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第3話 隠しルート......?

「もしかして私の知らない裏設定とか?」


いや。そんなはずはない。もしクロードに妹でもいたらファンの間で話題になっているはず。美形キャラの妹、人気にならないはずがない。

ましてや妹がいるなんて設定があったら私が忘れるわけがない。大きくため息をつく。オタクとしては嬉しいが、客観的に見ると少し怖い。


その時。部屋がノックされる。


コンコン。


「エミリア」


聞き覚えのある声に私は驚いた。慌てて体を起こす。

入ってきたのは紛れもなくクロード本人だった。


会う度に心臓が破裂しそうなくらいドキドキする。

(イ、イケメン......美の暴力すぎる......)

「ち、近いです......」

「?」

自分の顔の良さを分かっていないらしい。クロードに伝えたい。あなたはイケメンです、と。


「それより。体調は大丈夫か? 朝から少し様子がおかしいぞ」

「そんなこと......」

あなたの顔に見惚れてました。なんて言えるはずもなく。

「ちょっと寝不足でぼーっとしていただけですので大丈夫です!」

クロードは私をじっと見つめるとさらに距離を詰める。そして、額にそっと手を当てた。

「熱は無いみたいだな」

「え」

思考が止まる。え?今推しに触られた......?? 私に?

いい匂いがする。甘すぎず、かと言ってツンとした匂いでもなく、安心する匂い。クロードってこんな匂いだったんだ。とオタクモードになりながら。

「大丈夫ですってば!」


慌てて後ろへ下がる。これ以上接近していたら心臓がもたない。すると、クロードがふっと笑う。

「相変わらず、エミリアはおかしな反応をするな」

ゲームの中でも彼はあまり笑わないキャラだった。誰にでも平等で、でもちょっと冷たいような。そんな印象だった彼だが、今の雰囲気はとても柔らかい。


「あの、お兄様。私たちって昔から仲良いんですか?」

クロードは不思議そうな顔をする。自分で言っておいて確かに変な質問をしてしまった。何か疑われるかなと思ったが、彼は

「昔から仲良かっただろう。エミリアは泣き虫でお兄様お兄様と俺の後ろばかり追っていたことを覚えている」

知らない。そんな思い出。ゲームの隠しストーリーにもない。初めてクロード本人から聞く話だった。

「まさか。忘れたとは言わないだろうな?」

「えっと......」

ごめんなさい。まずあなたの妹ではないんですなんて言える訳もなく。

「それに今日は約束もしていただろう? 一緒に城下町へ行くと」

もしかして隠しイベント?いや、そんなものはなかった。絶対。ということは、デート!?

「嫌なら無理にとは言わない」

そう言ってクロードは少しだけ目線を落とした。

「最近忙しくて中々エミリアと出かけられてなかったから楽しみにしていたのだが」

私は固まった。推しが?私のと約束(デート)を?

(そんなこと言われたら絶対行きたいに決まってるじゃないですか!!)

「もちろん行きます!」

私は勢いよく立ち上がる。人生初デートがクロードとだなんて最高だ。


とりあえず今は難しいことを考えるのを辞めて、人生初のデートを楽しむことにした。

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