クリスマスイブ⑥
俺は画面をタップし、感謝を込めて返信の文字を打ち込んだ。
『無事、郁美は元に戻ったよ!
和真にはいつも助けられてばかりだな。
本当にありがとう!
また今度、飯でも奢らせてくれ』
それから送信ボタンを押して、スマホをポケットへとしまい込んだ。
(和政のおかげで、郁美は無事に戻ってきた。
……あとは、桜だ)
小さく息を吐き出し、俺は画面の中で爽やかなキャスターたちがイブの混雑状況を伝えるテレビに目を向けた。
BGM代わりに流れる浮かれたニュースをぼんやりと眺めながら、郁美が降りてくるまでの残りの時間を潰した。
テレビの音をBGM代わりにぼんやりと眺めていると、階段の方からトントンと軽やかな足音が近づき、リビングのドアが静かに開いた。
「達也くん、お待たせ……!」
声に振り向いた俺は、思わず息を呑み、そのまま数秒間フリーズしてしまった。
そこに立っていたのは、さっきまでの俺のだぼだぼのスウェットを着て眠そうに目を擦っていた郁美とは、まるで別人のような姿だった。
綺麗にブローされた髪が肩のあたりでふわふわ揺れ、ナチュラルだが丁寧に施されたメイクが、彼女の持つ透明感をさらに際立たせている。
清楚で落ち着いた冬のコーディネートも抜群に似合っていて、元々高かった彼女の美貌が完璧に完成されていた。
呪いに囚われ、どこか病み衰えて刺々しかった雰囲気は完全に消え去り、本来の可憐で華やかな雰囲気が存分に溢れ出ている。
正直、男の俺から見ても「いつも以上に美少女だな……」と直球で見とれてしまうレベルだった。
「あ、あの……
ヘンかな……?
急いで準備したから、変なとこあったら言ってね……?」
俺があまりにも無言で見つめてしまったせいか、郁美は急に不安そうになって、自分のスカートの裾をぎゅっと摘みながら、頬をほんのりと赤らめた。
「っ……あ、いや!
全然変じゃない!
すごく似合ってるっていうか……その……可愛いよ….」
「っ……!」
慌てて素直な感想を口にすると、郁美はカァッと耳まで真っ赤にして、熱を持った頬を隠すように両手で包み込んだ。
恥ずかしそうに視線をあちこちに泳がせ、もじもじとスカートの裾を指先で捏ねくり回す。
けれど、俺の「可愛い」という言葉がよほど嬉しかったのか、包んだ両手の隙間から溢れ出る笑みをどうしても隠しきれないといった様子で、キュンと胸を締め付けるような、はにかんだ笑顔を咲かせた。
その愛くるしい反応に、褒めた側の俺までなんだか急に恥ずかしくなってしまい、思わず視線を明後日の方向へと逸らしてしまう。
「じ….じゃあ……
行こうか!」
「あ、うん……
そうだね…..」
照れ隠しを覆い隠すように、郁美は少し上ずった声で弾むようにカバンを肩にかけ直した。




