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10話 商人の意地

「すみませんでした。とても怖い思いをさせてしまって」


 九条は森を歩きながら、ずっと同じことを謝る。


〔もういいよ。一応私も無事だったんだし・・・・・・・////〕


 手の中で鮎川が顔を真っ赤にした。

 自分の中で一番ダメージの大きかったこと。それは、

『メスではありませんか!これはもはや値段の付けようがありません!』

 あの男の行動。信じられなかった。まさかこの歳に男に自分の秘部を見られるというのは女としてこれ以上に恥ずかしい物はない。


「どうしたんですか?顔が赤いですよ?」


 毛に覆われているから分かる訳でもないが、なんだか異様に顔の辺りがほんわか熱い。


〔な、なんでもないよ!はやく、トルトンさんの所に行こ〕


「はい、そうですね」


 九条はまた、歩を進める。まだ、二人にはやらなければならない事が想像以上にあるのだ。それを成し遂げなければ、あの平和だった世界に戻る事はできない。

 しかし、彼は二人の邪魔をする。


「ちょっとお待ちください・・・・そこの方」


 後ろを振り返ると、あの男が足をふらつかせながらこちらに歩み寄って来た。


「ミグラティオ」


 男がボソッというと、男の両側に丸い黒い円が現れた。するとそこから頭が三つの狼が現れた。だが、いつか見たあの模型よりかはるかに小さい犬くらいの物だった。


「あの男を捕まえなさい!捕まえた方は、魂を元に戻してやんよ!」


 そう言い放つと、ケルベロスはもう突進で突っ込んできた。

 猟犬だろうか、向こうの世界で見た物とかなり近い顔をしている。


「契約は絶対だ!あれは我が商会の物!グリフォンはただでさえ貴重な存在。こんな男から取り返せないものなど許さない・・・絶対に問い返す・・・・絶対!」


 あのグリフォンはメスだ。宝石を生む唯一の存在。ここでこのチャンスを逃したら一生の不覚!


 男の目は本気だった。

 今にも自分から首を狩りに来そうな気を放っている。


「センセー、鞄の中でじっとしていてください」


 ケルベロスの一体は九条の後ろをもう一体は前を挟み、いつでも捕まえれる態勢に入っている。


「あなたは誰なんですか!契約って?そしてセンセーに何の目的で近寄るんですか!」


 九条は男に大声で問いかける。こんな静かな壮大な森に似つかわしくない者達がいた。それが誰なのかは、今は誰も分からない。


「私の名は、リオ・バルデス。お見知りおきを・・・。と言ってもあなたは此処で死ぬんですけどね!」


 パルデスはそう言うと、手を九条に向けると、殺せといわんばかりの勢いで横に振った。

 二匹のケルベロスは前後から走ってくる。


「まだ聞いてない事があるのに・・・・・」


 九条は何とか避けたが、ケルベロスの6つの頭は牙をむき出す。容赦なく走ってくる。


「なぜ?逃げるのですか?あなたは死にたくないのですか?こんな世界に生きていて何が楽しいのですか?」


 パルデスは首を傾げ、考え事を始めた。

 ケルベロス2匹の両首には糸で紡いだ跡がある。


「グルルルルルルル・・・・・・・」


 ケルベロスは牙をむき出して、九条を睨む。


「だから!・・・・契約ってなんですか!」


 九条は木に昇りパルデスに大声で問う。

 パルデスはゆっくり歩きながら周りを気にするようにこちらに歩いて来る。

 真下には、幹を噛んだり九条に吠えたりと九条の恐怖心を煽る。


「おやおや、知りませんでしたか?そのグリフォンは売られたのですよ?あなたの知り合いであるアルト様によってね?」


「アルトって誰なんですか?僕はそんな奴知りません!」


「じゃぁ盗まれたんですかね?それじゃぁ、あれはアルト様の物です」


「はぁ?」


「私ども、もとい我が商会の物なんですよ!そのグリフォンは!あなたのような!愚民がそれを持っていてはいけない代物なんです!」


 狂ってる・・・その一言だけが九条の頭を過る。

 身震いがした。パルデスの目は自分の利益だけで、目の前にいる奴が死のうと自分には関係ない。そんな目だった。


「セカンス」


 パルデスは手を皿にし、木に対して斜めに手を振った。

 すると、木はズシンッという音と地揺れのような感覚と共に倒れだした。


「サヨナラだ・・・・・」


 木が倒れたせいで九条の体勢は崩れ、地面ににうつ伏せに倒れてしまった。

 気が付けば、二匹の猛獣は九条の頭上にいた。


「セ、センセー・・・大丈夫ですか?」


〔だ、大丈夫・・・・・〕


 九条は、猛獣の真ん中にいるパルデスを睨む。


「言い残すことはありませんか?・・・・・」


 パルデスはニコニコと嬉しそうに九条を見る。そんなに自分の利益がうれしいか?

 なぜか、九条も笑ってしまった。


「そのケルベロス・・・・ちょっと触って良いですか?」


「あぁいいとも良い出来ではないか?私の部下で出来た最高傑作だ」


 こんな・・・・・こんな奴がいなければ・・・・・僕には力がない。・・・・・あんな奴を殺すことができれば・・・・・センセーは10日以降のどこかで死ぬのかなぁ・・・・・あぁ憎い・・・あぁ殺したい・・・・・


 九条はケルベロスの頬に触った。歯が結構つるつるする。


 ・・・・・殺したい・・・・・


 ドパンッ!・・・


 今、何が起きたんだ?目の前にいるケルベロスの頭が・・・破裂した?


「無詠唱・・・・」


 上を見上げるとパルデスが顔を真っ青にしていた。


「この時代にまだ存在していたなんて・・・」


 パルデスは何かを敬うような目と口調で九条を見下ろす。

 そして、パルデスは後ろを振り向くとスタスタと歩き出した。


「・・・・・どういうことですか?」


「我が商会に似つかわしくない・・・・それが分かっただけです。御方よ、お帰りにお気をつけけて・・・・」


 それだけを言うと、パルデスとケルベロスは黒いもやの中へと消えた。

 あとに残ったのは、倒れた木と傷だらけの少年。それだけだった。

途中に出てくる、『秘部』って言葉。R15では大丈夫かなぁ?

読んでくれた方、どうかそこらへん、判定お願いします。

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