第23話
X(旧Twitter)ヤッテマス
@towachi315
――カチリ。
足元の床石が沈み込み、遺跡の奥深くまで続く回廊のあちこちから、重苦しい機械音が連鎖して響き渡る。
壁面の隠し扉が幾重にも開き、天井の通気口や瓦礫の陰から、次々と影が這い出してきた。
それは古代の文明が遺した自動防衛システム。
人間の兵士と寸分違わない、等身大サイズのアイアンゴーレムだった。
全身をくすんだ鉄の甲冑で包み、その無機質なバイザーの奥からは、一斉に静かな赤い光が灯る。手にはそれぞれ、錆びついたショートソードや小型のシールドが握られていた。
侵入者を排除せんと、数え切れないほどの人型ゴーレムが回廊を埋め尽くし、不破を取り囲むようにじりじりと包囲網を狭めていく。
不破は逃げるどころか、視界を覆い尽くすほどの数を見て、むしろ楽しげに口の端を吊り上げた。
「ほう……。いくらでも湧いてきやがるな。いい暇つぶしだ」
ギギギ……と不気味な足音を立て、最初の一体が間髪入れずに踏み込んできた。錆びた剣が不破の喉元を正確に狙う。
だが、不破はその軌道を視線だけで捉え、紙一重で首を傾げて躱す。
「まずは1体目」
すれ違いざまに放った不破の拳が、ゴーレムの胸当てを捉えた。
――ドォン!
たったそれだけの動作でありながら、等身大の金属躯体は耐えきれずに砕け散り、背後の石壁へと激突してスクラップと化す。
「おいおい、手加減しねぇと一撃で粉々になりやがるな。……よし、今日は5%の力で何体相手にできるか試してやるよ」
不破は不敵に笑うと、次々と殺意を持って群がってくるゴーレムの群れの中へと自ら踏み込んでいった。
2体目が背後から繰り出した突きを、不破は振り返りもせずに右手の指先で弾き飛ばし、ガラ空きになった胴体を回し蹴りで両断する。
3体目がシールドで体当たりを仕掛けてきたが、不破はその突撃を受け止め、逆に腕を掴んでメキメキとねじ折り、そのまま別のゴーレムへと投げつけた。
足元を狙う4体目の剣閃を軽やかなステップでかわし、頭部をヒザ蹴りで粉砕。
続く5体目と6体目の挟み撃ちに対しては、懐に潜り込んで互いの頭突きを誘発させ、自壊に追い込む。
回廊の空気は、粉塵と摩擦熱で熱を帯びていく。
次から次へと襲いかかる人型ゴーレムの数は優に数十体を数えるが、不破の身なりには砂埃ひとつ、かすり傷ひとつついていない。
「これで7体目」
向かってきたゴーレムの腕を掴み、テコの原理でひねり潰して機能停止に追い込む。
8体目は、逃げようとしたところを背後から蹴り飛ばされ、壁の装飾ごと消滅した。
そして、間断なく襲いかかる群れを捌き続け、
「……9体目」
「で、これが10体目だな」
向かってきた最後の一体の胴体を貫き、10体目のスクラップを足元に転がす。
だが、それだけ倒しても、回廊の奥からは未だに無数の赤い光が途切れることなく連なり、ザリザリと金属を擦り合わせる不気味な足音が闇の向こうから幾重にも響き渡っていた。
倒した先から次が湧き出るかのように、群れは少しも減った気配を見せない。
不破は汗ひとつかかない涼しい顔のまま、なおも押し寄せる圧倒的な物量のガラクタどもを見据え、さらに深く不敵な笑みを浮かべた。
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