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魔法少女のマスコットは百合が見たい!  作者: ぬのきれタ
06.四人目の魔法少女

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第48話 改めて

   活動報告書    作成者:S4ku

【魔法少女について】

 7月□日。四人目の魔法少女の人員確保に成功。

 月詠有栖。13歳。日本○○県△△市□□町に在住。花園中学校の生徒。一年一組。友達が欲しいという夢を持っているため、魔法少女適正あり。

 魔法少女名はマジカル☆ピオン。リボンを出現させて自在に操るのが特徴。必殺技の時はステッキがリボンに変化し、電撃を浴びせる。


【セーフクについて】

 山田健という名前の男性が負の感情が利用され、ダークモンスターが生成された。ダークモンスターは□□町の街中に出現。魔法少女マジカル☆チェルア、魔法少女マジカル☆リリィ、魔法少女マジカル☆ピオンによって浄化される。経過観察中。


【その他】

 敵側の幹部の一人であるアロファという女性がダークモンスターを生成した。幹部としての動きに慣れている様子。引き続き警戒する。




「半田、機嫌がよさそうだな」

「7月に入って、妖精の人たちから今月のバイト代が新しく入ったんだ。……いいか咲、もうあんな大量に本買ってくるなよ?」

「分かっている。今度はちゃんと選んで買ってくるとも」

「せめて3冊以内ね?」


 俺は思わず顔をあげて半田を見る。


「何?」

「……半田、もう少し増やせないか?」

「無理」

「いいじゃないですカ、先輩。押し入れにいっぱい入ってますよ」


 琉亜が呆れたように教えてくれるが、そんなことは知っている。だってあの本は俺がここに来てすぐに買った本たちなのだから。


「唯香に教えてもらった本がたくさんあるんだ。3冊では足りない!」

「うーん……」

「甘やかしてはダメですヨ、半田サン。だって咲センパイは料理だって手伝ってないんですから!」


 俺は琉亜を睨む。


「後輩。先輩の悪いところを告げ口して自分をあげようというのは良くないぞ」

「咲センパイ、言ってることはカッコイイですけど、百合本のためにやってるのはカッコ悪いですヨ」

「……後輩のくせに偉そうな」

「先輩らしく扱ってほしいなら、それっぽいところを見せてくださいヨ」

「妖精たち、ごちゃごちゃうるさい!」


 半田が指を差す。


「咲は琉亜と違ってお仕事で来てるし、いつも報告書とか電話で連絡して忙しそうだからいいの」

「半田……!」

「あと、咲はいるだけでお金が入ってくるけど、琉亜の分は入ってこないんだもん」

「本音は今のですよネ?」


 半田は琉亜の声に聞こえないふりをして、キッチンから料理を運んでくる。


「今日はお金が入ったから、頑張って二人の好きなものを作ったんだよね」

「本当か!」

「咲センパイ、食べ物で釣られないでくださいヨ!」


 わちゃわちゃしながらいつものように半田の料理をみんなで囲んだ。




 部屋に戻るところで琉亜に話しかける。


「琉亜、前に聞きそびれたことがある」

「? 何でしたっけ」

「他の妖精たちが知らないようなこと、教えてくれるって言っていたよな。俺に教えてくれるか」


 琉亜が目を見開いた。きっと俺が改めて聞いてくるなんて思っていなかったんだろう。


「どういう心境の変化ですカ、先輩」

「いい加減、悩むのをやめようと思ってな」


 楽しい日々を過ごしている。充実している日々を過ごしている。俺は問題なくこの日々を過ごしている。それでも心の中にはいつももやもやと引っかかるものがあった。


 魔法少女になる人を増やしていいのか。

 琉亜と話してからずっと悩んでいた。俺がしていることは悪ではないのか。仕事として、妖精として、当たり前のことをしていると信じていた。それが、琉亜の話を聞いて揺らいでいる。


 日和は魔法少女になって良かったと言ってくれた。他の人たちも、それぞれの夢を持って、魔法少女をすることに見出してくれて、そうして成り立っている。笑顔を浮かべて微笑ましい気持ちになると同時に、心のどこかでは何かとんでもないことに巻き込んでしまったのではないかと思う気持ちがあった。


 しばらく悩んでいて、気づいたことがある。


「俺が一人で悩んだところで、俺に答えはない」

「……」

「だから、琉亜。あの日聞けなかった続きを聞かせてくれないか」


 琉亜が返事をするまで少し間が空いた。悩むように視線をふらふらさせて、やがて俺を見る。困惑したような、しかし聞いてもらえることにどこか期待したような顔である。


「咲センパイ、聞くことにしたんですネ」

「ああ。聞かせてくれ」


 琉亜は頷いて俺に向き直る。


「では、ミーが聞いたことをお話ししますネ」


 ふうっと息を吐いて、やがて琉亜は口を開いた。



 ***



 あの日。魔法少女協会本部で居残りをしていた日。

 廊下から話し声が聞こえた。ミーをいつも叱ってくる担任や、協会のお偉いさんたちの声だとすぐに分かった。

 管理官に詰め寄っている声が聞こえた。話は真実なのか、と。

 違う、と管理官は答えていた。けれど大人たちは引き下がらずにあれやこれやと証拠になりそうなものをあげて本当に違うのかと詰め寄っていた。

 だから、もしかしたら本当は違うのかもしれない。だけどもし本当だとしたら、――。

 ミーは何をしたらいいか分かんなくなってしまったのだ。


 そして、この前半田さんと話をして、ミーの疑いは確信に変わった。


 あの日ミーが聞いたことを、咲センパイに話す。もしかしたら信じてもらえないかもしれない。それでも咲センパイが聞いてくれる気になったのなら。

 ミーは信じて話すことにした。


「実はですね。ミーたち妖精は、――元々は人間なんだそうです」

「……俺たちが?」


 咲センパイは驚いた顔をする。それはそうだろう。誰も聞いたことがない話だ。だけどミーは話を続ける。

 まだ、大事なことを話していない。


「それも、ただの人間じゃありません」

「……なんだって?」

「ミーたち妖精は、戦争で死んだ人間だそうですヨ」


 咲センパイが、目を大きく見開いた。

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