第18話 みんな同じ気持ち
「ところでさー、さっきの女の子、名前なんて言うの?」
自己紹介も終わり、話に一段落ついたころ、瑠奈ちゃんがそう切り出した。
うーん、私は知らないなぁ……私、小学校も中学校もこの辺じゃないし、知り合いがほとんど居ないから分からないんだよね。
誰も答える人がいない中、チセちゃんが「私、知ってますよ」と声をあげた。
「二年生の真宵殊乃さんです。陸上部の部員で、なんでも部内で一番早いとか。出身中学は私と一緒で西中ですね。あと、部活では遠距離の選手で、去年の高校女子駅伝では区間賞を貰っていたと思います」
ほえー、相変わらずよく知ってるなぁ……さすが(自称)情報屋だね。
にしても陸上部かぁ……それ、尚更無理じゃない?そんなすごい人が始めたてでなんの実績もない、陸上とも関わりのないアイドルなんかやってくれるかなぁ……
「ま、それはあとで!とりあえず今日やることをしよう!まず明日と明後日練習出来るか聞きたいんだけど、どう?」
そっか、明日は土曜日だ。入学してから初めての休み。でも、みんなに会えるのが嬉しいから練習自体は楽しみだね。
みんな同じ気持ちなのか、明日と明後日は一日練ということになった。
「よし、じゃあ早速体力作り……」
練習も決まり、瑠奈ちゃんが言いかけると。実莉ちゃんが「ちょっと、瑠奈」と止めた。
「役割分担はどうするの?誰が何をするか決めておかないと、曲作りに取り掛かれないわ」
確かに、それはそうだ。私が納得していると、瑠奈ちゃんが「作詞は私やるよ!」と挙手して言った。
「私ね、中学時代文芸部だったし、ケータイ小説書いてたりもするんだよね。だから、作詞は任せて!あとは作曲と衣装とダンスだけやってもらえたら!」
それはだけって言うのかな?まあ、作詞をやってもらえるのは有難いよね。
「それなら私、衣装のデザインくらいならするわよ。流石に作るのは誰かに手伝ってもらいたいけれど」
瑠奈ちゃんの方を見ながら実莉ちゃんが言う。おお、すごい!そっか、一人じゃ大変だよね。だったら、
「それなら私、衣装作りやる!」
私は言った。少しでも実莉ちゃんの力になれるならいくらでもやる!
それは鈴蘭ちゃんも同じだったらしく、「私もやりますよ〜」と言ってくれた。
「あとは、ダンスと作曲よね……誰か出来るかしら」
呟く実莉ちゃん。ダンスも作曲も専門分野っぽいしなぁ…なんて思ってたら。
悠里ちゃんがおずおずと手を挙げて言った。
「あ、あの……悠里、作曲ならできます」
悠里ちゃん、すごい!作曲できるの!?
驚くみんなに、真奈ちゃんが言う。
「悠里は小さい頃からピアノを習ってるの。それに、中学の時は吹部でサックスやってたし、音楽センスはバッチリだよ!」
ピアノにサックス!?なんか意外……サックスって花形楽器でしょう?(今日の様子を見た感じ)引っ込み思案で人見知りな悠里ちゃんからは、なんか想像できないや……
「ありがとう、悠里ちゃん!」
瑠奈ちゃんの言葉に「い、いえっ!大丈夫ですっ!」と返す悠里ちゃん。
「あとはダンスよね……どうする?」
颯姫ちゃんが言う。うーん、ダンスかぁ……ダンスはなぁ……
「ま、そこは後で考えればいいんじゃないかな!とりあえず練習しよ……ってあれ?」
元気に言ってた瑠奈ちゃんが突如、戸惑いの声を上げた。そんな瑠奈ちゃんの目線の先を見ると、そこには、六時を指す時計が……
え、もう六時!?早くない!?
私たちは急いで荷物を片付け、教室を出る。みんな下駄箱まで(本当はいけないけど)走って、何とか最終下校時間までに学校を出ることが出来た。
「疲れたな〜」
「ねー」
なんて話す颯姫ちゃんと瑠奈ちゃんを見ながら、私はふと思った。
明日の練習楽しみだな。




