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砂浜の疲労と、仲間たちの助言

 椅子に座ったラピスは、肩で息をしながら周囲を見渡した。

 初めて訪れる拠点の空気はどこか落ち着いていて、それでも少し緊張してしまう。

 ユナがそっと水を差し出した。

「ラピスさん、どうぞ」

「ありがとう……」

 水を飲んだラピスは、ほっとしたように息を吐く。

「砂浜って……こんなに疲れるんだな……」

 マーティンがラピスの義足に膝をつき、魔力核の状態を確認する。

 指先で軽く触れ、魔力の流れを確かめるように目を細めた。

「魔力核の揺れは少ないが……砂地での負荷が大きかったようだな」

 彼は義足の接合部を見ながら続ける。

「砂に入ると魔力の流れが乱れやすい。調整が必要だな」

 ラピスは真剣な表情で聞き入る。

 横ではアルトが小さなメモ帳に細かく書き込んでいた。

 ハリスが腕を組みながら口を開く。

「砂浜での訓練は危険が伴う。アルトじゃ支えきれないだろうし、護衛をつけるべきだ」

 リオルも頷いた。

「今日みたいに転倒する可能性は高いからね」

 ラピスは少し肩をすくめたが、責められているわけではないと理解している。

 そこへカイが勢いよく近づいてきた。

「砂浜歩けたのすごいよ!」

 ユナも優しく微笑む。

「初めてなのに、あんなに頑張ってて……」

 ラピスは照れたように視線を落とした。

「ありがとう……まだまだだけど、もっと歩けるようになりたい」

 リオルが後ろに控えていた護衛騎士トラフィカへ視線を向ける。

「トラフィカ、何かアドバイスはある?」

 騎士は一歩前に出て、落ち着いた声で答えた。

「砂浜は体力がないとすぐに魔力が消耗します。歩行訓練と並行して、体力づくりも始めた方がいいと思われます」

 その言葉にアルトが頷き、ラピスの方へ向き直った。

「明日から、歩行だけじゃなくて体力をつける訓練も始めよう」

 ラピスは目を丸くする。

「体力の訓練……?」

 アルトは指を折りながら説明した。

「呼吸を整える練習、上半身の軽い筋力強化、体幹を鍛えるバランス訓練……それから歩行距離の記録とペース管理。無理のない範囲でやっていこう」

 ラピスは少し不安そうにしながらも、前向きな表情を見せた。

「……うん。やってみたい」

 マーティンが義足を軽く持ち上げ、細部を確認する。

「砂地用に魔力の流れを少し変えてみよう。次の砂浜訓練では、今日より安定するはずだ」

 そして、義足の隙間に入り込んだ砂を見つけて眉を寄せた。

「砂が義足に少し入ってしまっているな……ここも調整しよう」

 ラピスは申し訳なさそうにしながらも、感謝の気持ちを込めて頷いた。

 ハリスが腕を組んだまま言う。

「転倒はしたが、初挑戦としては十分だ」

 リオルも微笑む。

「次はもっと歩けるはずだよ」

 カイが元気よく拳を握る。

「応援するからね!」

 ユナも優しく声をかけた。

「また拠点に来てね、ラピスさん」

 ラピスは胸に温かいものが広がるのを感じた。

「……皆、ありがとう」

 その声は少し震えていたが、確かな前向きさが宿っていた。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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