遠くへ行くための道歩きの始まり
何度か歩行練習を重ね、ラピスの足取りが少しずつ安定してきた頃。
アルトは義足の魔力循環を確認していた。魔力核は昨日よりさらに落ち着いた青白い光を放ち、脈動も安定している。
「うん……いい感じだね」
ラピスが立ち上がる動作も、もうほとんど自然だ。
「今日は……道の方まで行ってみよう」
アルトの言葉に、ラピスは少し緊張しながらも嬉しそうに頷いた。
◇
家の前をゆっくり歩く。
魔力核が青白く脈打ち、歩行を補助してくれる。
昨日より足取りが安定している。
「ここは……昨日より慣れてきたかも」
アルトは歩き方を確認しながら、ラピスの横を歩く。
舗装された地面へ近づくにつれ、ラピスの表情が慎重になる。
義足が沈まなくなる感覚に、わずかな戸惑いが走った。
「……地面が変わると、足の感じも違うな」
「長屋の時より魔力の消費が少ないはずだよ」
アルトが優しく説明する。
◇
ラピスは道に一歩踏み出した。
義足が沈まないため、歩行が軽く感じる。
魔力核の反応も安定している。
「……歩きやすい。砂よりずっと軽い」
ラピスはゆっくり歩き始めた。
歩幅が自然に広がり、昨日よりもずっと滑らかな動きになっている。
◇
しかし、体力の限界はまだ近い。
十五歩ほど歩いたところで、ラピスの息が上がった。
魔力負荷で肩で息をし、額に汗がにじむ。
「……はぁ……っ、道でも……疲れるんだな」
アルトがすぐに休憩を促す。
「でも、以前よりずっと歩けてるよ。ラピス」
ラピスは息を整えながら頷いた。
歩行を観察していたアルトが助言する。
「道は魔力消費が少ない。歩行訓練には最適だと思う」
「ただし、距離を伸ばすには体力が必要だと思われる」
ラピスは真剣に聞き、義足を見つめた。
「……もっと歩けるようになりたい」
◇
そして、ふと空を見上げながら言った。
「道を歩けるなら……海岸沿いの拠点まで行ける日も近いよな」
アルトが微笑む。
「うん。ラピスのペースで進めばいい」
「次は……道をもう少し長く歩いてみよう」
ラピスは嬉しそうに頷いた。
「やってみたい。もっと遠くまで歩きたい」
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