第30話
「……本隊の遊撃部隊が……一瞬にして全滅しただと!?」
鈍く光る土系色の装甲を纏ったエース機であった機体のコックピットで、私はモニターに映し出された圧倒的な光景に息を呑んだ。
基地の最奥から放たれた正体不明の砲撃がカタシロを完全に停止させ、我が部隊の兵士たちがまるで糸の切れた操り人形のように次々と崩れ落ちていく。
外殻の装甲がどれほど厚かろうと、中枢回路を麻痺させられては鉄の棺桶と変わりない。
前線のガキどもを侮っていたわけではないが、その背後に控える「見えない支配者たち」の戦術眼と技術力は、我が軍の想定を完全に凌駕していた。
だが、ここで私が怯むわけにはいかない。
他の部隊の崩壊を食い止めるため、私は機体のリミッターを最大出力まで引き上げ、漆黒の煙を切り裂いて単騎で突撃を開始した。
『――小賢しい真似を! 烏合の衆が調子に乗るな!!』
咆哮と共にブレードを振り抜き、眼前に立ちはだかる深紅の機体『ヤマト』へと肉薄する。
しかし、その攻撃の軌道を見据えた相手パイロット――ミンセント・バアルは、冷徹なまでの静けさを湛えて微動だにしなかった。
『喧しい。実戦を知らぬ素人の群れを狩るだけの雑兵が、大口を叩くな』
ガキィンッ!! と、戦場の空気を切り裂くような凄まじい金属音が響き渡る。
バアル教官も切られる直前にすかさずブレードを振り敵エース機のブレードを破壊した。
圧倒的な物量とスペックの優位に胡乱をかいていたはずのエース機は、今やこの老練なる連合の犬の圧倒的な手腕の前に、ただ踏みにじられるだけの標的と成り下がろうとしていた。




