ゲームセンター
ピリッとした冬の冷気が頬を撫でる通りを、俺たちは並んで進む。
「達也くん、この…あとはお買い物だよね?」
「そうだなー。」
俺がそう答えると、郁美は急に足を少し緩め、コートの袖口を両手でギュッと握りしめてモジモジとし始めた。
どこか遠慮がちで、けれど伝えたい言葉があるような、モジモジした戸惑いが彼女の全身から漏れ出している。
「あ、あのね……うーんと……その……」
「ん? どうした?」
立ち止まった俺に向けて、郁美はゆっくりと顔を上げた。
白い息がふわりと宙に浮かんでは、すぐに冬の空気に溶けて消えていく。
「ちょっとだけ……ゲームセンターとか、行きたいかなー……って!」
そう言って上目遣いでこちらを見つめてくる郁美に、そんな顔をされたら断れるわけがない。
「……よし! それじゃあ今日は、とことん遊ぶか!」
俺が笑いながら答えると、郁美は胸の前で両手をギュッと握りしめ、弾むような声で小さく「やったぁ!」と喜んだ。
俺たちはそのまま、駅近くにある大型ゲームセンターへと向かった。
重い自動ドアが開くと、賑やかな電子音と色鮮やかな照明の光、それにかすかに漂う甘いお菓子の匂いが、一気に俺たちを包み込む。
まずは入り口近くにあったUFOキャッチャーに挑戦した。
ガラス越しに覗き込んだ郁美が「あ、あのぬいぐるみ可愛い……!」と指差したのは、大きなモコモコのペンギンの抱き枕だった。
「よし、任せろ!」
格好をつけてアームを操作するも、一回目はあえなく空振り。
「あーっ、惜しい!」と郁美が隣で一緒になって一喜一憂する。
二回目もわずかに届かず、位置を慎重に微調整して挑んだ三回目、ついにアームがぬいぐるみをがっしりとキャッチし、そのままゴトンと出口に落ちた。
「取れたー! 達也くんすごいっ!」
郁美は受け取ったぬいぐるみをギュッと抱きしめ、飛び切りの笑顔を俺に向けてくれた。
柔らかそうな頬をぬいぐるみに擦り寄せる仕草が、見ているこちらまで温かい気持ちにさせる。
続いて向かったレーシングゲームでは、郁美が「ああっ、曲がれない〜!」と悲鳴を上げながら思い切り体を傾けてハンドルを切る姿が可愛らしくて、俺も思わず頬を緩めつつ本気でアクセルを踏み込む。
結局俺が逃げ切って勝利したが、郁美は「もう一回! 次は負けないから!」と頬を膨らませて意気込んでいた。
さらに奥のコインゲームコーナーでは、プッシャー型の大きな台に二人で並んで座った。
コインゲームに関しては、郁美の独壇場だった。
次から次へと爆当たりを連発し、あっという間に三箱分くらいのコインが目の前に積み上がっていく。
「え、すごいね……!」と当の本人も驚くほどの勢いだった。




