挿話 災厄の魔王ヴェゼルディ
かつて、悪魔族と呼ばれる種族がいた。
見た目が醜悪な者が多く、忌み嫌われていた悪魔族は次第に同族が集まり一つの国を作った。
"魔の国"と呼ばれたその国は嫌われ者達が集まり、肩を寄せ合い助け合っていた。
しかし、人間族の大国の身勝手な略奪と虐殺で魔の国は疲弊していった。
魔の国を治める王、ヴェゼルディは最後まで大国と和平をすすめていたが、人間族の大国は耳を貸さなかった。
そして、悲劇は起こる。
ヴェゼルディの最愛の家族である王族を、ありもしない罪で虐殺されたのだ。
それまでは温厚だったヴェゼルディからは想像を絶する狂乱ぶりで、国民である悪魔族も恐怖したという非情さを見せた。
仕返しと言わんばかりに人間族の国々は跡形もなく滅び、人間族のみならず大陸に住まうほぼ全ての種族が絶滅の危機に瀕した。
特に自身が犯した罪滅ぼしに奔走した人間族は、他種族と協力してヴェゼルディを止める手段を模索した。
やがて、ヴェゼルディと対等に戦えるパーティーが現れた。
勇者ノエル、賢者ケルト、聖女ユリアナ、剣豪リュウザキ、拳闘士ヴァン。
他種族の支援を受けた彼らは死力を尽くしてヴェゼルディと戦うが、ヴェゼルディは四肢を取られようとも、首だけでも動きだして勇者達を苦しめた。
やがて、賢者ケルトが命を懸けてヴェゼルディの頭、両腕、両足、胴体、魂それぞれを魔法道具に封印することで、戦いは幕を閉じた。
ヴェゼルディが封印された魔法道具は、後に禁忌のアーティファクトと呼ばれた。
頭を封じた"叡知のメダル"
右腕を封じた"死神の腕"
左腕を封じた"魔神の腕"
右足を封じた"風雷の飛脚"
左足を封じた"地底の健脚"
胴体を封じた"鼓動する闇像"
そして、魂を封じた"魔王の水晶球"
再び、災厄の魔王ヴェゼルディが復活しないように封じた魔法道具は、生き残った種族達が分けて管理し続けることになった。
"叡知のメダル"を人間族。
"死神の腕"を魚人族。
"魔神の腕"を森人族。
"風雷の飛脚"を龍人族。
"地底の健脚"を魔人族。
"鼓動する闇像"を地底族。
そして、"魔王の水晶球"だけは主神が厳重に管理することになった。
しかし、戦いでヴェゼルディの流した血は大地に染み込み、ブラックトレントという魔物をうみ出し、増殖を続けている。
彼は封じられた今も、世界滅亡ただ一つを渇望してる。とでもいうのだろうか?
お分かりいただけただろうか?




