第13話 畑作り開始!! ……え? 何? 素早くできないのは私だけ?
「それではこれから柵を作ります!!」
『キキッ!!』
『ほいっ!!』
「まず、私たちが集めた丸太と板と、切ってもらった丸太と板を、ここへ運んでください!!」
『キキッ!!』
『ほいっ!!』
すぐに、空間から丸太と板を大量に出し、その場に山のように積み上げるルーファス。家の方へ走って行き、これまた大量の丸太と板に浮遊魔法をかけ浮かべると。そのままさっさと私たちのところへ戻ってきて、ルーファスが作った山の上に、それを積み上げるラウル。
……いいですね。簡単に持ち運びができて。私はまだ、魔法が使えないからなぁ。いや、魔法が使えたとしても、物を運ぶための魔法は使えないから、どっちにしてもダメだけどさ。2人ともすぐに終わりすぎじゃない?
はぁ、今度、物をたくさん運ぶための何かを考えないとな。あれが良いかも。農業とか工事現場で物を運ぶ時に使うやつ。前に車輪が1つ付いていて、手元を持って押して運ぶ一輪車。あれがあると私でもきっと、少しは物を多く、そして素早く運べると思うんだよね。
ちなみに浮遊魔法は、希少な魔法らしい。この前、私たちを助けてくれた、周りに同化する魔法とこの浮遊魔法、あと1つだか2つだか、ラウルは特別な魔法が使えるらしいよ。まだ、どんな魔法か聞いていないけどね。
私は家の前まで歩いて行き、とりあえず持てるだけの丸太を持って、さっきいた場所へそれを運んでいく。まぁ、丸太と言っても、直径約10センチくらい、長さが1メートルくらいの小さい物だけどね。
それでも今の私にとっては大きく、数本しか持てないから、何度も往復しないといけない。私が運んでいる横で、すでに自分の分を運び終わったルーファスとラウルが、応援をしてくれている。
『キキキーッ!! キッキキーッ!!』
『頑張れフィオナ!! 負けるなフィオナ!! 力の限り運ぶのだ!!』
……運ぶのだって、何その応援は。でも、本当に頑張らなくちゃ。
今まではルーファスの空間魔法で、何でもかんでも運んでもらって、私はずっと楽をしてきたけど、良い加減、私も役に立たないと。
丸太を落とさないように、確実にさっきの場所まで運んでいく。そうして6往復もすれば、何とか自分のノルマの丸太を運びきることができたよ。でも、ここで終わりじゃない。
今度は幅が約5センチ、厚さ約2センチ、長さが約1メートルくらいの木の板を運ぶ。綺麗にすべすべにした板だから重ねたら、丸太よりも1度にたくさん運ぶことができるよ。
『キッキキー、キッキキー♪』
『がーんばれフィオナー♪ まーけるなフィオナー♪』
私が運ぶのが遅いせいか、ルーファスとラウルは普通の応援に飽きたらしく、歌いながら、踊り付きの応援を始めた。しかも丸太と木の板で、曲芸みたいなのも始めたし。待たせているのは申し訳ないけど、気が散るからやめてくれないかな。
こうして、曲芸を気にしながら、往復すること15回。そのあと、他にも細かい物を運ぶこと約40分くらい。私は何とか、自分の分の材料を全部運ぶことに成功したんだ。
「ふぅ!」
『フィオナ、よく運べたわね。偉いわ。このまま作業を続けられそう?』
「うん!! 大丈夫!!」
『そう? なた良いけれど、疲れた時はちゃんと休むのよ』
「うん!!」
セイリーさんに返事をしてから、すぐに次の作業に入る。
「ルーファス、ラウル、待たせてごめんね。それじゃあ、次の作業。丸太を地面に突き刺します!!」
『キキッ!!』
『ほいっ!!』
私たちは一体何をしているのか。今日はここで暮らし始めて初めて、畑を作ろうとしているところだよ。
数日前、レジナルドが私の魔法でやらかして、一直線に草原と地面を燃やしたでしょう? それで私はその時、その焼かれたところを見てあることを思いつき、そのことについてセイリーに相談したんだ。
何を相談したかと言えば、燃やしちゃった場所をそのまま残して道を作るというものと、畑を作っても良いかという相談ね。
草原を歩くのは、とても気持ちが良いんだけど。それからルーファスやラウル、他の魔獣たちが草の間を進むのは、大して問題はないらしいんだけど。
私がみんなに合わせて、草原を足早に進むとなると、やっぱり歩き辛くてね。草原に何本か、草のない道があると良いなと、少し前から思っていたんだ。
そうしたら、家の方から反対側の白いベールのようなもののところまで一直線に、良い幅で草が燃えたからさ。これを道として使えないかって、あの時すぐに考えたの。
でも、子魔獣たちの遊び場ではみんな、使った場所は元に戻していたでしょう? だから焦がした道も、元通りの草原に戻さないといけないのかなと思って、まずはそれをセイリーに相談したんだ。
