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フリーターの俺に世界が救えると思いますか?  作者: 干物


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30/35

30話


水無瀬が泣き止むまで待っているとみかは寝てしまった。


俺の腕に抱きついて寝るのはなんとかしてほしい。可愛いけどさ…。


「もういいか?俺も寝たいんだけど」

「あ、あぁ。ごめんね。明日もお願いするよ」

「はいよ」


水無瀬は社員の人達を連れてエントランスまで戻るらしい。


やっと寝れる。

みかとカゲツが温かいのでよく眠れそうだ。




「ワンッ!ワンッ!」

「翔琉〜起きて〜。カゲツがお腹すいたみたいだよ〜」

「…うるせ〜」


もう起きたのか?

座って寝たから身体が固まってる。

身体を伸ばすとバキバキと音が鳴った。

音が鳴ると気持ちいいんだよな。


「うわ〜凄い音。おはよ」

「おはよう。みかもストレッチしとけよ」

「え〜」


カゲツに魔獣肉を渡すと本当にお腹がすいていたらしく、喜んで食べている。


「カゲツって美味しそうに食べるから見てるとお腹すいちゃうね」

「そうだな」


ガーディアンスライムを倒したときの特別報酬の銀の盾をインベントリから出した。


銀の盾 防御力+40


結構重いのでこれを持ちながら走り回りたくないな。


「それって今回の報酬?」

「そー。銀の盾。肉を焼くのにちょうどよさそうと思ってな」

「冗談?」

「本気」


銀の盾に火を纏わせ熱してから、切った魔獣肉を数枚置いてみた。


「それって魔獣肉なんだよね?食べられるの?」

「食べられるんじゃないか?カゲツが食べても何も起きないから毒は入ってなさそうだし、見た目は普通の肉だしな」

「なんのモンスターのお肉かわかる?」

「キメラか猿か亀かクマかウサギだな」

「聞くんじゃなかった!私いらない!」


俺も言いたくなかったよ!

できるだけ考えないようにして食べようと思っていたのに…!


