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魔法少女のマスコットは百合が見たい!  作者: ぬのきれタ
07.黄色い魔法少女

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第52話 魔法少女たちの集まり

「へえ、この子が琉亜っていうんだね」

「ほっぺをむにむにしないでくださいヨ!」


 琉亜はむくれるが、有栖は構わずに膝の上に乗せたまま気に入ってて離そうとしない。


「琉亜、あたしの家においでよ。美味しいものをあげるよ」

「え、本当ですカ!」

「琉亜、お前はまだ見習い妖精だろ。俺が管理を任されてるんだからダメだ」


 というか、美味しいものにつられるんじゃない。俺が食べ物を食べることにドン引きしていた琉亜はどこにいったんだ。


「ビジュつよ……眩しい……チョロいのかわいい……」


 有栖の隣で唯香が呻く。その様子を引いた目で見る怜奈は、日和の目を塞いだ。

 ……なんというか、カオスな空間だ。




 カフェ『夕やけ』の店内に入ってすぐ、日和、怜奈、唯香、有栖がちゃんとそろっているのを確認する。

 助けを求めるような唯香の視線、にやにやとみんなの顔を見る有栖、その向かいに顔を赤くした怜奈と心配そうに怜奈の顔を覗き込む日和。……正直この構図だけで何があったのか容易に想像がついた。

 百合の妄想が止まらない。天然な日和の一挙手一投足に感情を乱される怜奈に、小悪魔のように人を転がすのが上手な有栖に弄ばれる唯香。頭の中に住んでいる漫画家が現実に存在するならきっと同人誌を既に数冊手掛けていることだろう。


「みんな」


 ひとまず空気を変えようと俺は呼びかける。みんなの視線が集まったのを確認して、俺は隣にいる琉亜を紹介した。


「改めて、こっちにいるのが琉亜だ」

「ハジメマシテ。琉亜デス」


 今までにないくらい琉亜はカタコトで挨拶をする。がちがちに緊張しているようだ。日和と怜奈に会わせた時はもっと生意気だったのに。成長を感じる。

 あの時の琉亜は、魔法少女なんて必要ない、と豪語していたから当たりが強かった。しかし、少しは魔法少女相手にもちゃんとしようという意識が芽生えたからこそのこの緊張っぷりなのだろう。そう思うと、少しは魔法少女への意識が変わったのだろうか。


 ――ミーたちのような妖精って本当に必要だと思いますカ?


 琉亜の声を思い出す。俺はまだ、その問いの答えを見つけられていない。

 ――ダメだ。考え始まると止まらなくなる。考え事をすると止まらなくなるのは俺の悪い癖だ。今はまず目の前のことに集中しないと。


「久しぶりだね、琉亜ちゃん」

「お久しぶりデスネ」


 緊張していることに気付いたようで、怜奈がにやにやした顔で琉亜を見る。


「何よ。私たちと久しぶりに会って緊張してるの? あの時私達を煽って来た時の勢いで来なさいよ」

「イエ、ソウイウ訳ニハイキマセン」

「なんで私相手だともっとカタコトになるのよ」

「琉亜ちゃん、もしかして人見知りなの?」


 琉亜が黙り込んで俺の背中に隠れる。……まさか、本当に人見知りなのか? てっきり緊張しているのかと思っていたが、そうではなかったのか。


「琉亜?」

「……帰ってアニメ見たいでス」

「あの時の強気なお前はどこに行ったんだ?」

「あれは勢いっていうか、仲良くする気がなかったので喧嘩を売っただけですヨ」


 怜奈が何か言おうとして、日和が止めに入った。琉亜は怜奈にべえっと舌を出す。本当に反省しているようにはとても見えない。


「なるほど。君が琉亜か」

「うわあっ!」


 いつの間にか有栖が琉亜の背後に


「ユーはお化けか何かですカ!?」

「失敬な。影が薄いとは言われても、お化けとまでは言われる筋合いはないはずだよ」

「笑いにくい冗談はやめてくださいヨ!」


 琉亜に何を言われても、有栖はふふっと笑って受け流す。余裕のある月詠相手では琉亜はやりにくいだろう。


「まあまあ。ところで君、せっかく仲良くなりに来たんだからこちらに来なよ」

「ちょっと、腕を引っ張らないでくださいってバ! 強引すぎませんカ、この人!」

「ご愁傷様、琉亜」

「怜奈も見てないで助けてくださいヨ!」


 琉亜が騒いでいる間に、有栖はあれよあれよと琉亜を自分の膝に乗せた。


 そして、冒頭に至るのである。


「琉亜ってほっぺ柔らかいねえ。妖精はみんなこうなの?」

「ミーの頬をつつかないでくださイ」


 普段は強気な琉亜が完全に有栖のペースに崩されている。この組み合わせもなかなか悪くない。

 見事な百合空間に俺は満足である。俺の桃源郷はここに会ったのかもしれない。


「ねえ、守里さん」


 日和が俺に顔を寄せる。何かと思っていたら、日和は俺に耳打ちをしてきた。


「……わざと隠しているならごめんね。わたし、もう一人の魔法少女についても話していたほうがいいと思うな」


 俺は言葉に詰まる。俺としては紹介したかったし、できればここに連れてきたかった。しかし、半田本人が嫌がる以上は無理強いできない。ただまあ、俺から存在を伝える分には大丈夫だろう。


「守里と何を話してるのよ」


 怜奈が、俺と日和の会話に入ってくる。怜奈が俺を睨んだ。安心しろ、怜奈。日和をとったつもりはない。

 ただ会話していただけ、何なら日和から話しかけてきたのだが、やはり日和と二人きりにするのは許しがたいらしい。俺としては二人の関係性を間近で浴びられて感謝しかない。


「そうね。確かにもう一人の魔法少女の話もした方がいいわね」


 いつの間にか日和が怜奈に、話を共有してくれている。


「私は絶対伝えたほうがいいと思うわ、守里」

「分かった、そうするよ」

「ええ、そうして。八雲、月詠、いつまでも琉亜と遊んでないで話を聞きなさい」


 怜奈が仕切ってくれたおかげで事がスムーズに運ぶ。俺としてはもう少し百合を摂取していたかったが、仕事を放棄するわけにもいかない。


「それじゃあ、もう一人の魔法少女について話すよ」


 俺は四人を見て、話を始めた。

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