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魔法少女のマスコットは百合が見たい!  作者: ぬのきれタ
08.お泊り会

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第64話 お泊り会の翌日

「――……さん、――もりさん、まもりさん、……守里さん!」


 聞き慣れた声で目を覚ます。


「……日和?」

「おはよう、守里さん。ぐっすり眠っていたみたいだね」


 いつもと違う風景。隣に並ぶ人たちを見て思い出す。

 そうだった。俺は今、怜奈の家に泊まりに来ていたんだ。


「咲センパイが一番起きるの遅かったですネ!」

「他のみんなはどこだ?」

「みんな、一階でご飯食べているよ。わたしと琉亜ちゃんは早く食べ終わったから、守里さんの様子を見に来たんだ」

「そうだったのか。迷惑かけて悪い」


 窓からは朝日が差し込んでいる。ご飯を食べたら、もう帰るのか。


「……もうすぐで帰ると思うと、寂しいな」

「守里さんが弱音を吐くのって珍しいね。何かあったの?」


 日和が顔を覗き込んできたので慌てて首を横に振る。


「いや、違う! 最近仲良くなってきたから、余計名残惜しく感じてしまっただけだ。……深い意味はない」

「咲センパイ、何照れてるんですカ?」

「気づくな。見ないでくれ」


 思わず腕で口元を隠す。心配されるのが気恥ずかしい。半田のようにいつも面倒を見てくれる人から心配されるのは何も思わない。しかし、いつも面倒を見ている人から心配されるのは、むず痒くなってしまう。


「センパイ、意外と可愛いところもあるんですネ~」

「……いいから一階に行くぞ」

「あ、守里さん、待って!」


 俺は逃げるように一階へ向かった。




 みんなで食卓を囲む。魔法少女に敵組織セーフクの幹部たちと、人数も多いしメンバーも豪華だ。


「怜奈、ウチにしょうゆ取ってよ!」

「はい、姉さん」

「李依奈様、アタシに頼んでくれてもいいんだよ?」

「大上さん……本当に李依奈さんが好きなんですね」

「久美子お姉ちゃんは、李依奈お姉ちゃんだいすきなの」

「いいな~……うちも美人にあれだけ好かれたい……」

「おや、あたしじゃ不満かい?」

「月詠サンの言葉はうさんくさすぎて信じられませんけどネ」

「……賑やかだな、咲」


 魔法少女姿の半田が微笑む。きっと俺が嬉しく思っているのが顔に出ていたのかもしれない。だって、心配していたことが起こらなそうなのだ。

 最後までお泊り会は平和に終わりそうで、俺は安堵した。




「みんな、忘れ物はないかしら」


 怜奈の母親の声掛けに各々最終チェックをする。皆で玄関の前に出て頭を下げた。


「お邪魔しました!」

「またみんなでおいでね」

「はい!」


 怜奈と李依奈がみんなと一緒に玄関を出る。


「ウチ、みんなのこと送ってくる!」

「私はここでみんなのことを見送るわ」


 怜奈に向かって魔法少女たちと半田家の三人で怜奈に手を振った。


「雨宮、また来るね」

「お泊り会……うち、楽しかったです……!」

「ええ。また来てちょうだい」


 日和が怜奈に一歩近づく。怜奈が身構えたのを俺は見逃さなかった。日和は少し寂しそうに目を伏せる。しかし、顔をあげて微笑んだ。


「またね、怜奈」


 怜奈が返事をする前に日和は背を向けて俺たちに合流する。

 俺はちらっと怜奈の方を見た。怜奈は何も言わずに黙ってこちらを見ている。――誰の背中を見つめているのか、俺にはすぐ分かった。




 家に帰ってすぐに報告書を前に頭を悩ませる。

 今回は書くことがありすぎる。日和と怜奈の関係に、敵組織セーフクについて、――そして、怜奈の姉の李依奈が敵組織セーフク側の幹部である可能性が高いこと。


 ずっと敵組織セーフクのアジトを探してはいたが、まさか幹部の方が先に見つかるとは。幹部たちの後を追えば、アジトもいずれ見つけられるかもしれない。


「さすがの咲センパイも、報告書を書く手が止まったようですネ!」


 後ろから声が飛んできたので振り返る。琉亜は得意げに鼻を鳴らす。


「だいたい、こういう何も起きてない日にまで報告書を書くなんて異常なんですヨ。魔法少女協会本部は、ダークモンスターが出た時だけって言ってましたよネ」

「いや、意外と書くことは多いんだぞ。魔法少女たちの様子を逐一報告するとかな」

「報告書は百合観察日記じゃないですヨ?」


 確かに、何もない日の報告書は百合観察日記と化しているといっても過言ではない。管理官や他の上司が楽しみにしてくれているのでつい書いてしまうのだ。しかし、今回に限っては百合観察日記にはならないだろう。


「今回は何も起きていないわけじゃない。むしろ、いっぺんにいろいろ起こり過ぎていたくらいだ」

「エ? 何かありましたっケ?」

「まず、日和と怜奈の関係についてだろ? それと、敵組織セーフクの幹部が怜奈の家に集まっていたこと。それから、――」

「マ、ままっ、ま、待ってくださイ! 敵の幹部が紛れ込んでいたんですカ!?」


 そういえば、そこから説明していなかったか。

 俺は報告書に書く内容を琉亜に話した。




【魔法少女について】

 昨日、魔法少女たちでお泊り会という名の親睦会を開いた。寝食をともにしたり、遊戯で交流したりして絆を深めることができた。


【セーフクについて】

 雨宮怜奈の姉である雨宮李依奈(女性、16歳、高校1年生)が敵組織セーフクと関わりがある可能性が高い。また敵組織セーフクのボスについて、魔法のステッキを使って妖精の姿をして過ごしている可能性あり。ボス以外で幹部である可能性がある者は3名。疑いがあるのは、雨宮李依奈、大上久美子(女性、17歳、高校2年生)、ころね(女性、外見は中学生ぐらい、その他不明)。今後は注意深く観察する。

 

【その他】

 魔法少女マジカル☆チェルア、魔法少女マジカル☆リリィの仲については注意深く見ていく。

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