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新たな旅路は 2

ミーくんとサラちゃんの見た目を変更しました。

なーんか誰かに似てるな、と思ってたら、

とあるゲームを見て、あっとなりました。


意識してなかったのに、似てたw

昼食も終わり、魔の森を左側に道を進む私達。先程途切れた話を、マルスが道中に再度話してくれた。


「"魔の森"自体が巨体な魔物と同じだ。まるで呪いのように広まり、歯止めが効かない。」


「何とかしないとね。」


私は左側に広がる魔の森を睨みながら歩く。この魔の森が日常の光景になっているマルスは、特に気にすることなく隣を歩いている。


「これから行くマーシャットに、魔の森で生活する他種族が生活に必要なものを買い付けに来ているから、彼らに聞いてみるのもいいかもな。」


「えっ?この魔の森に生活してるの?」


「魔の森は確かにブラックトレント───先程話した魔王の血を吸った樹々のことだが、そのブラックトレントを避ければ、自然豊かな森に変わりはないんだ。」


ふぇぇ、ブラックトレントが群生するような森に生活してる種族がいたんだ。


「他種族ってどんな種族がいるの?」


「代表格は龍人族だな。あとは獣人族と、魔人族位か?たまに南の大陸側から魔の森内を通ってエルフ族が来る程度だ。」


龍人族────ドラゴンやリザードマンを総称する種族のことだったわよね。それにしても獣人族や魔人族、エルフ族まで。思ったよりもたくさんの種族が魔の森にはいたんだね。


「完全に無くしちゃったら、その種族の人達が困っちゃうよね。」


「────突っ込まないぞ。」


「ん?何が?」


マルスが急に呟くので、私が聞き直すと彼は何事もなく話を進め出した。


「そうだな。魔の森は危険な反面、豊富な資源や魔素があるから、アッシャルダにとっても切り離せない部分がある。」


「そっか、教えてくれてありがとう。」


私は森を見ながら歩く中、たまに濁った色のオーラをまとった木を見つけた。かなりの数が群生してるのが見えるが、パッとみた限り他の木と代わりない。


一つ一つ処理するのはかなりの労働力と時間がかかりそうで、顔をしかめた。


「間引く位しか出来なさそうだよね。それをするにしても、話は聞いておきたいし。」


「獣人族なら知り合いがいる。今日マーシャットにいるかはわからないが、魔の森を抜けるときに立ち寄るつもりだった。」


「あ、そうなんだ。その時はお願いしていいかな?」


私の言葉に頷くマルス。良かった、魔の森の住人その1には会って話は聞けそうだね。


「二人とも、見えたよ。」


ノインの声が聞こえてそちらの方を向くと、遠くの方にアッシャルダと同じく柱が囲むように立つ町並みが見えてきた。


見えた街並みは、イズリールよりもやや大きい。時計塔や市場、住宅街等の賑やかな雰囲気が遠くからも見えた。


「確かに大きいね。」


「アッシャルダ領土では二番目にでかいからな。」


マルスが目を細めるのを見て、私はマーシャットが良い街だと察した。


「ペース的には早かったな。てっきり夜になる頃に着くと思ったが。」


空はオレンジ色に染まり、それを追いかけるように月が神山から顔を出そうとしている状態だ。


「魔物も特に会わなかったし、かなり順調だったからね。」


私はノインの後を追いながら、マルスにそう言うと、彼はノインの背中をにらむように見つめた。


「──────そんなことはないか。」


「ん?」


「いや、何でもない。」


マルスは一人何かを考えていたようだが、何でもないと言われたら深くは聞きづらい。私は仕方がなく、肩をすくめて歩く。


「宿とれるかな?あ、マルスは夕飯のリクエストある?」


「ん?あぁ、特にはないがマーシャットには魔の森産のはちみつを使った菓子が名産だ。一度食べるべきだ。」


「アネモネ、行こう。」


「うん、知ってた。」













マーシャットの出入口でギルドカードを見せると、門番の兵士が顔を輝かせて握手を求められた。


「今年の祭りの最終戦参加者の方にお会いできるとは!仕事で祭りを見に行けなかったので気になってたんです!」


「お仕事お疲れ様です、頑張って下さいね。」


私は握手に応じてニコッと笑うと、兵士はパアッと笑顔が咲いた。私達が離れる時も全力で手をふって見送ってくれた。


「すっかり有名人になっちゃったな。」


「まぁ、アッシャルダの祭に参加することは、それだけで実力があることの証明だ。アネモネはパスしたが、魔力測定で予選に上がれるのは冒険者ギルドランク3位の実力があることと同じだ。」


