19/24
ぼくたちの温室 ――1984年・冬――
カ-ステレオからはユ-ミン
青春はとても短いので
ぼくたちは いつも とばしている
寒い日は 国道沿いのハンバ-ガ-ショップで
いつものようにコ-ヒ-を飲もう
そんな ちょっとした幸せなら
ぼくたちのために 24時間 用意されている
いつでも どこでも 同じ味で
パック詰めの水耕野菜を大量生産する『工場』というのは
きっと このサンル-ムのような窓辺の席に似た
ガラス張りの温室なのだろう
暖かいね 気持ちいいね 春みたいだね
ぼくたちも この陽だまりで
思うさま 愛を促成栽培しよう
ねえ 恋人よ ぼくたちはいつか
必ず 出て行くのだから
必ず 失われるのだから
ひとときの春は
薄くても それなりに
ちょっぴり苦くて
やっぱり甘くて
一杯 たったの200円だ




