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フリーターの俺に世界が救えると思いますか?  作者: 干物


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29話


この会社の社員達はもう全て終わったかのように喜んでいる。


「おい水無瀬、まだボスを倒していないのにどうするんだ?こんなに喜んでるのにまだ帰れない人もいるだろ?」

「命が助かったんだから喜ぶのは当然だろう。帰れる人には帰ってもらうから燈黒くんは気にしなくて大丈夫だよ」

「わかった。俺は疲れたから寝る。ボスは明日倒すからそのことも言っといてくれていい」

「優しいんだね」


水無瀬が笑いながら言ってくるのがウザイ。


「翔琉は優しいよね〜。文句を言いつつも面倒見てくれるし。あ、汗かいたからお湯だしてくれる?」

「お前は自由だなぁ…」

「ありがと〜」


みかのことをお湯で包むと気持ちよさそうにしている。


顔まで包んでるけどどんな感じなんだ?のぼせたりしないのかな。


見てる感じ問題はなさそうなんだよなぁ。


「こっち見すぎ。変態」

「はぁ?」


まぁたしかに見すぎだったか。

気をつけよう。女の子だもんな。


暇なので壁にもたれながらカゲツの方を見ていると、浅田が近付いてきた。


「残りはボスだけなんですよね?お疲れでしょうが、少し質問してもよろしいでしょうか?」


相変わらずニヤついた顔で話しかけきた。


「なんだ?」

「ありがとうございます!それではさっそくですが、あの子犬のような化物はここにいる人達を守りながら戦っていたようですが、どういうことなのでしょうか?」

「名前はカゲツだからな?アイツは俺のペットみたいなものだから人を襲わないし、守るようにも言ってるから身体を張って守ったんだろ」


襲うなとは言ったが人間を守れよなんて言った覚えなんてないけど。

カゲツは優しいから守ったのか?

それとも俺が守ろうとしてるから守ったのか?


どっちでもいいか。

今も撫でられて嬉しそうにしてるしな。


「カゲツさんですね、覚えておきましょう。彼は頭の良い子なんですね」

「あんたは散々化物呼ばわりしてたけどな?」

「その節はどうも申し訳ありませんでした。彼にもあとで謝罪しておきます」


どうしてこんなに素直なんだ?不気味すぎる。


「では次の質問です。人を殺したとき、どう思いましたか?」


なんも変わってねーや。


浅田がデカイ声で言ってくれたおかげで周りの人達の耳に入りざわざわし始めた。


「おや、黙りですか?自分の都合の悪いことに対しては何も言わないのですね」

「あなたいい加減にしなさいよ!」


水の中から出てきながら怒ってくれたみかは、浅田の方に歩いていく。


「ニュースを見てないの?あれは事故だったって言ってたじゃない!」

「えぇ、もちろん知っていますよ。私もあれは仕方のないことだと思います。ですが、人を殺したことは事実でしょう?だからこそ14歳という未来が明るかったはずの男の子の命を奪ったときの心情を教えていただきたいのです!」

「あなたね…!」

「もういいよみか。こんな奴に何を言っても無駄だ」


浅田は頷き、みかは「だってこいつが!」と騒いでいる。


寝たいのに。毎日戦ってて疲れたから休みたいのに。どうしていつもこう面倒なことが起きるんだ。


「人を殺したときの気持ちだったか?そんなもん最悪に決まってんだろ」

「ならばどうして殺したんですか?あなた程の実力者であれば無力化し、捕まえることもできたんじゃないんですか?」

「自分の姉を殺した自覚もないほど狂った奴を生かしてどうするんだ?被害が広がるだけだろ」

「だから殺したと。なるほど。その姉とずいぶん仲が良かったように思いましたが、私怨ではないのですよね?」

「ないな」


ないと思う。自分でもよく覚えていない。


「テレビの前の皆さん!聞きました?この救世主と呼ばれている燈黒 翔琉さんは捕まえることができた相手を仕方なく殺したそうです!」


浅田がカメラに向かって俺への悪口を言いはじめると、カゲツが眠そうに歩いてきた。


「もう寝るか?」

「ワォン…」

「好きな場所で寝ていいぞ」


俺がそう言うと、足の間に入って寝始めた。


温かくていいな。

カゲツがもっと大きくなったら抱き枕にしてもいいかも。


「あの、燈黒さん?聞いてますか?」

「なにが?」

「いや、なにがって。貴方は人殺しのくせにその態度はなんなんですか!?」

「大きい声を出すなよ、カゲツが起きるだろ?」


浅田は俺を怒らせて失言を待っているんだろうな。それなら俺は自分のペースを貫けばいい。


「話を逸らさないでください!」

「はいはい、すみませんでしたー」

「ぷふっ」


みかが笑うのを我慢できずに吹き出すと、俺の隣に座ってもたれてきた。


「はぁ!?どうしたんだよ」

「私も眠くなっちゃったから!前みたいに壁になってよ」

「お前なぁ…カメラの前だぞ?恥ずかしくないのか?」

「気にしないもーん。騒ぐとカゲツが起きちゃうよ?」


この自由人はほんとに…!


