第10話
X(旧Twitter)ヤッテマス
@towachi315
総司令室の巨大なメインモニターには、荒涼とした戦場と、あちこちで煙を上げる国連軍の防衛網がリアルタイムで映し出されていた。
「……最高司令官、よろしかったのですか。あのような不法投棄された謎の若者どもを、前線要員として『カタシロ』に乗せるなど」
コンソールに向かっていた副官が、険しい顔で振り返りながら低く呟く。
私は手元のグラスを傾け、冷ややかな視線をモニターの片隅――地下牢の監視カメラ映像に向けた。そこには、不安に揺れながらも次の手を模索するあの異邦人たちの姿が小さく映っている。
「他に選択肢があるかね? あの『厄介な闖入者』のせいで、我が軍の防衛システムと通信網はズタズタだ。正規の兵士の補充も間に合わない。――それに、あいつらはただの一般人ではない」
あの暴れ馬――不破と呼ばれた少年が見せた、常軌を逸したハッキング能力と破壊衝動。
そして、その狂気に飲まれることなく、冷徹に状況を把握し、毅然と交渉の席に立ってきたもう一人の少年――御統響。
あの年若い異邦人たちの瞳には、恐怖だけではない、妙に座った底冷えするような光があった。
「あの暴れ馬は単独で施設をかき回し、奴らをこの地下に置き去りにしていった。だが、残された連中は見捨てられたにもかかわらず、あの御統という少年のもとで奇妙に統率が取れている」
私は席から立ち上がり、指令室の重々しい床を踏み鳴らしながら窓際へと歩み寄った。
「捨て駒として前線に放り込むには惜しいし、かといって放置すれば我が軍の頭痛の種になる。ならば、あの『カタシロ』の洗礼を受けさせて、我が軍の兵器として飼い慣らすのが一番効率的だ」
スーツ自体の安全性は保証してやった。あれで神経同調のショック死はない。せいぜい、あとで全身が激しい筋肉痛に泣かされる程度だ。
だが、それを包む「カタシロ」という棺桶のなかで、彼らが敵の猛火をくぐり抜けて生き残れるかどうかは、文字通り彼らの運と実力次第。
「準備を進めろ。彼らがどんな手を使って生き残ろうと、我が軍の駒として機能するならそれでいい」
私は冷徹な笑みを浮かべ、指令室のモニターに映し出された無数の戦況データへと視線を戻した。 ――さあ、異邦人の若者たちよ。君たちのその知恵と足掻きが、この戦場でどれほどの価値を生み出すか、見せてもらおうか。
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