第27話 信じてるよ
朝。あたし、瑠奈、実莉が教室に行くと、真奈、花蓮、悠里、殊乃、それから連れてこられたのだろう、鈴蘭とチセがいた。
「おはよう、三人とも」
笑顔で言ってくる真奈に、瑠奈が返す。
「おはよう、真奈ちゃん、花蓮ちゃん、悠里ちゃん」
真奈と同じように笑顔で返す瑠奈に、恐る恐るといった様子で花蓮が聞く。
「おはよう、瑠奈ちゃん。……私たちの動画、見てくれた?」
花蓮たちの動画……それは、昨日悠里が投稿した、『夢色マーチ』のPVのことだろう。
あたしはアイドルのこととか全くわかんないけど、クオリティ高いな、初めて作ったとは思えない出来だな、なんて思った。それになにより。
四人の諦めたくないって気持ちが、めちゃくちゃに伝わってきた。四人の情熱にガツンと殴られたような、そんな気さえした。それくらい……あたしの心は情熱を忘れてたんだ。
「見たよ……ごめん、花蓮ちゃん。私、甘かった。簡単に諦めようとしてた。それじゃダメだって、四人は思ったんだよね。戦わないと変わらないって、思ったんだよね……!」
瑠奈のことだ、多分あたしたちに恥をかかせないように、なんて思っていたんだろう。だけど、四人は戦わず負けを迎えることより、挑んで少しでも勝機を見出すことを望んだ。
それって……めちゃくちゃいいことじゃんね?
四人とも、自発的に入った訳じゃなくて、瑠奈とかあたしとかに誘われたから始めたって感じなのに。そんな四人が、あたしたちの心を変えるために、曲を作ってつきつけてきたのだ。
それって、最高のメンバーじゃん!
「瑠奈ちゃん、それじゃ……!」
嬉しそうな顔をした花蓮に頷き、瑠奈は言った。
「うん。戦おう、そして絶対に勝とう。アガーシャはものすごく強い。力量差は圧倒的。だけど」
「だけど?」
実莉が言うと、瑠奈は自信に溢れた笑顔で言いきった。
「この学校を、この土地を、一番愛してるのは私たちだから!それは譲れない。だから、絶対に勝とう!みんな、一緒に来てくれる?」
そう言った瑠奈の周りを見回すと。
笑顔の鈴蘭と実莉、溜息をつきつつ笑うチセ、それから……安心したように笑う、真奈、花蓮、悠里、殊乃。あたしたちのチームが、そこにはいた。
悠里が笑いながら、瑠奈に言う。
「ふふ、瑠奈さん。悠里は、瑠奈さんならそう言ってくれるって信じてましたよ」
「ありがとう、悠里ちゃん。そう言えば、殊乃ちゃんは結局、どうする?」
え……あ!?
まさかここでやめるとかいうオチじゃないよね!?すっかり忘れてたけど、殊乃ってまだ体験入部じゃん!
「私は……今は、陸部の方はお休みさせてもらってるんだ。とりあえずアガーシャとのバトルが終わるまで、こっちに専念したいって伝えてる。その後のことは、バトルが終わってから考えようと思って」
そっか、ならバトルは一緒に出てくれるんだ。
「よかった……こんなすごい曲を作ってくれた一員なのに、バトルは出ませんとかだったらどうしようかと思ったよー!」
そう言って笑う瑠奈は、すっかりいつも通りの元気いっぱいな瑠奈になっていて。あたしは、少しだけ安心した。少しだけね!
その日の放課後、教室に来たアガーシャに、瑠奈は自信を持って答えた。
「アガーシャ、ライブバトル、しよう!」
瑠奈のその言葉を聞き、アガーシャは真面目な顔で「ありがとうございます」と言った。
「ねえ、アガーシャ。私たち、結成してからまだ数日しか経っていない、ド素人だけど……この学校が、この土地が、大好きなんだ。だからさ」
「ライブバトル。絶対に負けないよ」
そんな瑠奈の強い視線を受けたアガーシャは、瑠奈の目をじっと見て、
「望むところです」
と言ったのだった。