「ワンッ!」

「美味そうな香りだよな」

「ワンッ!ワンッ!」

「カゲツは美味そうに見えるらしいぞ」

「元々魔獣肉が好きだからでしょ!」

「いい感じに焼けたな」


食べてみよう。

香りは普通に美味しそうな肉。


口に入れてみると、生臭さはなく、薄く切ったのに噛みごたえがあり、噛めば噛むほど肉汁がでてきて美味しい。

そのまま食べていると、不思議なことに身体の疲れも取れていく感覚がある。


気付けば焼いた肉を全て食べてしまっていた。

想像以上に美味い。


「ワーンッ!ワォーンッ!」

「今から焼くから!怒るなって!」


もらえると思っていたカゲツが怒ってしまった。


「美味しいの?」

「美味いぞ。食べてみるか?」

「え〜…。じゃあ1枚だけ…」


普通のお箸なんかこんな場所にはないので、水を固定して作ったお箸をみかに渡した。


俺は短刀を肉に刺して食べている。


「これ、お肉に水つかない?」

「大丈夫だろ。それかこれで食べるか?」


俺が使ってる短刀を見せると迷った結果、結局水のお箸を使うことにしたらしい。


「変なところで器用だね」

「無駄に洗練された無駄のない無駄な技術ってやつだな」

「うわー、リアルで言ってる人初めて見たー」


そう言いながら恐る恐る肉を取り、食べた。


「どうだ?」

「…おいしい」

「それはよかった」

「なんでこんなに美味しいの!?キメラのお肉かもしれないのにー!」


怒りながら食べている。

このままじゃカゲツの分も食べられてしまいそうだ。


「カゲツー、熱いけど食べれるか?」

「ワン!」


おぉー、熱くても気にせず食べるのか。

生の魔獣肉よりも焼いた方が食いつきがいいな。


これからは焼いてやるか。


「貴方達…このような場所でバーベキューごっこですか?」


楽しい食事中に不愉快な人物、浅田の襲来だ。


「日本人なのに、腹が減っては戦はできぬっていうことわざを知らないのか?」

「だからってこのような場所で肉を焼き、楽しくお食事ですか!」

「じゃあ何を食べてればあんたは満足するんだ?パンか?缶詰か?」

「災厄の中であればそれらの方が適切では?」


周りにモンスターがいるかもしれないならパンとかがいいかもしれないな。

肉の匂いに釣られてくるモンスターもいるかもしれないし。


でもここのモンスターはボスのみ。

気にするだけ無駄だ。


「翔琉ーそんな奴ほっといてお肉追加してよ」

「そうだな」

「貴方達!」

「ずっと言ってるだろ?文句があるなら自分で倒せよ。倒せないなら黙れ」

「ちっ…」


いつもニヤついて悪巧みをしてそうな奴を怒らせるのは気分いいな。


浅田達は部屋の隅で待機することにしたらしい。


「どうせならゆっくり食べようよ」

「そうだな。急いで食べても胃に悪いしな」

「おじいちゃんよく噛むのよ〜」

「ガキはいっぱい食べなさい」


そのあとも俺達は満足するまでのんびり食べ続けた。


「あ、北海道の災厄を払った人がいるみたいだよ」

「おぉー凄いな。何人で行ったんだ?」

「1人だって。しかも翔琉のファンらしいよ」

「ファン?」

「この人。めっちゃ美人」


まさか俺にファンができるなんてな。

みかにスマホの画面を見せてもらうと、黒髪の美人な女性だった。


「モデルの人?」

「見たことないから違うと思う」

「翔琉様って言ってない?気のせい?」

「あははは!こんな美人な人が翔琉のファンで、しかも翔琉様って呼んでるの似合わない!」


みかがツボに入ったらしく笑っている。


クールな女性が俺のファンとかたしかに似合わないな。実感もわかない。


俺に対しての愛を語りはじめたんだけど。

恥ずかしすぎるし、目が怖い。うわぁ、この人狂ってるよ…。


みかはお腹を抱えて爆笑して死にかけている。


この狂気的な美人な人の名前は東雲(しののめ) 詩羽(うたは)というらしい。


俺らがこんな風に楽しんでいる中、浅田はイライラしていた。


「そろそろボス戦の準備するか」

「準備ってなにするの?」

「スキルとアイテム確認」

「あー!そういえば翔琉に聞きたいことあったんだ!」


いきなり声がデカイ。

本当に元気だな…。


「火力を上げるか相手にデバフをかけるかどっちがいい?」

「悩むなぁ」

「だよね〜。翔琉って攻撃スキルないけど火力はあるじゃん?だから敵の動きを止めた方がいいかな〜と思ったり」

「全く同じこと考えてたわ。みかのステータスを見せてもらっていいか?」

「どうぞ〜」



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前:桜井 みか レベル:20


職業:宮廷付与術師


HP:700 MP:1010


筋力:1 防御力:15


速度:27 知能:50


感覚:10 運:1


スキルポイント:0


<スキル>

エンチャント ブースト リジェネレイト スロー プロテクション



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「スキル石をもらったから悩んでるのか」

「そそ〜」

「ちなみにスキル名は?」

「イグニッションとバインド」

「強そうだな」


カッコイイ。イグニッション欲しい。俺が使いたい。


迷うな。どっちがいいかな?…あれ!?職業も変わってる!


「職業も宮廷付与術師に変わってないか!?」

「ふっふっふ。バレてしまいましたか」

「いきなり大物になった感じだな」

「敬いたまえ」

「スキルはバインドの方がいいんじゃないか?イグニッションも強そうだけど、今は動きを止めてくれた方が俺としてはありがたい」

「無視して話を進めるんじゃないよ!まぁそうだよね〜。私もバインドの方が使えそうだと思ってたし、これにしよっと」


みかは躊躇なくバインドのスキルをとった。


「本当にバインドでよかったのか?」

「バインドの方が使う機会多そうだもん。もしも次選ぶ機会があればイグニッションにしようかなーって感じ」

「イグニッションってかっこいいよな。必殺技っぽくて」

「でもかっこいいだけじゃ生きていけないもんね。ゲームならイグニッション一択」

「同じく」


みかとは気が合うせいか話がポンポン進んでいいな。

それに気を使わなくていいし一緒にいて楽しいし、なんやかんや戦闘をするときのバフもありがたいんだよなぁ。


「スキル増えたな」

「そうだね〜。これからはちゃんと戦闘中にスキルを使わないといけなくなっちゃった」

「戦闘前にスキル使ったら終わりだったもんな」


それが今ではこんなにスキルが増えるぐらい成長してしまって…。

お父さんのような気持ちになってしまう。


ボス戦前に軽くストレッチもしておく。


「ストレッチって意味あるの?」

「歳をとるといきなり身体を動かしたら痛めたりするんだよ」

「あれ?24歳って言ってなかった?」

「24歳でも普段運動してないと痛めるんだよ」

「運動してない人はあんなに動けないと思うんだけど」


たしかに。

関節を痛めるどころか、筋肉痛にもなっていないな。


レベルが上がって治ってるのか?


