わからぬ心
「心……そうね、魂の宿る器だけじゃダメだわ。でも、どうやって……?」
一つ、また一つと確実に言葉を紡いでいく。
その言葉こそが、己の白き炎を灯し続ける力だと確信しているから。
この炎を灯し続ける事が重要だ。
森を闇に飲み込ませてはならない。
「まず、ネラ自身の問題点の指摘をする」
ウルフは真剣な眼差しで見つめながら言う。
その瞳から、闇の侵食の気配を感じる。
ウルフは自分に「決定的な何か」が欠けている事を確信している。
ネラはそっとテーブルの木の実に手を伸ばした。
「私の……何が足りないというの?」
ただ、それだけで自然と言葉が紡がれていく。
指から伝わる森の息吹。
それが自分に闇を照らす力を与えてくれているのが感じる。
そう、これは問題などではない。
ウルフが問題を提示するという事は、同時に対処する方法も考えているはずだ。
だから、次の彼の言葉を待とう。
そこに、この崩れた大樹を退ける方法はあるはずだ。
「お前は人の心がわかってないんだ。森に一人で篭り、人と関わらない生活を送っている」
ウルフは自身の胸に手を添えて言う。
ーー心がわかっていない
「根源の力に必要な『火の感情』に最後に気づいたのがそれを表している。魂に感情が必要だなんて、最初ではなくても、少なくても最後に気づく部分ではないだろ?」
ウルフの瞳は、変わらずネラを捉えていた。