「人殺しの他に未成年者と交際ですか」

「私19歳だもーん」

「ならセーフなのか?」

「合意だったら関係ないでしょ。付き合う?」

「付き合わない」

「えー?なんてー?聞こえなーい」

「寝ろ」


ローブを脱いでみかに被せてあげた。

大きめなので毛布代わりにはなるだろ。


「いちゃいちゃするのはやめていただいてよろしいですか?まだ聞きたいことがあるんです」

「俺らはモンスターと戦って疲れてるんだよ。明日に備えてもう寝るから質問はなしだ」

「何を勝手なことを言っているんですか!」

「あんたがボスを倒しに行くなら質問してもいい。倒さないなら話は終わりだ」

「ぐっ…!わかりました。ではボスを倒したあと、話を聞かせていただきますからね」

「どうして俺があんたと話をしないといけないんだよ」

「救世主の義務に決まっているでしょう」


救世主の義務。

なんだそのバカみたいな理由…。


勝手に呼ばれてるだけなのに。


「では、また明日」


やっとどっか行ったか。


寝たいけどみかが腕に抱きついているのが気になる。


「おい、起きてんだろ。離せって」

「寝てる」

「せめてもたれるだけにしとけ」

「それ以上うるさいとカゲツと場所を代わってもらうよ」


それはまずい。

カゲツは今俺の脚の間で寝てるからここにみかがきたら腕に抱きつくよりも密着してしまう。


ただでさえ周りの視線が恥ずかしいのに。


「…わかったよ」

「可愛い女の子に抱きつかれてるんだから喜べばいいじゃん」

「2人きりなら喜んでたかもなー」

「棒読みー」


もういいや、ここにきてからレベルが2上がったしステータスを上げておこう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前:燈黒 翔琉 レベル:27


職業:忍


HP:875 MP:370


筋力:59 防御力:1


速度:40 知能:12


感覚:30 運:1


スキルポイント:0


<スキル>

隠密 煙幕 風 空蝉 まきびし 水



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


これからは知能を上げていく。


カゲツのステータスの知能が伸びたとき、スキルが強くなっているように感じたので、もしかしたらの風や水も強くなるかもしれない。


アクセサリーの火と影も強くなってほしかったが、影だけが少しだけ扱いやすくなった。


元々火は武器に纏わせることしかできなかったから今まで通り。


影は少しだけ鎧を纏いやすくなった気がする。

なんていうか、今まであった違和感がほんの少しだけマシになったような、それぐらい小さな変化だけど。


カゲツのステータスも確認しておこう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前:カゲツ レベル:10


種族:シャドウウルフ


HP:600 MP:400


筋力:13 防御力:10


速度:28 知能:30


感覚:31 運:11


<スキル>

影 シャドウスピア 捕食



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


スキルが増えてるな。

捕食。

食べると回復する。


食べることが好きなカゲツにはピッタリなスキルかもしれない。


感覚はとうとうステータスも抜かれてしまった。

やはり狼だからかステータスは俺の方が高くても、カゲツの方が先に反応してることがあったんだよな。


筋力と防御力は影でなんとかなるだろうし、上がってなくても問題ないだろうな。


運はドロップ率かな?

カゲツが倒したモンスターから今までよりもアイテムがドロップした気がした。


魔石というものは毎回必ずドロップしてたみたいだが、レアそうなものがインベントリに入っていたことはなかった。


前回俺が倒したモンスターは魔獣肉を毎回ドロップしていたわけではなくて、高確率でドロップしており、モンスター特有のアイテムはなかった。


だが、今回はスライムの粘液がかなり手に入った。

スライムの粘液なんてあっても何に使うかわからないけど、何かに使えるんだろう。


「知能上げていくの?」

「静かだと思ったら見てたのか」

「うん」

「燈黒くん、桜井さんごめんね。ちょっといいかな?」


さっきから俺達に話しかけるか迷っていた水無瀬がついに話しかけてきた。

周りにはこの階にいた社員の人達もいる。


みかは少し離れてほしいな…。

流石に大勢に見られてると恥ずかしい…。


「どうした?」

「君が人を殺した件について聞きたいんだけど…」


みかの手の力が強くなっていってる。

痛いんだけど…。


「何が聞きたいんだ?」

「本当なのかい?」

「本当だな」

「そうかい…辛かったよね…」

「は?」


人殺しだとか言われると思っていたらただ心配してくれただけか?

みかも驚いたのか手の力が抜けている。


「え、なに。いきなり怖いんだけど」

「燈黒くんが理由もなく人を殺すわけがないだろ?絶対に事情があるはずだと思ったんだ」

「ネットで調べたら出てきますよ」


え?そうなの?出てくるの?

ていうかみかはなんで知ってるの?


「そうなのかい?今はスマホの充電が切れていて見れないんだ」

「どうして充電器を差し入れてもらわなかったんだよ」

「たしかにそうだね…食料やこれからのことで頭がいっぱいで思いつかなかったよ…」


そう言われると何も言えないな。


殺したときのことを話すと水無瀬は涙を流しはじめた。

どんだけ良い奴なんだよ。


ていうかいい加減寝かせてくれないかな…。


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