「覚醒者になったおかげかな」

「どんどんモンスターに近付いていってる気がするけどね」

「そうだなー。よし、行くか」

「いつも急だね」


ご飯を食べたり寝たりもしたが、やっぱり家でゆっくりしたい。


俺達が行く準備をしていると浅田が話しかけてきた。


「ようやく行くんですね。いつまで休んでいるのかと思いましたよ。視聴者達も待ちくたびれていますよ?」

「知らねー」

「貴方の戦いを待ち望んでいる方がたくさんいるんですよ!わからないんですか!」

「知らねー」


まだガミガミ言ってくるが無視だ。


階段を上りながら軽く作戦会議。


「今回はエンチャント以外のバフはカゲツだけでいい」

「わかった」

「カゲツはガーディアンスライムのときみたいに派手にな」

「ワンッ!」


カゲツならガーディアンスライム戦と同じようにスキルを使って上手くやるだろう。


5階。ボスの部屋へ。


名前はイービルスライム。

形は丸い球体。暗めの紫色のような色をしており、翼と尻尾も生えている。大きさはゴブリンよりも少し大きいぐらいか?


部屋に入っても微動だにしないので、俺達に気付いているのかもわからない。


それならいつものように先手必勝!

短刀に火と風を纏わせて投げると、カゲツも俺にあわせてシャドウスピアを飛ばした。


避ける素振りもなく当たって爆発した。


「やったか!?」

「そんなフラグは立てなくていいから真面目にしろ」

「はいはい。くるよ」

「わかってるよ」


イービルスライムが煙の中から姿を現したが、傷一つなかった。


「翔琉本気だしてよ!」

「本気だよ!あぶねっ!」

「ワォーンッ!」


イービルスライムがいくつもの光線を放ってきたが、カゲツが影を盾のようにして守ってくれた。


影はこんな風に使うこともできるんだな。


「これがボスとの戦いですか!感じたことの圧倒的な圧をあの化物から感じます!私達はいつ死んでもおかしくないですね!」


浅田がはしゃいでいる。

なるほど、俺達を急かしてたのは早くボスを見たかったのか。


「名前が赤い!ボスは他のモンスターと違い、名前が赤いようです!あぁ、そうでした。説明不足でしたね。私達覚醒者はモンスターの頭の上に名前が見えるんですよ。モンスターの名前の色は白色なのですが、こいつの名前の色は赤!つまりボスということを表しているのです!」


