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神蝕のOctahedron  作者: あさなぎ とわ


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第4話

X(旧Twitter)ヤッテマス

@towachi315



「……嘘だろ、冗談だと言ってくれよ」


冷たく無機質な鉄格子をガタガタと揺すりながら、僕は頭を抱えていた。


ここは国連軍本部の地下深くに位置する、仮設の収容施設。周囲には、先ほどまで同じ教室で和気あいあいとテストのヤマを張り合っていたクラスメイトたちが、申し合わせたように全員ぐったりと床に転がっている。


幸いにも大きな怪我をした者はいない。けれど、状況としては最悪の詰みだった。


「響くん……僕たち、これからどうなっちゃうのかな……」


クラスメイトの一人が、怯えた子犬のような目で僕にしがみついてくる。


(こっちが聞きたいよ!)と喉まで出かかった言葉を飲み込み、僕はなんとか涼しい顔を取り繕った。普段からクラスを引っ張るまとめ役としての意地がある。

ここで僕まで絶望の表情を浮かべたら、クラスの精神状態は一瞬で崩壊するだろう。


「落ち着いて、みんな。彼らは僕たちを『敵国のスパイ』か何かと勘違いしているんだ。下手に暴れなければ、言葉や身元の確認が取れ次第、解放されるはずさ」


嘘だ。そんな保証はどこにもない。

この時代の人間に、僕たちの制服や身分証が通じるわけがないし、そもそも言葉が通じるかすら怪しいのに、なぜか奇妙に意思疎通ができてしまっている現状のほうが気味が悪い。


だが、クラスメイトたちは僕のそのもっともらしい嘘にすがり、少しだけ安堵の息を漏らした。


「さすが響だな……冷静で助かるよ」


「うん、なんとかなるよね……」


みんなが少しずつ落ち着きを取り戻すのを見届けながら、僕は誰にも見えないように、自分の制服のポケットの中でブルブルと震える拳を強く握りしめた。



――冗談じゃない。


週末には予約していたサロンで可愛いウィッグを受け取る予定だったし、今月の新作コスメの限定色だってチェックしなきゃいけないんだ。こんな得体の知れない時代の、地下牢の冷たいコンクリートの上で、僕の青春が終わるだなんて許されるわけがない。


それに、だ。

(……そういえば、あの問題児はどこに行ったんだ?)


ふと、直前の混乱した戦場の光景を思い出す。


クラスメイトの誘導に必死で、一瞬目を離した隙に、不破の姿が綺麗に消えていた。あいつのことだ、どうせどこかで勝手に突っ走って、今頃は僕たちよりもよっぽど面倒なことになっているか、あるいは―。



ゴウン、と。

遠くの天井から、地響きのような不気味な振動が伝わってきた。


「……ん? なんの音だ?」


「おい、なんか揺れてないか……?」


クラスメイトたちが再びざわめき出す。

振動は次第に大きくなり、地下牢の太いパイプがきしむような金属音を立て始めた。警報の赤色灯が、薄暗い廊下をけたたましく明滅させる。


ただごとではない。そう察した瞬間、収容施設の通路の向こうから、国連軍の兵士たちが青い顔をして走り抜けていくのが見えた。


「な、なんだ!? 侵入者だと!?」


「馬鹿な、中央指令ブロックが一瞬で制圧されたぞ! 一体どんな化け物だ……!」


兵士たちの慌てふためく怒号が鉄格子越しに飛び込んでくる。


中央指令ブロックが制圧された?

たった今、この国連軍の本部で、何者かがとんでもなく派手な「暴れ方」をしているらしい。


(まさか……ね)


嫌な予感が、背筋をスルスルと冷たく這い上がる。

あの不破覇道という、暴力と狂気の化身のような男の顔が脳裏に浮かんだ。

――いや、まさかあいつ一人で軍の拠点を潰して回ってるわけがない。ないよね?


僕は鉄格子から額を離し、遠ざかる警報の音を聞きながら、冷や汗を拭うことも忘れてただただ天を仰いだ。


続きが気になる方は高評価お願いシマス!

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