第24話:幕間小ネタ
■アルナプルナの級分:
■5級:アルナプルナに入門した人に最初に割り当てられる級。一人前の治療師と同じ能力を持つ。
卒業時の反応「君、アルナプルナに入門できたのに何やってたの? まるで成長していないじゃん」
■4級:一定以上の能力の向上が認められた証。
卒業時の反応「君、凄いじゃないか、ちゃんとアルナプルナで頑張ったんだね。偉いよ」
■3級:明確な基準が設けられ、治療師見習いであれば『解毒』の聖術を発動できるようになること。
卒業時の反応「本当!? 君、そんなに凄かったの? いや、ごめん正直みくびっていたよ」
■2級:人によっては生涯至れない領域に至った人間に与えられる証。数十年に一人の逸材。
卒業時の反応「は、え、うそ……おいおい、王家からも通達がくるんじゃないか?」
■1級:伝説。人を超えた存在。
卒業時の反応「……ありえない……君、本当に人間?……あ、いや、ごめん」
* * *
■聖女聖術の知名度について:
A:通常のヒールや聖剣に代表される使用頻度の極めて高い聖術。一般的にも広く知られている。
B:教会関係者は確実に知っている。一般でもそれなりに知られている、高い確率で使われる聖術。
C:教会関係者でも知らない人がいる。一般ではよほどマニアでなければ知られない使用頻度の低い聖術。
D:教会関係者でも一部の人しか知らない。使用頻度が著しく低い聖術。
E:知られざる聖術。使用しても気付かれない、もしくは使われたことが無い聖術。
既にメリーは初代を除き、歴代聖女を優に超えた人数を癒している。そのため今後ニトから与えられる聖術は、歴史上、記録されたことのない聖術になる。
* * *
■小ネタ:
1話冒頭の「この場にいる全ての者は『光と癒しの女神ニト』に誓い、真実のみを語ること。誓う者は聖句を唱えよ」に対し、マヌルとリリアーヌは聖句を唱えていない。
リリアーヌもまさか追放されるとは思っていなかった。1級の貴重さは理解しており、流石にメリーも反論すると思っていたからだ。
夜着の証拠についても、自分が付けたと言い出すだろうと予測していた(その場合は「言い訳が見苦しい」と一蹴するつもりだった)。
最終的には、「修練期間も残りわずかなのだから、監視をつける」その程度の判決になると踏んでいた。
このときは自分にも監視を付けられる可能性があるが、自分は話好きだし聖女になるつもりも毛頭ない。
1人でいることが好きなメリー(メリーはそう偽っていたし、リリアーヌもそう思っていた)に対しての嫌がらせができればよかった。
マヌルはメリーが紹介状一つ取れないと思っているが、そのまま修練を終えた場合、紹介状は不要になる。
4級以上はアルナプルナ大聖堂から実力の格付けを受けているようなものなので、それ自体が紹介状代わりとなる。
なお、ニト教は宗教組織であり、聖術師の修練を行っているのはアルナプルナ大聖堂であるため、大聖堂による格付けとなる。
■教会の仕組み:
ニト教の運営資金は喜捨と各国からの献金よって行われている。代わりに教会は治療師の調整を行っている。
治療師が居ない村や町への派遣。国をまたぐ場合もあるので希望者を募る場合もある。金額の調整、高い分には自己責任だが、安すぎる場合は警告を出す。
■聖堂騎士:
聖堂騎士に就いている間の賃金はニト教から出る。代わりに国の騎士としてではなく教会及び治療師を護るために働くことを義務付けられる。
■そもそも治療師見習いに言いよるのはいいの?:
本人の同意の元なら問題はない。アルナプルナに18歳で入学すると、卒業は22歳くらいになるため。
基本、この世界では平民女性は16歳くらい、男性も20歳くらいで結婚するため、結婚してから入門、もしくは聖堂内で結婚というのもありえる。
聖堂騎士も本来は国にある聖堂を護っていますが、数年に一度大聖堂へ出張するため、出会いの場としても機能しています。
■なんで聖石をもっと隔離しないの?:
警護の観点から見ると中庭を壁で覆ったり、網を掛けたりすることはできない。
聖石探しは人生を棒に振るのと同義です、そんな居ない人間のために聖堂騎士の移動や、視線を妨げるようなものを配置したりはしない。どれだけの費用が掛かると。
■聖石で聖女になれる伝承を伝えなければいいんじゃない?:
聖女は非可逆なので「あれれ~なんか光る石を持っていたら嫌われ者の聖女になっちゃった」となると目も当てられません。
聖堂騎士も「この光る石ってなんだ? 綺麗だから彼女への贈り物にしちゃお」とか「え!? 聖石ってそんな危険なもんだったんすか、ただの光る石だと思って麓に捨ててました」などとされると困るため。
そのため大聖堂に入門したときにしっかりと教えられます。重ね重ねこの世界の聖女は嫌われています。禁忌よりもまず進んでなろうとする人はいない。
メリーは例外中の例外です。
■アルナプルナの麓:
聖気の濃度は頂上に近い程高くなり、逆に麓に降りるほど薄くなる。それでも他の場所に比べて聖力の回復量は多いため、大聖堂に落ちた人達が住み着いている。
(もちろん大聖堂に近い場所はさらに回復速度が上昇するが、聖堂騎士が見回りしているため近づけない)。
「私はアルナプルナ大聖堂の方で修行しました!」
* * *
リマゾンの街役組、なんの因果か、リックとマウロが鉢合わせる。
「「…………」」
サーナがオロオロと見守るなか2人は無言で見つめ合う。普段ならここで売り言葉に買い言葉、取っ組み合いが始まるところだ。
職員もまたかとうんざりしながら腰を浮かした時に
「「……ふん!」」
サーナとギルド職員があっけに取られる中、2人はそのまま通り過ぎていった。
…………………………
「こんにちはー」
「いらっしゃいませー」
サーナが肉屋さんに行くと見知らぬ人が迎えてくれた。
「あれ、いつもの女将さんは?」
「あら、サーナちゃんじゃない。いらっしゃい」
「あ、おばさん、こんにちは」
「はい、こんにちは。こちらミーシャさん、街役組から紹介してもらってね、今日から働いてもらってるの」
「そうなんですね。よろしくお願いします」
「ええ、よろしくね。私にもあなたくらいの子供がいるの。テオって言うんだけど」
「あ、知ってます。よく籠を卸してる子ですよね?」
「まぁ! 知ってるのね」
「はいっ」
「すみませーん、兎肉もらえますか? 3枚」
「はーい」
相手にした母親の足には黄色い飾り紐を付けた女の子が抱き着いていた。
「あ、ナオさんこんにちは。メイヤちゃんも」
「あら、サーナちゃんじゃない」
「メイヤちゃんどうしたんですか?」
「ほら、こないだ教会で」
「あ……」
「もしかして、サーナちゃんも? まぁでも大丈夫よ、体はすこぶる健康なんだから、いずれ心も追いついてくるわ」
「そうですね」
「はい、兎肉おまちどー。銅貨3枚ね」
「はいありがとー」
「まいどありー。サーナちゃんはどうする?」
「あ、買います買います。私も兎肉ください」




