一か月
その日の夜。再び冒険者用の宿に泊まることとなった私は、クライドがいない時を見計らってレオンと話をすることにした。
「俺はギルドから指導を受ける度に、クライドに注意をしたんだ。いくら正論でも限度がある、相手の人格まで否定しちゃいけないって。けれどアイツは『俺は本当のことを言ってるだけだろう?』って言って、ちっとも改善しようとしなかったんだ」
レオンは歯を食いしばり、痛みに耐えるような表情で目を瞑る。
妹である私の手前、レオンはクライドの横暴をあまり表沙汰にできなかった。
だけど今となってはもう、隠しきれないぐらいクライドの行動は目に余るものとなっているのだろう。レオンはそれでも私やクライドのために状況を打破しようとしてくれた。『方舟に曳かれて』というパーティーのために一人、奔走していた。だけどもう、それでは限界なのだろう。
「この一ヶ月の間でクライドが態度を改めるようなら、俺はクライドを追放しないことに決める。だから、イヴもクライドになるべく注意をするようにしてほしい」
宥めるように、だけどしっかり言い切ったレオンに私は曖昧に頷く。
クライドは私たち『方舟に曳かれて』の一員であり、家族のような存在――私にとっては血の繋がった本物の家族だ。けれどその状況に甘んじていた結果クライドは驕り高ぶり、『方舟に曳かれて』はブラック入りしても仕方が無いパーティーだという評価を下されてしまった。……今日、私はそれを嫌というほど痛感したのだ。
パーティーとしてのランクが下がるにしても、このままクライドを追放しなければメリットよりデメリットが大きくなる。これから一ヶ月の間、それが緩和できるかどうか。かすかな希望に縋りながら私はレオンにおやすみを告げ、自分の部屋へと戻った。




