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25話:馬上にて(女性side)

前回の簡単なあらすじ:ルークとプロトンは先に出発した。


遅れてしまい、申し訳ありません。

女性キャラ視点です。


 ~アリサ視点~



 ルークとプロトンサマが先に出てしばらくして、アタシたちも馬車に乗って出発した。騎乗するか徒歩だと思ったら、ご丁寧に馬車が4つ用意されていた。ひとつは姫様とルル様、そして数名の護衛が乗る。あとの3つはそれぞれ物資用、調理師などの非戦闘員用、そしてアタシたち団員の交代用の荷馬車だ。

 馬車は大きさの関係で、半分に分かれて乗る必要はあるが、元々全員徒歩のつもりでいたアタシたちには嬉しい待遇だ。さすが姫様も参加するだけあって、アタシたちへの配慮も格が違うぜ。


「だ、大丈夫かな…」

 交代で馬車に乗っていると、隣の同期のヤツが心配そうに後ろの方を見ている。まあ、何を心配しているかはわかるんだが…

「だ」

「大丈夫だって~☆」

「きゃあっ!!」

「おいネネ被せんな。」

 突然外からネネが声をかけ、中のみんなが驚いた。ネネ(コイツ)だけはずっと外にいて、常に周囲の索敵にあたっている。交代を申し出たところ、「慣れてるからヘーキヘーキ!」とのことだった。まさかずっとこのまま行くつもりか…?

「まあ気を取り直して。心配なのは分かるけど、そこは心配要らないよ~。なにせあの三人が一緒にいるんだからサ☆」

「「「「ああ~…」」」」

 それを聞いて、みんなが納得する。確かにあっちには、能力的にも相性的にも適したヤツを行かせた。問題はないだろ。ただーー


「ま、“隊長”が最後まで持つかはわからないけどね☆」

「「「「……」」」」

 とたんにみんな黙った。大丈夫かな…



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ~フレデリカ視点~



「皆さん、今朝家の者からクッキーを手渡されたんですの!お裾分けいたしますわ!!!!!!」

「あ、じゃあお一つくださいな?」

「…‥すみません、やはり私にも下さい。」

「レナさんもどうぞ!シルフィ様もルル様も召し上がれ、ですわ!!!!!!」

「え、あ、はい。」

「あ、ありがとうですわ…」

 当初、シルフィ様とルル様が放つプレッシャーが、団長(フェリシア様)に挨拶をしたあたりから強くなり、お二方に声をおかけするのが(はばか)られた。それはほとんどの団員もそうだったようで、いつもは接客を担当するアリサですら、「後は任せた!」と言って私の妹(カミーユ)含めた私たち5人の護衛に丸投げしたほどである。私がいったい何をした…

 しかし、我が妹ながらカミーユはさすがである。出発して数分で、自分の空気にしてしまった。今ではすっかり和んだ空気がーー


「あ、あの!」

 ここで、一緒に乗っているメンバーの一人であるフラン殿が声を上げた。馬車に乗っている全員が視線を向けて、一瞬たじろいだものの、なにか決意をしたような顔をすると、シルフィ様とルル様に向かって言った。

「先ほどの話は、本気なのですか。」

「先ほど、とは?」

「出発する前、フェリシア様におっしゃっていたことです。『任務が成功し、戻った際にはそちらへお伺いしたい』と。」

「ええ、本気ですわ。」

「はしたなかったとは思いますけどね。」

 確かにお二人は、出発する前、フェリシア様にそのようなことをおっしゃられていた。しかしそれがどうしたというn




「お二人はやはり、シルエイティ公爵家へ嫁ぐおつもりなのですね?」

「「ええ、もちろんです(わ)」」




 ーーそうだった。そういえばそうだった。昨日レナやネネも言っていたじゃないか。お二人はルーク・ゼネルに好意を持っていたって。フラン殿はなぜこのタイミングで言ったのだ…

「ーーわたしも、ルーク様のことはお慕いしておりました。それこそ、中等部を卒業する際、告白もいたしました。」

「「「……!?」」」

 お二人だけでなく、私も大層驚いた。な、なるほど。団長(フェリシア様)は確かに修羅場になるのでは、とおっしゃっていた。しかし、これは予想以上の危険度を含んでいるのではなかろうか。皆が同乗を遠慮したのは、賢い判断だったようだ。まずい、お二人のプレッシャーがまた襲ってきた。私では対処できない。残りの護衛メンバーに助けを、って、


「何してるんだお前たち!!!!!!」

「「「クッキーを食べています(わ!!!!!!)」」」

「それは見れば分かる!!!!!!なんでこのタイミングで食べ続けている!!!!!!」

 なぜこの状況でそんなに図太いのだ、この三人は。特に、

「お前もか、アリア・クラスト?」

「ふぁい?」

「アリアさん、しゃべるときは飲み込んでからです。」

「ーーんぐんぐ、ゴクッ。すみません、急だったので。」

「相変わらずですわね、アリアさん!」

「すみません、そろそろ続けてもよろしいでしょうか?」

「あ、ああ、すまないフラン殿。」

「「「私 (ワタクシ)((わたくし))たちにはお構いなく(、ですわ!)」」」

 ーー確かに話を最初に止めたのは私だ。しかし、どうしても釈然としない。なぜこの三人は、未だに食べ続けているのか、そしてそれを誰も咎めないのか。


「はぁ~。」

「まあまあ隊長、お気持ちはなんとなく察せますが、そう肩肘張らなくてもいいですよ。ようは負け犬三匹の哀れな遠吠えなんですから。」

「「「うぐっ!」」」

 アリアのことばに、お二人とフラン殿がダメージをうける。普段はおっとりしていて、物腰も柔らかい彼女だが、物言いはかなり容赦がなく、加えて肝も据わっている。おかげで街での荒事の大半は言葉だけで納めてくれているが、多くの人が泣かされた。

「まあ(わたくし)もルークさんは慕っていたので、公爵家に突撃しようというその意気は尊敬いたしますが」

「お前もか…」

「はい、少なくともこの任務に自ら参加している方はみな、ルークさんには好意を持っていましたよ、ねえ。」

「彼には恩義があります。」

「彼のいい点を挙げていくと、素晴らしいエピソードはたくさんありますわよ、お姉様!!!!!!」

「そ、そうなのか。」


 今回の任務では、私を除いた団員は、すべて志望者で構成されている。皆が皆、今回の任務に役立つ技能を持つ者が選ばれていたため、あまり気にしていなかったが。


「ですがお二人とも!!!!!!その目標を達するには、任務の成功が絶対条件!お覚悟はよろしくて?」

 カミーユがそう言って、お二人に発破をかける。お二人はそろって不敵な笑みを浮かべ、カミーユに返す。そしてそのままプレッシャーは霧散して、再び穏やかな時間が訪れる。ひとまず安心である。



「彼なら、隊長の悩みに答えを出してくれるかもしれませんよ?」

「…‥!?」



 レナの方を見ると、彼女はいつもの無表情の中に、ほんのりと笑みを浮かべていた。彼が私の悩みを、かーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 一方その頃。


「ぶえっくしっ!!!!!!」

「おいおいまたか。こりゃあっちは完全にお前の話題で持ちきりだな。」

「大丈夫かなあ。」

 ルークのくしゃみは、止まる気配がないのであった。



読んでくださりありがとうございました。

女性キャラ視点はやはり難しいですね。

どうしても時間がかかってしまいます…

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