第10話 私たちの本当の力とルーファスの本当の姿?
「私たちの力について?」
『キキ?』
『ついてぇ?』
……ラウルは毎日当然のように、私たちと一緒にいるけど良いのか? いや、ルーファスと楽しそうに遊んでるし、遊びに来てくれるのは嬉しいけど。他の友達と、向こうの遊び場箱庭で遊ばなくて良いのかな?
最近は遊びだけじゃなくて、家具や、家具の配置も気にしてくるし……。もしかして家が欲しいのかな?
家を作ってもらって数日。箱庭での生活がさらに快適になって、ここでの生活にもだいぶ慣れた頃、レジナルドがあの話をしてきたんだ。そう、私たちの力についてだよ。
魔の森で力を調べた時から、私たちの力に何ともいえない反応をしていたレジナルド。一体どんな話なのか、初めて調べた時よりも、実はもっと能力が低かったとかなら困るなと思っていたから、この話はとっても大事。
だって、能力がまったく上がらない私は、これ以上下がったところで、そこまで支障はないけどさ。
ルーファスは普通のコジョとはいえ、騎士たちを追い払った風魔法に、何でも、いくらでもしまえる空間魔法が使える、コジョの中では凄いコジョなんだから。この力が弱くなるなんて、そんなのダメだよ。
うん、まず、細かい話を聞く前に、それだけは先に聞いちゃおうかな。ドキドキしたまま、前置きの話を聞くのはちょっとね。
そう思った私は先に、今まで気になっていたことを聞いてみることにしたよ。
「ねぇ、レジナルド」
『ん?』
「話を聞く前に、聞きたいことがある」
『そうか? よし、何だ?』
「魔の森で、私が、私たちの力が弱まっちゃった? って聞いた時、レジナルドは違うって言ったけど。でも、その時からレジナルドは、私たちの力のことを話すときはいつも、変な顔をするようになった。私ね、それはなんでだろうって、ずっと思ってたの。今日の大切な話、力が弱くなったって話じゃないよね?」
『変な顔?』
「うん、ずっとこんな顔」
私はレジナルドが、力の話をしていた時の顔をしてみる。本当、何ともいえない顔をしていたんだよね。
『我はずっとそんな顔をしていたのか?』
「うん」
『そうか、それはすまなかった。今から、お前たちの力の話をするが、力が下がったわけではないから安心しろ。それどころか、お前たちの力は、本当はもっと素晴らしいものだということを、これから話そうと思っていたのだ。そして、本当のルーファスについてもな』
「素晴らしい? 弱くなったんじゃない? 本当に?」
『ああ、本当だ。そんな顔をしているとは思っていなかったのだ。それでずっと心配させていたとは、いや、本当にすまなかった』
「ううん。弱くなったんじゃないなら良かった。でも……私たちの力が素晴らしい? それに本当のルーファス?」
『よし。まずは、お前たちの力について話そう。フィオナ、お前の力は、まったくレベルが上がらないものではない。それどころか上限がなく、鍛錬をすればするほど、力はどんどん強くなっていくぞ』
「え?」
まさかまさかの話だった。私の魔法の鑑定結果は、確かに1だけだったはず。それ以外の数字が、まったくないね。
鑑定だって、教会の1番偉い人がやってくれたから、間違いはないはずだし。なんだったら、父様と母様が、そんなことがあるわけがないって騒ぎまくって、5回も鑑定したし。私も確認したんだから。
それなのに、今レジナルドは何て言った? 本当のルーファスについても、ものすごく気になるけど、上限がなくて、鍛錬をすればするほど、力が強くなっていくって?
「本当? でも私の魔法の数字、1しかなかった」
『ああ。普通に見ればな』
「ん?」
どういうこと? 普通に見ればって、普通の鑑定以外に何かあるのか?
