第24話
X(旧Twitter)ヤッテマス
@towachi315
幾重にも連なっていた赤い光が暗がりの中で不気味に明滅する。押し寄せるガラクタの群れは、未だにその数を減らす気配すら見せていなかった。
だが、不破は面倒臭そうに鼻を鳴らすと、わずかに身を屈め、全身の筋肉を弾ませる。
「――雷堂破ァァァァァッ!!!」
ドカァァァン!!!
轟音と共に放たれたエネルギーの嵐が、回廊の空間そのものを抉じ開ける。
圧倒的な質量で殺到していたはずの人型ゴーレムの群れは、その一撃の余波だけで文字通り木端微塵へと粉砕され、瞬く間に膨大なスクラップの山へと変わった。
あれほど群がっていた敵を一掃するのに、時間は一切かからなかった。
辺りを覆っていた分厚い粉塵が、サーッと引いていく。
しんと静まり返った瓦礫のただ中で、不破はふう、と息を吐きながら自分の肩を軽く叩いた。
「はぁ……。ま、こんなもんだろ。久々にまともに身体動かしたぜ」
「さて、と」
ガラクタの山と化したゴーレムどもの残骸を踏みつけながら、不破はふと、吹き飛ばした石壁の向こうに奇妙な空間が広がっていることに気づいた。
先ほどの迎撃戦で防衛システムが全壊した衝撃か、あるいは仕掛けられていた隠し通路の封印が破られたのか。スクラップの山に埋もれていた壁の奥がぽっかりと口を開け、そこから先へと続く新たな地下道が露出していた。軍のデータにも、古の石版のどこにも記されていない、完全に想定外のルートだ。
「はっ!派手に暴れたお陰で、思わぬ幸運が転がり込んできたってわけだ」
不破は退屈を紛らわせるような軽口を叩きながら、崩れかけた瓦礫を跨ぎ、その真新しい未踏破のエリアへと足を踏み入れた。
空気の質が変わる。先ほどの回廊よりもさらに深く、文明の気配が完全に途絶えた、異質な空間。
そこにあったのは、もはや人間の歴史など遠に超越した、冷たく静謐な地下の大空洞だった。
天井からは青白く発光する鉱石の群れが薄気味悪い光を投げかけ、その中央には――これまでの遺跡のどれとも異なる、圧倒的な威圧感を放つ巨大な構造物が鎮座していた。
遺跡の天井から漏れる微かな光が、彼の険しい背中を照らし出していた───
あの正八面体が外側から持ち込まれた異物であるならば、それをこの世界に引きずり込んだ「元凶」や、あるいはさらなる手がかりがこの古代の最奥に眠っているはずだ。軍の連中が尻尾を巻いて逃げ出し、誰も踏み込んだことのない禁忌の領域。
そこへ足を踏み入れることに、不破の恐怖心など微塵もなかった。
むしろ、退屈を紛らわせるための最高の遊園地とでも言わんばかりに、その足取りは軽快ですらある。
進むにつれて、周囲の壁の材質が変わり、より古く、より禍々しい古代の建造物特有の幾何学模様が浮かび上がってきた。空気の密度が変わり、肌を刺すような冷気が増していく。
やがて、その行き止まりに、巨大な石扉がそびえ立っていた。
扉の表面には、先ほどまでの歴史的な壁画とは違う、見たこともない紋様と、中央には不気味に窪んだ正八面体を模したような凹みが刻まれている。
まるで、来る者を拒むかのように、あるいは何かを待ち構えているかのように。
不破はその石扉の前に立ち止まり、面白そうに片側の口角を吊り上げた。
「ったく……ようやく、隠しきれねぇボロが出てきやがったか」
扉の向こうから、重低音のうなり声のような、あるいは巨大な何かが呼吸をしているかのような、異質な気配が染み出してくる。
不破は拳を軽く握り締め、その硬い石扉へと無造作に手を伸ばした。
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