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魔法少女のマスコットは百合が見たい!  作者: ぬのきれタ
07.黄色い魔法少女

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第51話 魔法少女たちは手を繋ぐ

「草加部さん、最近明るくなったよね」


 放課後になって帰ろうと荷物をまとめていると、クラスの人が私にそんなことを言ってくれた。


 私は嬉しくなる。ここ最近はずっと、頼りになれる人になるために頑張っていた。泣き言を言わないようにしたし、ちゃんと目の前の相手と向き合うようにもしたんだ。だから、努力がちゃんと形になっているのが分かって嬉しかった。


 うきうきした気持ちで怜奈が教室に戻ってくるのを待つ。


「日和、お待たせ」


 怜奈が戻って来たのを見て、私は荷物を持って立ち上がった。




「なんだか嬉しそうね。私がいない間に何かあったの?」


 怜奈は不思議そうに聞いて来たので私は頷く。


「あのね、明るくなったって言われたんだ。……怜奈はどう思う?」

「そうね……。確かに、人と話した時に慌てることは減ったと思うわ」


 私は嬉しくなる。怜奈の目から見てもちゃんと変われているんだ。


「良かった。私、ちゃんと変われてるんだね」


 私はあの日、後悔した。怜奈がダークモンスターになった時に、私は今まで怜奈と全然向き合えていなかったんだと気づいた。それに私は怜奈に甘えてばかりいたのに、羨ましがってばっかりで努力していなかった。そんな自分には、もうなりたくない。


「日和、すごいわね」

「うん。この調子で私、頑張るね」


 このまま頑張って自立した自分に慣れたら、きっといつかは怜奈にも頼ってもらえるようになるかもしれない。そうしたら、怜奈の足を引っ張らなくて済む。怜奈が私に割く時間が減って、怜奈が本当にやりたいことができるようになるはず。


 想像して、胸がチクリと痛む。でもいいの。私は怜奈と一緒にいられたら満足だけど、怜奈は違うはず。だって怜奈はできることがいっぱいある。いろんな人に求められている姿をよく見かける。だけどいつも私が理由で断っていた。だったら怜奈は、私がそばにいなかったらもっと活躍できるはずなんだ。


 ――だから怜奈、そんな顔しないでよ。怜奈のために私、頑張ってるんだよ?


「えっと、今日は守里さんがカフェに琉亜ちゃんを連れてくるんだよね。八雲さんも月詠さんも、ちゃんと来てくれるよね?」

「ええ。そのはずよ。遅れないでねって私から釘は刺しておいたわ」

「さ、さすが怜奈。それじゃあ、行こうよ」


 私は怜奈の手を握って走る。


「ちょっと、日和!?」


 怜奈が驚くのも無視して私は手を引っ張って走る。怜奈が悲しそうな顔をしているのを見ているのが耐えられなかった。

 だから私は、怜奈の文句を聞こえないふりをしてそのまま走った。


 どうやったら、怜奈は笑ってくれるんだろう。

 怜奈に迷惑かけたくないから頑張っているのに。怜奈のために頑張っているのに。


 もやもやした気持ちを振り払うように、走った。



 ***



 カフェの前で待つ。一人でお洒落なお店に入る勇気は全くなかった。

 まだ待ち合わせの時間より前なので、当然誰もまだカフェに来ていない。


「誰か早く来いし……」

「呼んだ?」

「ひゃあ!?」


 驚いて振り返ると、いつの間にか有栖がいた。


「お、驚かさないでくださいよ」

「八雲がぶつぶつ何かを言っていたから気になってね。それにしても、ここで何をしているんだい? 早くカフェの中に入ればいいのに」

「いや、一人でこのお洒落なカフェにいるのはちょっと……。月詠さんは平気そうですね」

「何を気にしているかがよく分からないかな。一人が嫌なら、一緒に行こう」


 月詠さんがうちの手を掴んで店内に入ろうとする。


「ちょ、ちょっと、待ってください」

「なんだい? 一人が嫌なら、あたしと入ればいいでしょ。それとも、あたしといるのは嫌かな?」


 月詠さんは少し寂しそうに眉を下げる。そうだけど、そうじゃないのだ。

 うちは月詠さんと一緒にいること自体に抵抗はない。ただ、月詠さんは黒髪が綺麗で顔も整っている美人さん。うちのような芋女が隣にいるのは申し訳ないし、アンバランスなせいですごく注目されそう。なんで月詠さんの隣にいるのって。

 想像しただけで恐ろしい。すいません、わざとじゃないんです。


「八雲?」

「ああ、えっと……う、うちのことは放っておいてください」

「そういうわけにはいかないだろう。これからは同じ魔法少女の仲間なんだから」

「それはそうですけど……」


 手を離そうとするのに、月詠さんはさらに力を込めてウチの手を握った。月詠さんって意外と力ある。ごめんて。もうしないから離して。ちょっと痛い。


 声に出さなければうちの気持ちが伝わるはずもなく、月詠さんはうちの気持ちに構わずにうちの手を引っ張ってカフェの中に入った。


 仕方なく月詠さんと先にカフェの店内で待つ。待っている間の無言が気まずい。月詠さんって本を読んでいる印象がある。うちに教養があれば話が弾むんだろうけど、本なんて漫画か教科書しか読んだことのないうちには引き出しが無い。何を話したらいいのか困る。

 心の中で、誰か早く来てと全力で祈った。



 ***



「ここがカフェ『夕やけ』ですネ」


 琉亜がまじまじとカフェの外見を眺める。


「前にも一緒に来たな」

「ハイ! あの時も、日和と怜奈との顔合わせでしたネ」


 突然琉亜はカフェの前で立ち止まる。そして、心配そうにこちらを見た。いつも元

気な琉亜には珍しく、どこかもじもじしている。


「ミーのこと、受け入れてもらえると思いますカ」


 なんだ、そんなことを心配していたのか。俺はふっと笑みが零れる。琉亜にも案外弱い一面はあるらしい。俺は安心させるように琉亜の頭に手を乗せた。


「大丈夫だ。唯香も有栖も良い子だからな」

「……咲センパイの言葉、信じますからネ」


 不服そうにしながらも少し安心したような笑みを浮かべる。俺もつられて笑みを浮かべ、琉亜と一緒にカフェに入った。

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