第28話 RAINBOWS
アガーシャと戦う。
それを決意してからの行動は、早かった。
まずはグループ名の決定。これは、瑠奈の案で「RAINBOWS」に決まった。
見てくれた人同士や、広島と全国。そんな様々なものを繋ぐ架け橋になりたいという思いからだ。
次に、曲の作成。前まで作っていた“rainy Rain”ではなく、新しい曲を作って歌いたいと瑠奈が言い出したのだ。もちろん、「ただでさえ時間が無いんですよ!?それこそ無理ゲーです!」なんてチセちゃんには言われていたけれど、瑠奈は「お願い」と頭を下げたのだ。
「rainy Rainとは、フォーメーションも振り付けも違う曲を作りたい。人の目を引くような曲にしないと、アガーシャには勝てないと思うから」
確かに……rainy Rainは良くも悪くも、王道なアイドルソング。アガーシャより「目立つ」には、派手さが足りないかもしれない。
「だったら、どうすんのさ」
尋ねる颯姫に、瑠奈はこう答えた。
「カラーフラッグを使って、見た目を鮮やかにするの。前四人……メンバーは夢色マーチを作ってくれた四人で……あと、後ろは残りの五人っていうフォーメーションにしたい。マイクは前四人がスタンドマイクを使って、後ろ五人はピンマイクね」
カラーフラッグ……って、あの、マスゲームで使ったやつかしら。
「カラーフラッグ……?」
首を傾げる花蓮ちゃんに、瑠奈が説明する。
「そう!うちの学校ってね、二年生になったらマスゲームっていう、旗を使ったパレードみたいなのするんだよね。で、そこで二種類の旗を使うから、それを借りてパフォーマンスに取り入れようと思って!」
あ、やっぱり合っているのね。それにしても、カラーフラッグかぁ。
確かに、鮮やかな色だし、人目を引くとは思う。ただ、それだったら体育館の舞台だと狭くないかしら……
そんな私の疑問を汲み取ったのか、「大丈夫、場所は中庭のフラワーステージだから」と瑠奈は言った。
フラワーステージは、(多分)うちの学校だけにある場所だ。文化祭などで書道部やダンス部がステージ発表に使う、開けたステージ。
なるほど、そこだったら思い切り旗を振れるからいいかもね。
「てことで、いい?」
瑠奈の言葉に全員が頷くと、あとは各自担当の仕事をこなす。
瑠奈が急いで作詞を終え、悠里ちゃんが作曲を開始。曲の大部分が出来次第、殊乃ちゃんがダンスをつけていく。
私は、瑠奈からイメージを聞いて衣装作り。デザインは私だけで終えたけど、作るのは花蓮ちゃん、真奈ちゃん、鈴蘭ちゃんも手伝ってくれた。ちなみに、チセちゃんはアクセサリー作りをしてくれた。
そして、颯姫はカラーフラッグを借りる交渉、それから放送部にマイクを借りる交渉をしに行った。どちらもあっさり終えてくるあたり、颯姫はこういうのが向いてるのかもしれないわね。
そんなこんなで各自本気を出して励んだため、本番にはなんとか間に合うような形となった。
「いやー、正直、出来ると思いませんでしたよ」
本番の前の日、駅まで全員で帰っていると、チセちゃんが言い出した。
「確かに、チセちゃんの言う通りだよね〜。夢色マーチより時間の余裕があったとはいえ、学校生活との両立は疲れたよ……」
これは真奈ちゃんのセリフ。
「ていうか、ゆうりん、大丈夫?ここ数日ずっと死にそうな顔してたけど……」
花蓮ちゃんが心配そうに言うと、「大丈夫……」と死にそうな顔のまま悠里ちゃんが答えた。
やっぱり、疲れるわよね。これだけ急いで準備したんですもの。それに、一年生たちはまだ入学したばっかり。学校生活に慣れていない状況で、よくここまでやってくれたわ。
「皆、今日まで本当にお疲れ様!今日はしっかり体を休めて、明日、全力で挑もう!」
そんな瑠奈の言葉に
「「「「「「「「おー!!!」」」」」」」」
全員の声が重なって、なんだか物凄く青春だな、なんて思ってしまった。