『お前の力は特別なものなのだ。だから普通の人間では、鑑定することができなかった。いくら鑑定の能力に長けている人間でもな』
「特別?」
『そうだ。だがな、我は王。それ相応の力を持っているから、お前の真の力を見ることができたのだ。この印を知っているか?』
レジナルドが爪で地面にある文字を書く。それを覗き込む私とルーファスとラウル。それは『∞』の印だった。
この印……、というか記号か? いや、記号ともいえないか。地球だとこれは、無限っていう意味の記号だけど、この世界では別の意味があるかもしれないし。
「これ何?」
『キキ?』
『変な印。くるんくるん』
『我も、この印を見るのは100年ぶりなのだが』
100年!? 魔獣王、今何歳なんだ!? って、よく考えれば王なんだから、別に不思議じゃないか。そもそもこの世界の魔獣も人も、他の種族の人たちも、みんな普通に長生きだし。100歳なんて普通に超えるから。
『この印が付いていると、その魔法は無限に強くなり続けるのだ』
無限、意味はそのままでいいみたいだね。でも……、私の鑑定結果に、こんな印は付いていなかったよ?
「私の魔法の数字の横。この印ついてなかったよ?」
『それは、お前の秘めている力が特別で、周りに知られないようになっているからだ』
「ん?」
よくよく聞いたレジナルドの話はこうだった。
どうも私の力は、鑑定の儀で見た力以外に、たくさんの情報が隠された状態だったらしい。本当の力を、他の人に知られないようにね。
そしてレジナルドは過去に、今の私と同じような人、数人に会ったことがあるんだけど。その人たちも、いくら鑑定しても、他の人がその人の本当の力を見ることはできなかったんだって。
どうしてそんなことが起きるのか、それはレジナルドにも分からないみたい。私たちを守るための自衛本能か、それとも力がそうさせているか。
ただ、魔獣王くらい力があると、その隠されている力も見ることができるの。それと自分も、力が上がれば自然と自分の力に気づけるらしいんだ。そして、その能力は特別なものばかりで……。
私が見たものは、【召喚】1と、【魔獣育成】1だったけれど、実は横に印が隠されていて。本当の能力は【召喚】1/∞と、【魔獣育成】1/∞だったんだ。
しかも、この2つの能力だけじゃなく、実はもう1つ【神獣育成】1/∞という能力が隠れていたんだよ。
でも、まだまだこれだけじゃ終わらなかった。他の基本魔法もみんな、レベル1で終わるはずだったのに、こっちもすべて∞で。魔力量も今は5歳児の平均なんだけど、将来的には∞になるらしいの。
まさかの自分の能力に、本当にびっくりしたよ。だって、父上や母上、他の人から散々馬鹿にされ、罵られ、暴力まで振られたのに、本当はこんな凄い力だったなんて。
それと、驚いたとともに、どうしてこの能力が隠されるのか分からないけれど、隠してくれて良かったとも思ったよ。
だって、こんな凄い力だと父様や母様が知ったら? 絶対に私を手放さないだろうし、どんな無理難題を言われることか。挙句、父様たちのために酷使され、ボロボロになるまで使われて、最後には? 本当、鑑定の儀で知られなくて良かった。
『驚いたか?』
「うん。こんなに凄いなんて。ぜんぜん気づかなかったよ」
『まだ、小さいからな。私が知っている人間も、大人になって初めて気付いたと言っていた』
「そうなんだ。……もしかして、魔法の使い方を知らないのに、ルーファスを召喚できたのは、今、レベルが低くても、練習すればいつかは強くなる魔法が、たまたま使えたからなのかな」
『そうかもしれんし、お前とよほど相性があったからなのかもしれん』
「うーん」
『でだ。お前の魔法とルーファスは、かなり関係がある。いや、全ての魔法が繋がっているというべきか』
あ、そうだ。本当のルーファスとか言っていたっけ。本当のルーファス? ルーファスはルーファスだけど、一体、ルーファスがどうしたんだろう。
『お前はルーファスのことを、魔獣のコジョだと思っているが。というか、ルーファスも自分をコジョだと思っているが、それは違うぞ』
「え?」
『キキ?』
『ルーファスは神獣シルフェリオだ。風の精霊だな』
「え?」
『キキー?』
え? 今、なんて言った?




