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チートな兄を追放しました~パーティー≠ファミリー~  作者: ミント


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デュラハン討伐

「イヴが本気なのはわかってるし、自暴自棄になったわけじゃないのはわかってる。あの、クライドの連れ……ハーフエルフの言うことが本当なら、討伐依頼を受けたのは賢明な判断だったと思う。だけど、やるならこっちはまだまだ準備不足だ。イヴはまず、何をするつもりだ?」


 冷静なリーダーの顔になって、宿で私と向き合うレオン。


 とんとん話でデュラハン討伐が決定し、焦るところもあるだろう。けれど依頼を受けると決めたからには、それを遂行するために思考を研ぎ澄ませできるだけのことをする。そんなレオンに私は感謝と尊敬の念を抱きつつ、慎重に言葉を選びながら話す。


「私は普通に戦ったら絶対に勝てないから、覚えたばっかりだけど移動魔法を組み込んだ戦い方をしたいと思う。頭部を狙えないぶん、とにかく相手の懐に入り込んで正確かつ鋭い一撃を与えられなければ倒せないと思うから……とにかく私はまず移動魔法の練習と、それを戦闘に組み込むための演習をしようと思う」


「そうか、俺はじゃあそのサポートに入る形でいいか?」


「レオンにはできれば、私の戦い方を見てもらってその上でどう動けばいいかを指示してほしい。共闘ができるなら二人で攻撃した方が撃退できる可能性が高まるしパーティー、『方舟に曳かれて』として勝利するなら私たち二人の力でデュラハンを撃破しないといけないから」


 なるほどな、と頷くとレオンは目を瞑り、眉間の辺りを指で押さえる。これは彼が集中して物事を考えている時の癖だ。それだけ真剣に今回の依頼を考えているのだ……そう気づくと同時に、私はふと「クライドが今のレオンのように、私のことを考えてくれていた時があっただろうか」と思い至る。




 生まれた時から一緒にいて、常に持て囃された私の上位的存在。だけどそんなクライドが私のことを心配し、本気で悩んでいる姿など見たことがない。クライドは天才だから、大概のことは自分でなんとかできるから、といった理由はあるだろう。だが私のために心を砕き、なんとかしようと動いてくれたのはいつもレオンだった。「パーティーは家族」だなんてよく言ったものだ。私の両親や私がクライドに依存していたのに反し、レオンは『方舟に曳かれて』のリーダーとして私とクライドを根気強く「仲間」として扱ってくれた。お互いを尊重し、助け合い、時に衝突しては和解する。それが家族のあるべき姿であると言うなら、どちらが本当の「家族」なのかわからないものだ。そう、自嘲気味に考えているとレオンが目を開き私の方をじっと見据える。


「まずはイヴの剣術と覚えたての移動魔法を組み合わせた戦闘を実践してみよう。俺はあくまで勇者だから正直、剣の道には疎い。だから他のパーティーやフリーの剣士に手合わせをお願いしてみよう」

 レオンの言葉に私は、力強く頷く。


 レオンが、私のパーティーのリーダーで良かった。やっぱり、「パーティーは家族」なのだ。そんな温かな思いを、私は静かに心で噛み締めるのだった。


 剣士協会は「協会」と冠しているがギルドと違い、固定された土地を持っているわけではない。「剣士は自らの腕で道を切り拓くべし」という美学があるためか会合なども少なく、広い場所を必要とする機会があまりないからだ。なのでお互いの連絡手段は基本的に手紙が原則、それも冒険者ギルドを介して、とされている。そんな中で私は便箋を前に、迷っていた。


 私も剣士である以上、剣士仲間や知り合いもいるが彼らとて自分のパーティーに依頼があるのでそう簡単に都合はつかない。まして私がクライドと対立し、デュラハン討伐を引き受けたことを耳にしていれば関わりたくないと思う者もいるだろう。それでも、引き受けてくれそうな人物といえば……唯一、心当たりのある人物に向かって私は筆をしたためる。




 先日の騒動に居合わせたわけではないが、事情を知っているらしいギルド職員は私の顔を見て明らかに顔を強張らせた。それでも私は構わず手紙を差し出し、返事が来るのを待った。


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