20/24
早春
斑雪が消えたら
鳥の図鑑と双眼鏡を持って
淡くけぶる 早春の野に出てゆこう
こんな日は レンズの向こうに
あの空のようにうす蒼く光って広がる
未来が 見えるかもしれない
長く暗い冬のあいだ
灰色の分厚いコ-トの下で
ぼくの心は 誰とも口をきかなかった
(けれど コ-トが代りに口をきいていたので
誰もそれに気づかなかった)
重いコ-トを脱ぎ捨てて
こんなに浅い春の
こんなにあおい風のなか
少し 震えながら
今 ぼくは自由だ
かすかな羽ばたきに
耳を澄まし 待とう
ぼくは きっと見つける
とおくから
やわらかな芽吹きの上を渡ってくる
うすみどり色の恋




