クリスマスイブ①
クリスマスイブの朝。
目覚ましが鳴るより少し前、いつも通りの習慣で午前6時ちょうどに目が覚めた。
まぶたを開けると、薄暗い天井が目に入る。
カーテンの隙間から差し込むかすかな朝の光と、室内を満たす12月特有の澄んだ空気。
肌を刺すような外の寒さとは違い、暖房をつける前のこの乾いた冷たい空気は、頭をすっきりと冴え返らせてくれて、室内だと不思議と心地よく感じられる。
昨日の怒涛のような出来事の疲労がまだ身体の重みとして残っていたが、ゆっくりと布団から体を起こした。
2階の俺の部屋のベッドでは、郁美がまだ深い眠りについているはずだ。
呪いから解放された安堵と、自分が犯した罪の重さに苛まれた激しい精神的疲労。
昨夜はすっかり参っていたから、今朝はきっと泥のように眠っているだろう。
足音を立てて郁美を起こしてしまわないよう、俺はつま先立ちに近い慎重な足取りで廊下に出ると、キシキシと軋む階段を一段ずつ静かに降りていった。
(さて……今日はどうするか)
階下にたどり着き、静まり返ったリビングに足を踏み入れながら、今日一日の予定に思いを巡らせる。
終業式を終え、学校はすでに冬休みに入っているため、今日は完全に予定のないオールオフの日だ。
だが、世間一般において今日という日は特別な意味を持っている。
12月24日——街じゅうが色とりどりのイルミネーションと浮かれたクリスマスソングで満たされるクリスマスイブだ。
そんな日に、男一人で目的もなしに外へ出かけるのは、精神的にも状況的にもなかなか至難の技と言えた。
どこへ行っても、カップルや家族連れで溢れかえっているだろうしな。
部屋に漂う重苦しい静寂を紛らわせるため、俺はリビングのテーブルの上に転がっていたリモコンを手に取り、なんの気なしにポチりとテレビの電源を入れた。
『みなさん、おはようございます!
今日は待ちに待ったクリスマスイブですね!』
パッと明るくなった画面の中では、朝の情報番組のキャスターたちが、爽やかな笑顔で全員サンタ帽を被りながら画面狭しとカメラに手を振っていた。
スタジオは赤と緑のクリスマスカラーで華やかに飾られ、底抜けに明るいBGMが流れている。
『今朝の全国の天気と、気になる今日のラッキー星座占いのコーナーです!
今夜はホワイトクリスマスになる地域もあるかもしれませんよ~!』
画面の中でキャスターが楽しそうに、今日の1日の天気やら、街のデートスポットの混雑状況やら、運勢やらをテンポよく説明している。
浮かれたクリスマス特集が一巡すると、画面の端に『ニュース』のテロップが入り、アナウンサーのトーンが少し低く落ち着いたものへと切り替わった。




