探究者
ウルフは続ける。
声は低く、しかし確かな熱を帯びていた。
「いや、安心しろ。あくまで今の技術ならってだけの話だ……俺達探究者ってのは、それを可能にする技術を生み出すのが役目だ……当然、その新しい技術も持って来た」
身体に生が溢れ出る事を感じる。
死の亡者は生によって消えていく。
そして、今目の前に立つ男も死神ではない。
ーー彼はウルフだ。
自分と同じ探究者であるウルフだ。
同じ真理を追求する者。
新しい技術がある。
その言葉にネラの手が震える。
それは亡霊に怯える恐怖心ではなく、探究者としての決意。
「新しい……技術……?」
ネラの瞳に再び魂が宿る。
死と対極に存在する、生の魂が再び瞳を白く燃え上がらせる。
それは、身体の底から浮かび上がる白い炎。
ゆっくりと、しかし確実に輝き始めた。
「とりあえず研究室が爆発したのはある意味幸運かもしれないな……街で話そう。いい店を知ってんだ。一杯奢るよ」
ウルフはネラに言う。
その通りだ。
まだここには目に見えぬ亡霊が存在する。
今の自分にとってはそんな者は構ってられない。
「そうね。ここでは危険だわ。あなたの話を、ゆっくり聞かせて……」
ウルフは森の外へと向かう。
ネラもその後を追う。
禁忌を追う者達は、森から街へと拠点を移す。
朝の光が木々の隙間から差し込み、霧が薄く溶けていく。
森から出る道は、強く輝いている。




