第17話 最後の一人は
「え、アイドル……?」
ほら、目の前の子、困惑しちゃってるじゃない。瑠奈はいつも猪突猛進すぎるのよ。
「そう、アイドル!やってみない?めちゃくちゃ可愛いし、絶対人気出るって!」
瑠奈が更に言う。もう、困らせないでよ……
そう言いながら私が口を開きかけた時。
目の前の女の子が、頭を下げて言った。
「私、今急いでいるので……お話はまた今度聞きますから!すみません!プリントありがとうございました!」
そう告げると、散乱したプリントをまとめて持っていた瑠奈の手からプリントを抜き取り、脱兎のごとく走り去って行った。
「ねね、脈アリだと思う!?」
瑠奈が笑顔で振り向いて言う。
「ないと思うわ」
「無理でしょうね」
「あはは……ちょっと無理っぽいですよね」
私、チセちゃん、新メンバーちゃんが言うと、「そんなぁ〜!」と瑠奈が悲鳴をあげた。
やれやれ……
「瑠奈ちゃん、とりあえず教室に帰りますか?他の方たちも来てるかもしれないですし」
新メンバーちゃんのその一言により、私たちはその場を後にした。
……先生たち、うるさくしてごめんなさい……
さて、勝手知ったる私たちの教室……三年四組教室に戻ると、颯姫と花蓮ちゃん、そして知らない二人の子。上履きの色的に一年生ね、花蓮ちゃんか颯姫が呼んだのかしら?
私たちの姿を確認するなり、颯姫が言った。
「瑠奈、実莉、チセ、やっほ。新メンバー連れてきたよ」
あ、新メンバーなのね。今日は多いこと……なんて思ってたら、私の隣で瑠奈が元気よく言った。
「やっほー、颯姫、花蓮ちゃん!とそこの二人!こっちも新メンバーがいるよ!」
まあ、それはいいとして。
「とりあえず座りましょ、話はそれからよ」
私はそう言い、チセちゃんと新メンバーちゃんに座るよう促す。颯姫たちはもう座っていたから関係ないけどね。
「えーとね!こっちサイドから挨拶するね!私、野沢瑠奈だよ!三年!で、アイドル活動の言い出しっぺです!よろしくね!」
そう言って、ちらっとこっちを見る…あ、次は私が言うのね。
「初めまして、私は吹雪実莉。三年生で、瑠奈とそこにいる颯姫の幼なじみで一緒にアイドルを始めたの。よろしくね」
私が言い終わると、瑠奈がちらっとチセちゃんの方を見た。なにかしら、これ……
「私、菊池チセと申します。二年生です。以後、お見知り置きを」
前々から思っていたけど、チセちゃんの話し方って独特よね。まあ、いいのだけど。
さあ、最後はこっちの新メンバーちゃんかしら?
私の予想通り、チセちゃんに目配せされたその子が話し出した。
「初めまして、チセちゃんに誘われて入りました、河本鈴蘭と言います。よろしくお願いします」
鈴蘭ちゃん、ていうのね。見た目通りふわふわした声で、可愛い子だわ。
さあ、これで私たちは終わったわね。次は颯姫かしら。
そう思っていたら、颯姫が口を開いた。
「あたしは雨宮颯姫。瑠奈と実莉と同じ三年だよ。よろしくね」
「私、一年の橘花蓮です。よろしくお願いします」
颯姫に次いで花蓮ちゃんが言い終わると、颯姫が手を伸ばして、隣に座っているボブヘアの子の肩を叩いた。そして、肩を叩かれた女の子が話し出す。
「初めまして、私、一年の三角真奈です。颯姫ちゃんに誘われて入りました」
あら、颯姫が誘ったのね。どういう経緯で誘ったのかが気になるけど、先にもう一人の子の名前を聞かなきゃ。
でも、もう一人の子は口を開かない……どうしたのかしら?
なんて思ってたら、真奈ちゃんがもう一人の子に向かって、「ほら、悠里、話しなって」と言う。その声に促され、もう一人の子はゆっくりと口を開いた。
「あの、わ、私、竹本、悠里です……一年です……」
うーん、激しい人見知りなのかしら。まあ、仲良くなっていけば問題ないわね。
それより、人数も増えてきたわね…もう八人。最後の一人はあの子になるのかしら?