そして相談の結果は、土地にちゃんと感謝して使うのなら、問題ないってことで。焦げちゃった地面は、綺麗な土と入れ替えて、そのまま道として使うことに。土の入れ替えは、勝手に魔法を使わせた罰として、セイリーさんがレジナルドにやらせたよ。
それから、もう1つの相談の畑についてね。
こっちに関しても、相談するまでは、草原を畑として使うことができたなら。でもやっぱり、さっきの道のことじゃないけれど、元に戻さないといけないなら、畑としては使えないんじゃ? と、考えていたの。
でも、道のことを先に相談して、土地に感謝をすれば、使って良いということが分かったからね。畑として使うことについての話はすぐに終わって、他のことを相談することにして。それで、畑の柵について相談したんだ。
別にそこまで大きな畑を作るわけじゃないし、私たちしかいなんだから、誰がどこを使うとか、場所を分けなくても良いんだけどさ。ここにはこの作物を植えるって、作物ごとに綺麗に分けた方が良いと思ってね。それをするのに、柵をしようと考えたの。
それから畑だけじゃなくて、道の両脇にも柵をした方が、道って感じになって良いかなって。
そうして考えた柵が、丸太と板で作る柵だったんだ。丸太を等間隔に地面に突き刺していって、そのあと丸太に木の板を貼り付けるの。
本当は釘で留めて、しっかり作った方が良いんだろうけど、私たちが釘を持っているわけもなく。
他にも、丈夫なツルとか、森の素材を使って、丸太と板をしっかり結び付けるのはっていう話も出たんだけど。なるべく私たちだけで、畑を作ろうとしているのに、小さな私の力と、ルーファスやラウルじゃ、しっかり結べないしで。ここでちょっと話が止まったんだ。
そうしたら、どんな素材でも、どんな形状でも、しっかりくっ付けることができる粘液を体から出す。大きさは牛くらいで、姿はカエルのような魔獣、グルーガという魔獣がいるということを教えてもらってね。
その魔獣にお願いしにいって、直径30センチくらいの、丈夫な木の実の殻に3つ分、体液をもらったんだ。足りなくなったらいつでもくれるって。
ちなみに、剥がしたい場合には、別の粘液を使うよ。グルーガは、張り付ける用と剥がせる用、どちらも出すことができるの。だから剥がす用の粘液も、木の実の殻3つ分もらってきたんだ。
というわけで、私たちは木を張り合わせて柵を作ることに。でも、まずはしっかりと丸太を地面に突き刺さないとね。
「見ててね。こうやって、こうして……、とりあえず地面に刺したら、こうして上から叩いて……」
最初に見本を見せる私。丸太を何とか地面に刺してから、石と木で作ったトンカチ風の道具で、丸太の上を叩いて、しっかりと動かないように突き刺す。
トンカチの叩く石部分は、レジナルドでも壊すのが大変な、とっても硬い石を使って。持ち手の木の部分も、同じように硬い木を使って、それを粘液でくっ付けたんだ。
そうして、1本目をしっかりと突き刺した私は、ちょっと間を開けて、2本目の丸太を地面に刺し。それから3本目も、同じ間隔を開けて突き刺したよ。
「どう? こんな感じで、同じ間隔で丸太を地面に突き刺すの。できそう? 無理そうなら、みんなで一緒にやろう」
ルーファスとラウルは、いろいろなことができるけど、でも人の手を使うような、細かい作業は、さすがにできないでしょう?
丸太を支えて、地面に突き刺して、それから上からしっかりと叩き突き刺す、なんて難しい作業はできないと思ったから、そう言ったんだよ。でも……。
コソコソと相談し始めるルーファスとラウル。それから5分くらいして、
『キキキッ、キキキキキ!!』
『ぼくとルー、一緒にやるから大丈夫』
そう、2人に言われたんだ。
ということで、とりあえずルーファスとラウルの、丸太立てを見ることに。そうして2人がやった丸太刺しは……。
『ふーん、ふんっ!! とぉっ!! ルーっ!!』
『キキッ!! キキキキキッー! キキッ! キキッ! キキッー!!』
『うん、完璧。……たぶん?』
『キキキ、キキ?』
『フィオナ、これで大丈夫?』
『キキ?』
「……うん、大丈夫だよ」
私は思わず心の中で、舌打ちをしてしまった。何でもできて良いね、ってね。今、ルーファスとラウルがやったこと、それは……。
まず、ラウルが浮遊魔法で丸太を3本浮かすと、それをヒュンヒュンヒュンッ!! と等間隔で地面に突きさし。そのあと丸太が倒れないように、ワン、ツー、スリーと順番に、丸太の上部分に蹴りを入れる。
そしてそれが終わると、今度はルーファスが、物凄く高くジャンプをして、それから高速宙返りをしながら降りてくると、ビシッ!! バシッ!! ビシッ!! と丸太の上部分にヒップドロップをくらわせたんだ。
そして確認のために触った丸太は、私よりもしっかりと地面に刺さっていたよ。
え? 何? この世界の子神獣も子魔獣たちもみんな、こんな凄いことができるわけ?




