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貞操逆転令嬢  作者: 川合 佑樹


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第13話

 数日後。


 領主邸の玄関前で、アルフォンスが少し寂しげに立っていた。


 馬車にはすでに荷物が積み込まれ、セレナが護衛として同乗する。

 ライルは深々と頭を下げ、旅の無事を祈る言葉を述べた。


 アルフォンスはエリシアに近づき、迷いなくその体を包み込んだ。

「エリシア……気をつけてね。王都は華やかだけど、油断ならないところもある」


「はい、お父様。お父様もお体に気をつけてください」


 アリシエッタが馬車から声をかける。

「アルフォンス、任せたわよ」


「わかっている。アリシエッタ、エリシアを頼む」


 馬車が動き出す。

 父の姿が遠ざかっていくのを、エリシアは窓から見送った。



 王都への道中は、数日を要した。


 馬車の中で母は、貴族社会やデビュタントの作法を丁寧に教えてくれた。

「ドレスは白基調が伝統よ。魔力を象徴する銀の装飾を入れる家も多いわ」


「ダンスは?」

「もちろんある。令嬢同士で踊ることもあれば、男性貴族と踊ることも」



 王都に到着したのは、夕暮れ時だった。


 石畳の道が広がり、華やかな建物が立ち並ぶ。

 中央にそびえる王宮は、遠くからでも圧倒的な威容を誇っていた。


 宿泊するのは、グランヴァルト家所有の王都別邸。


 翌日のデビュタントパーティに備え、母は早速ドレス選びを始めた。


 試着室で、エリシアは鏡に映る自分を見つめた。

 白いドレスに銀の糸で双頭の鷲が刺繍され、裾は動きやすさを考慮して短め。

 髪を優雅にアップにまとめ、胸元には魔力石のネックレス。


 八歳の体には少し大人びているが、この世界では「戦う準備ができた証」らしい。


「……どう?」


 母が後ろから覗き込んだ。

「完璧よ、エリシア。気品があるわ」


 セレナも目を輝かせて言った。

「お嬢様、すごくお綺麗です!」


 エリシアは肌に淡い熱を灯した。

(……悪くないかも)


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