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第30話
演習場の喧騒が遠ざかり、基地全体が戦時の空気に包まれていく。
遠く、正門方向。
爆炎が夜空を赤く染めた。
「ファイヤ・ランス! 間を詰めるな、陣を崩すな!」
辺境軍の女性兵士たちが、訓練された動きで盾を構え、槍を突き出す。
だが、黒いマントの侵入者たちは、まるで煙のように間をすり抜け、爆炎の魔法を叩き込んでくる。
「王国軍は!? 援護を!」
「援護って……守るって言っただろ!?」
「守っていたら正門が持たない! 押し返せ!」
「たかが数人だろ!?」
現場の辺境軍中堅将校と、王国軍の随行将校が、ほぼ同時に違う指示を叫ぶ。
高官クラスは全て会議室に集まっている。
指揮系統が一瞬で乱れ、兵士たちの動きにわずかな遅れが生まれる。
「……全く、面倒な時に」
最前線で指揮を執る辺境軍のベテラン女性中尉が、舌打ちを一つ。
次の爆炎が炸裂し、盾の一枚が弾け飛んだ。




