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ネラ物語〜深き森にて、禁忌を求める孤高の魔女〜  作者: 星狼
〜森の外へ〜

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36/45

街へと着いたネラ達。

ウルフ達は歩き続ける。

ネラも静かに彼らの後を追う。


彼の足音だけでない。


無数の足音が重なり合う、絶え間ないざわめき。

鍛冶屋の金槌が鉄を叩く、規則的な金属音。

森にはなかった音が耳に飛び込んで来る。


鼻に突くのは、

焼けた肉と香辛料、鉄と炭、染料と革……

森の清浄な空気とは正反対の、複雑で濃厚な人間の匂い。

鉄と炭の焦げた熱い匂いもする。

多分、鍛冶屋から届いている匂いだ。


今、森の外にいる事を改めて実感する。


遠くから、ゆっくりと鳴り響く重い音が届く。

足が止まり、音の方を見る。

だけど何も見えない。


ーー多分、教会か何かの鐘が響いた音


ネラはそっと心を鎮める。

ウルフ達の足は止まっていない。

歩幅を小刻みにして、着いていく。

石畳の地面が足裏に硬く、冷たく伝わる。

森の柔らかな土とは違っている。


そして、ウルフは一件の酒場の前で歩みを停めた。

酒場の入口には『街の人』が立っている。屈強な男だ。

ウルフは男と何やら話し始めた。


視線を酒場の看板へと移してみる。

『妖精の抱擁亭』


彼らしくない店だなと感じた。

妖精の名を冠した、柔らかな響き。

ウルフの荒々しさとは、どこか遠い。


ウルフは男にいくらかの金貨を渡したようだ。

「この店だ。いい店だぜ?」


ネラに振り返り笑顔を見せ、店の扉を開いた。


ネラもただ着いていく。

扉の向こうからは、酒と煙と笑い声の混じった空気が流れ出て来た。

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