「ランク3か───あぁ、だからランクアップしちゃったのか。」


レティから言われた意味がようやくわかった。魔力測定の段階からすでに実力的に認められちゃうからか。


「それより、早く宿を探そう。マーシャットは人の流れが多い割に、宿が少ない。安めの宿はもうおさえられてるかもしれないぞ。」


「そうね。ノイン、オススメは?」


私がいつものようにノインに頼むと、少し考えたあとにスタスタ歩き始めた。


「────アネモネ達はマーシャットに来るのは初めてだよな?大丈夫か?」


「大丈夫。多分、どんなナビよりも正確に良い宿を見つけるから。」


「ナビ?」


マルスが首をかしげた。あ、ナビってこの世界にはないのさ。そうだよね、さすがにないか。


「あ。ごめん、気にしないで。」


「ナビ、って魔法地図(マジックマップ)のことか?」


「えっ───ああ、多分同じものだ。」


マルスの言葉に、ウィリアから貰った地図を思い出し、確かに同じ意味かも。と思い直して同意した。


「ノインは魔法地図のすっごい版を使えると思えば合ってるから。」


「そうか、羨ましいもんだ。」


ノインを先頭に大通りを歩く。行き交う人と馬車が多く、大通りはかなり混雑していた。危なげにかわす人波の中。



「退いた退いたぁ!」



喧騒の中から怒号が飛ぶ。かなりのスピードで荷馬車が向こうからやってくる。

が、避ける人波の中、道路の反対側から、少女が私達側に走り出してきた。

少女から見たら、荷馬車は露店や人波の影で見えていなかった。



「ッ!!!」



私は咄嗟に少女に駆け寄った。無意識に走り出していた。ふと見た瞬間から目が合っていたから。いや違う多分目の前で惨事を見たくなかったからだ。そんなことはこちらの都合だ。とにかく今は走るんだ。少女の顔が驚愕と戸惑いに変わるのがスローモーションで見えた。だから今はそれを見てる場合じゃない。少女を抱き抱えた状態で来た道を戻るべきか?いや、なら勢いのまま前に進む方がいい。幸い少女が来た道は人波がない。そこへ追い風を魔法で生み出して一気に跳ぶ。一瞬で荷馬車からは逃げ切った。あやばいとまれない。しかも人波がないと思ったら人居たよ。あれこのままだと衝突コースだよね?せっかくいないところを狙ったのにヤバいヤバいヤバい!!!!



ボスッ。



「大丈夫ですか?」


私は頭の中が真っ白になったまま、その問いに答えられずに固まった。


「もう!サラちゃん!だから飛び出しちゃダメって言ったじゃないか!?」


「ごめーん。あっちのお店にあるお菓子買い忘れちゃったからさー。」


「はぁ、サラちゃん。お菓子なら僕が作るから買わなくてもいいでしょ?」


この会話すら脳で処理しきれないほど、私は固まっていた。


────風魔法で追い風を加速した私が全力でぶつかったはずなのに、


「えーっ!ミーくんのお菓子は確かに美味しいけど、あのお菓子はまた違う美味しさなんだよ!」


「あー、一応誉めてるよね?」


受け止めてくれたこの人は、何もなかったかのように、少女と話をしていた。


いや、あのさ。私、闘争の加護をもってるんだよ?やりようによっては鉄パイプ曲げれますよ?あと試してないけど多分タックルで城壁は突き破れるよ?


にもかかわらず、この人は軽ーい感じで受け止めたんだよ?


「それよりミーくん。この人誰?知り合い?」


「サラちゃん!君を荷馬車から助けてくれたんだよ!あぁ、すみません!お怪我は?」


「───────。」


咄嗟にこの人に何者かを聞こうとしたけど、それを聞いていいのかを悩んだ。

ただ、何となくそれを口にしていいのか、わからずに黙っている。


「あー、どうしようサラちゃん。なんか固まっちゃってるよ?」


「ミーくんの胸筋が硬すぎて頭打ったとか?」


「固いかもしれないけど、今は人型だからそこまでじゃないんだけど。」


─────人型?


あぁ、やっと納得した。やっぱり普通の人間じゃなかったんだ。


「───大丈夫、です。」


私はようやく深呼吸してから、少女らを見て立ち上がった。


「あぁ、良かった。お怪我はありませんか?」


「はい、受け止めて下さり助かりました。こちらも不注意でぶつかってしまい、すみませんでした。そちらもお怪我は?」


「大丈夫です。頑丈なのが取り柄ですから。」


ニコッと笑ったその人を見る。

背の高く体格がいいのに、とてもスマートに見える。黒髪はアホ毛つきのポニーテールで、紫の組紐で結ってある。

そして、左目を眼帯で隠してるもかかわらず、目が覚めるほど美形だった。


「お姉さん、助けてくれてありがとう。でも、私は荷馬車程度じゃ怪我しないよ?」


そう告げた少女を見て、私ははっと気づいた。

少女は銀髪を肩まで伸ばし、ハーフアップで美形と色ちがいの金色の組紐をつけていた。愛らしい顔に似合うピンクのワンピースを着ていて、品のよさがわかった。

ただ、少女にはハーフアップした髪から深い青色の角があった。


「サラちゃん!すみません、せっかく助けて頂いたのに。」


よく見れば謝るその男性も、少女も金色に光る爬虫類の様な目だった。


そう、二人とも大丈夫、と言った理由は龍人族だったからだ。

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