第19話
X(旧Twitter)ヤッテマス
@towachi315
「――そこだ、雑魚風情が!」
轟音とともに、深紅の専用カタシロ『ヤマト』が虚空を舞う。 バアル教官が操る『ヤマト』の眼前に立ち塞がったのは、敵部隊のエース機――通常の量産型を一回り以上凌駕し、歪な棘状の装甲を纏った指揮官用生体兵器だった。
ガキンッ! と、常人なら耳を劈くどころか脳が破裂しかねないほどの激しい金属音と火花が、戦場の中心で幾重にも弾け飛ぶ。
バアルは圧倒的な技量と機体の出力差をねじ伏せるように、冷徹な笑みを浮かべながら敵エース機を文字通り圧倒していた。
「おのれ、国連の犬が……ッ!」
「ふん、その程度の技量でよくぞ前線に出てきたものだ。首を差し出せ、スクラップにしてやる!」
教官と敵エースのタイマン、その凄まじい余波が周囲の空間を震わせる。 だが、その背後で展開される乱戦は、響たち「現代人」にとって地獄そのものだった。
「くそっ、数が多すぎる……! 動け、アラハバキ!」
響は目の前に迫る敵の量産機に対し、カタシロの銃火器を乱射する。 シミュレーターとは違う、実弾の反動と、敵が吐き出す生々しいオイルや装甲の砕ける臭いが鼻腔を突く。 「下っ端」の雑兵とはいえ、実戦を場数踏んできた敵の兵士たちは歴戦の動きを見せ、響や周囲のクラスメイトたちを容易には近づかせない。
「っ、隙だらけだぞ、久慈!」
別の敵機と交戦していた兵藤が、鋭い声で警告を発する。 その視線の先では、久慈の駆るアラハバキが、敵の連携攻撃に足を取られて体勢を大きく崩していた。
「しまっ……身体が追いつかないっ……!」
久慈が操縦桿を激しく叩くが、神経接続の負荷と疲労で機体が思うように反応しない。
目前には、敵の量産機が冷酷に刃を振り上げ、久慈の機体のコックピットめがけて突貫しようとしていた。
「久慈!」
響も助けに入ろうとスラスターを吹かせたが、別の敵機が横合いから猛烈な射撃を浴びせかけてきて、進路を完全に塞がれる。 さらに、周囲で戦う他のクラスメイトたちも手一杯で、誰一人として久慈の元へ駆け寄る余裕がない。
死を予感させる冷たい影が、久慈の視界を真っ赤に染め上げていく。 絶望的な沈黙が通信回線を支配したその瞬間――。
ドォンッ!! と、遥か後方から、戦場の喧騒を断ち切るような凄まじい衝撃波が響き渡ったのだった。
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