楽しそうに実況してやがる。


攻撃が止まった。


「反撃するぞ。カゲツ!」

「ガルルルルルルルルルァッ!」


カゲツと共に走り出した。

カゲツはシャドウスピアをイービルスライムに飛ばしながら突撃しているのに、その全てを躱されている。


俺もスライムに攻撃するがするりと躱される。


コイツ、飛ぶし素早いし厄介だな。


「みか!」

「わかってるよー!スロー!」


みかがイービルスライムにスローを使うと動きが少し遅くなったがまだ速い。

でも、これぐらいの速さならいけるな。


俺の黒刀がようやく当たるが、障壁のようなもので防がれた。


「キィィィィィィィィィィッ!」

「くっ…!」


イービルスライムが発狂すると身体の色が少し赤みがかったように変化し、魔力を解放した余波で吹き飛ばされてしまった。


「ゴブリンジェネラルより強いんじゃないか?」

「まじ?倒せるの?」

「倒す」

「ガウッ!」


みかは少し怯んでしまったが、カゲツはやる気満々だ。


「バインドはまだいいからスローだけ頼むぞ」

「おっけー!決めるとき言ってね!」


バインド対策をされたら面倒なのでここぞというときに使おうと決めていた。


「水よ」


イービルスライムを水で囲むが一瞬で吹き飛ばした。

その隙にカゲツが飛び込み、俺も続く。


このスライムはすごいな。

巨大なカゲツと俺の攻撃を避けたり部分的に障壁を展開したり、当たりそうなシャドウスピアだけ撃ち落としつつ反撃もしてくる。


どうやって攻撃を当てようか。

障壁が邪魔だよな。

俺がゴブリンプリーストの障壁を突破したときはたしか、全力で殴って破壊したんだよな。


やってみるか。


「水よ」


イービルスライムを水の牢で囲み、一瞬だけ動きを止めた。

すぐに牢は破壊されたがカゲツがシャドウスピアで逃げ場を奪った。


「影よ」


黒刀に影を纏わせ全力で投げると、イービルスライムは障壁でガードしている状態。


「そうするよな!」


今度は拳に影を纏い、障壁で受け止めている黒刀を殴りつけた。


人力パイルバンカーを喰らいやがれ!


ドガァァァァァンッ!


「いってぇ…」


障壁を破壊することはできたが、破壊した衝撃でまた吹き飛ばされてしまった。


「今日はよく飛ぶね」

「うるせーよ。流石に効いたか?」


アイツはまだ生きている。

ボスを倒したときの通知がないのがその証拠だ。


カゲツも警戒して様子をみている。


すると突然、魔力が高まる気配とともに煙が消え、身体の半分ぐらいが消し飛んだイービルスライムが現れた。


イービルスライムは魔力を貯めている。

さっきの光線を放つ気か?


「素晴らしい…素晴らしいですよ!なんという戦いでしょうか!」


浅田は相変わらずうるさいな。

興奮する気持ちはわからんでもないけどさ。


ん?アイツ、俺達の方を向いてなくないか?


イービルスライムが集めている魔力の光が浅田の方を向いている。


アイツらがやばい!


俺が気付いたのと同時に紫色の光線が浅田に向けて放たれた。


ドォォォォォォォォォォォンッ!


「ひっ…え、あぁ…」

「…はぁ、間に合ったか」


浅田とカメラマンに当たる直前に俺が間に入り、光線を受け止めた。

その代償に左腕を失い、左半身が血だらけになってしまった。


「か、翔琉!?リジェネレイト!」


みかがすぐにリジェネレイトを使ってくれたおかげで血は止まった。


痛みは感じない。アドレナリンがでまくってるおかげかな?あまり考えないようにしよう。気にしていると痛くなってきたように感じる。


咄嗟に影を纏おうとしたが、中途半端にしか纏うことができなかった。でもそのおかげでこれぐらいですんだようだ。


「な、なぜ助けてくれたのですか?貴方は私のことが嫌いなはずでしょう?」

「嫌いなだけで、見殺しにするほどじゃない」

「ですが!」

「うるせぇな。離れてろ」


まずいな。リジェネレイトじゃ腕は生えないから片腕で戦うしかないし、左目も蒸発してなくなってしまったのか左側が見えない。


でもまぁ、相手も身体は半分しかないボロボロな状態で、こっちはまだカゲツがピンピンしている。


「ガルルルルルルルルルァ!」


俺のことを心配そうに見ていたカゲツと目が合うと、イービルスライムに攻撃をはじめた。


レベルが上がれば多分治る。それを信じて戦おう。隻眼隻腕は憧れるけど、それはアニメだけだ。


「影よ」


黒刀に限界まで影を纏わせる。


イービルスライムの動きは鈍くなっており、カゲツの攻撃も当たっている。

今がチャンスだ。


イービルスライムに向かって踏み込む。


「みか!今だ!」

「バインド!」


イービルスライムの動きが止まった。


影を大量に纏った黒刀でイービルスライムに斬りかかる。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


くそっ、片腕のせいで力がいれにくい…!


「ガルァッ!」


カゲツが黒刀めがけて前脚を振り下ろした。


ガキンッ


イービルスライムの核がついに砕けた。


【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【レベルアップしました】

【ボスを討伐しました】

【特別報酬:銀の剣を獲得しました】

【特別報酬:知恵のミサンガを獲得しました】

【特別報酬:スキル石『超反応』を獲得しました】

【条件を達成しました】

【スキル:聖拳を獲得しました】

【サブ職業が解放されました】

【サブ職業が料理人になりました】

【スキル:料理を獲得しました】

【料理人専用アイテム:料理セットを獲得しました】

【ゲートの主を討伐したことにより、入場制限を解除します】

【日本の残りのゲートの主は1/5体です】


不安に思っていたことが解決した。

腕と目、治りました!嬉しい!


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