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遠くへ行くための道歩きの始まり

 何度か歩行練習を重ね、ラピスの足取りが少しずつ安定してきた頃。

 アルトは義足の魔力循環を確認していた。魔力核は昨日よりさらに落ち着いた青白い光を放ち、脈動も安定している。

「うん……いい感じだね」

 ラピスが立ち上がる動作も、もうほとんど自然だ。

「今日は……道の方まで行ってみよう」

 アルトの言葉に、ラピスは少し緊張しながらも嬉しそうに頷いた。

 家の前をゆっくり歩く。

 魔力核が青白く脈打ち、歩行を補助してくれる。

 昨日より足取りが安定している。

「ここは……昨日より慣れてきたかも」

 アルトは歩き方を確認しながら、ラピスの横を歩く。

 舗装された地面へ近づくにつれ、ラピスの表情が慎重になる。

 義足が沈まなくなる感覚に、わずかな戸惑いが走った。

「……地面が変わると、足の感じも違うな」

「長屋の時より魔力の消費が少ないはずだよ」

 アルトが優しく説明する。

 ラピスは道に一歩踏み出した。

 義足が沈まないため、歩行が軽く感じる。

 魔力核の反応も安定している。

「……歩きやすい。砂よりずっと軽い」

 ラピスはゆっくり歩き始めた。

 歩幅が自然に広がり、昨日よりもずっと滑らかな動きになっている。

 しかし、体力の限界はまだ近い。

 十五歩ほど歩いたところで、ラピスの息が上がった。

 魔力負荷で肩で息をし、額に汗がにじむ。

「……はぁ……っ、道でも……疲れるんだな」

 アルトがすぐに休憩を促す。

「でも、以前よりずっと歩けてるよ。ラピス」

 ラピスは息を整えながら頷いた。

 歩行を観察していたアルトが助言する。

「道は魔力消費が少ない。歩行訓練には最適だと思う」

「ただし、距離を伸ばすには体力が必要だと思われる」

 ラピスは真剣に聞き、義足を見つめた。

「……もっと歩けるようになりたい」

 そして、ふと空を見上げながら言った。

「道を歩けるなら……海岸沿いの拠点まで行ける日も近いよな」

 アルトが微笑む。

「うん。ラピスのペースで進めばいい」

「次は……道をもう少し長く歩いてみよう」

 ラピスは嬉しそうに頷いた。

「やってみたい。もっと遠くまで歩きたい」

本作をお読みいただきありがとうございます。

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