青虫を食べていたように、こいつも俺を食べようとしている。
ただそれだけだ。世界は弱肉強食。弱いやつは食べられ、強いやつが飯にありつけるのだ。
今回はたまたま、俺がその弱いやつだっただけの話だ。
ただ、それだけのことなんだろうが、悔しい。
強くなりたい。
大きく開かれた口は、俺を胃の中に収めようと一直線に迫っていた。
うさぎには似合わない牙が綺麗に生え揃ってやがる。
これは、死んだな。
死を前にして一瞬だけ冷静になった心は、そう思った。
「キャインッ」
刹那、妙な鳴き声がした。
あれ、来ないぞ?
目の前まで俺を食い殺さんと迫っていた牙は直前で動きを止めていた。
こいつ、、、死んでる。
一瞬のことで気づかなかったが、角うさぎの体に1本の矢が突き刺さっていた。
一撃で絶命している。
誰だ。
誰がこいつを殺したんだ?
「雨が降ってきたから村に帰ろうかと思ったが、収穫無しにならないですんだな」
女の声だった。
声のした方を向くと、弓を持った人影が木の上に立っていた。
こいつが、この矢の持ち主か。
まだ顔ははっきり見えないが、1人みたいだ。
というか今の声、日本語だったぞ?
もしかして、俺以外にも日本から転生した人がいるのか?
俺は奇しくも蛙に転生してしまったが、人間に転生した人がいてもおかしくない。
というか、その方が真っ当な気がする。
うん、蛙に転生っておかしいだろ。
あの蛙じじぃ。
それよりも、今は正体を確認する事が先だ。
木から降りてきた女の人は、弓を背負っていた。おそらく、この弓で角うさぎを殺したんだろう。
「ゲ、ゲコォ」
角うさぎを殺したのは、人間じゃなかった。
「む、命拾いしたな。小さいの」
体の一部、それも耳が。明らかに普通の人間とは違っていたからだ。
「危ないところだったみたいだな。」
耳がとても長い。俺のいた地球ではありえないものだ。しかし、俺はこの存在を知っている。
実物を見たことはなかったが、画面の向こう側で見たことがあった。
ファンタジー世界でお馴染みの、エルフだ。
エルフは美しく涼しげな瞳で俺を見つめていた。
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プロローグを加筆修正しました。
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最近、ヒキガエルの飼育を始めようかと思っています。




